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【第18話】剣技

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト            主人公。透明人間。

メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。

シャル・マルマロン      メアリーの教え子。

ハル・マルマロン       シャルの母親。

ライカ            元山賊。

シロツメ・クローバー     ライカを殺したい貴族

 シロツメは刀を竜が穿つように振るう。ライカは壁や床を跳ねて避ける。

 ふむ、狭い室内で刀を振るなどしないと思ったが……。

 黒髪で冷酷な雰囲気を纏う男、シロツメは長い刀をなんともないように振る。

 ライカは刀を避けながら分析する。

 最低限物に当たらないルートを選び俺を斬ろうとしてくる。仮に物に当たったとしても豆腐のように切れていく。

 ライカが動けば動くほど切り落とされた肩から赤い血が飛び散り、壁や床を斑点模様のようにグロテスクに染めていく。

 シロツメは避けることしかしないライカに対する攻撃をやめずに考える。

 反撃してこない...肩のダメージか? だがそれにしては痛がる様子もない、武器がないからか?

 ドッと木製の壁に刀が突き刺さる。ライカはシロツメの後ろに回る。

 しかしライカは何かするわけでもなく、次の攻撃に備える。

 なぜ何もしてこない……機会を疑っているなら今、俺の背後は無防備だ。まさか俺のカウンター狙いがバレている? まさか、これはバレるような物ではない。

 シロツメは再び、と言っても止まったのは一秒ほど、攻撃を始める。

 やはりあの持ってこいと言った刀を待っているのか? ではなぜそれに執着する……? 素手ではやはり刀に対抗は無理と判断したか? まぁなんにせよ、このまま出血多量で死なれてはなんの恨みも晴らせない。ここは少し発破をかけるか……。

「なぜ反撃してこない、このまま逃げ続けても出血で死ぬぞ」

 ライカは特に気にすることなく避け続ける。血は変わらずダラダラ垂れ続ける。

 変化なし...俺はお前を完全勝利したいんだ、お前が全力じゃないのにも関わらず殺しても何も達成できていない。つまらない、もっと苦しめ、俺以下と思いしれ。

「俺はまだ三十パーセントの力しか出していないぞ!」

 シロツメはさらに一段階速さを上げた。


――――――――――――――――――――


 どうしよう、どうしようどうしよう……。

 赤髪のナース、ミルは受付の裏にある、入院者の持ち物を保管する部屋に来ていた。理由はもちろんライカに言われた刀を取りに来たのである。

 部屋の壁一面に引き出しが備え付けられており、その中の一つにライカの刀が入っている。

 しかし、目の前には''鍵''が掛かった引き出しがある。

 施錠魔法、これを解けるのは医院長だけ……でももうみんな避難しちゃったし……まさか鍵掛けられてるなんて知らなかったし!

 ミルはここに来る途中、病院内の患者や従業員に避難を呼びかけていた。そして皆ほとんど外に避難した。

 今すぐ医院長をここに……! でもどこにいるのかも……えっとでもとりあえず外に行って……でもライカのあの怪我、一刻も早く治療しないと……――誰か――。

 ミルは急に起きた人生初の緊急事態に心が追いつかず、考えがまとまらない。

 ミルは涙目でギュッ目を瞑る。


「――――ミルちゃん!」

 

 いきなり後ろから声がする。振り向くと、不本意でメイトに二度胸を揉まれたナース、マリアが立っていた。

「ま、マリアちゃん……な、なんで……」

「ごめん! でもこの人が案内しろって……!」

「こ、この人……?」

 マリアは横に避けながら言う。そこには誰もいない。いや、誰かいる、必ずいる。

「ういっす、とりあえず今困ってることを言ってくれ」

 その声を聞いた瞬間、涙が目尻から溢れた。

「メイト……この引き出しの中にある刀が、取れない...」

「うん、ありがとう」

 メイトは小走りでミルに近寄り、引き出しを見る。

 確かに薄く白く光っているな、施錠魔法か? 前世なら鍵制だがここは異世界、そんなものはないだろうし魔法には魔法で解くのだろう。ならば医院長が解ける人だろう、ここにはいない、よって開けられない。というところか。

「これ壊してもいいよな?」

「え?」

 俺は鍵がついた引き出しに手を向ける。

 人が全員避難していた、緊急事態だろう。ナースの服についた血の量、尋常ではない。

 引き出しの手掛けに透明人間が手をかけ、引く。

 次の瞬間、パリンと魔法が破られる音と共に、鍵が掛かっていた引き出しは強引に開けられた。白い光も消える。

「おし、よかった壊れなかったわ。でこれが刀か、これをどうしろと?」

 俺は中に入っていた小刀を取り出す、それはライカが初めて会った時も二回目の時も腰に付けていた物だ。

「……あ、それをライカに持っていく……」

「オケ、分かった!」

 俺は赤髪のナースの肩を叩いた後、走り出す。

「マリア! ミルのこと頼んだ! 俺もできるとこができたらすぐ逃げるから!」

 嘘だけど。

「え――」

 固まってたマリアに話しかけながら横を通り過ぎた。

 マリアはそんなことを考えることはできず、ここで起きたことを理解するのに心が追いつかなかった。

 施錠魔法を強引に解いた……? 確かにものすごい魔法の力が加われば開かないこともないかも知れない、けどそんなことできる人見たことないし聞いたこともない。何よりそれには本当に強大な魔法量が必要になる。

 マリアは驚きで微笑みながらミルに近寄り、肩を支える。

 こんなの、普通の魔法使いのレベル超えてるじゃん――――。


――――――――――――――――――――


 おかしい……なぜ攻撃が全く当たらない……あっちは左腕がないんだぞ。

 シロツメは未だライカへの攻撃の手を止めていなかった。

 おかしいのはあっちだ、体力無限にあるのか?痛みを感じないのか? 血だってもうほとんど出ていない、出し尽くしただろ、なんで死なないんだ。

 ライカは顔色ひとつ変えずに避け続けていた。

 クソっ! 早く攻撃してこい!

 シロツメはバッと床に着地し顔を上げ前を見る。すると、ライカが変なポーズをしていた。

 右腕を上に掲げて何かを握っているような形にしている。シロツメはやっとライカが動き出し、冷静に高揚する。

 なんだ? なにをしようとしている? 揺動か? そんな訳……しかしあの形、細長い棒状のものを握っている形、あれはなんだ?

 シロツメが考えていると、ライカは体を前に倒し地面に形を変えず手に向ける。そして次の一瞬手を離した後、また掴む。

 シロツメは目の前で起きたことに固まる。

 ライカが手を広げた瞬間、刀が現れた。まるでそこにあったかのように平然とするライカ。

 何をした、ライカ。


 メイトが待ったものは三秒ほどで透明になる。解除方法はメイトが手を離し、かつ地面に触れること。メイトが持ち続けていた場合、仮に一部が地面に触れても透明化は解除されない。

 そしてそれは他人でも可能。

 つまり、メイトが持って透明化したものを他人に渡す。この時地面に触れなければ透明化は解除されない。

「流石に有能だな」

「お褒めにくださり光栄だ。そしてナイスキャッチ!!」

 ライカはシロツメの後ろに立つメイトに話しかける。メイトは軽く言う。

 シロツメは声が背後から聞こえ、バッと振り返る。

 開けられた扉、廊下に姿はない。

 ! 誰もいない!? どう言うことだ? 確かにここに気配はある。声もする。

「シロツメ、なぜ今まで反撃しなかったか教えてやる」

「な、なんだと……!」

 シロツメは顔をライカの方向に戻し、ライカを睨む。

「俺はそこにいる透明人間、メイトのことを待っていた」

「と、透明人間だと?」

 そ、そんな人間いる訳が……しかし実際ここに……いや、落ち着け取り乱すな。おそらくただの透明魔法だ、本物の透明人間な訳がない!

「待っていたとはなんだ、なぜ待っていた!そもそもメイトとは誰だ!」

「メイト、あの話は後でだ。よく見ておけ」

 ライカはそういうと、腰を低く落とし、刀を腰のあたりに構える。まるで抜刀する侍のようだ。

 あの話、メアリーの好いてる人は俺かライカのどっちか、の事か……ならちゃんと見ようか。

「何をしている。この状況で何をしようと変わらない。最初の一撃を受けた時点で――」

 ――――お前の負けだ――――。

 シロツメが言おうとした瞬間、空気が揺らいだ。内臓が揺れるような振動が伝わり、空気を曲げる爆音が轟く。風が室内にも関わらず吹いた。

 気がつくと、目の前に直立したライカが立っていた。

「――あ? え?」

 俺は理解できず短い声を漏らす。


「コレが本物の"初手"だ」


 ライカはシロツメを通過して俺の前にいる。つまりシロツメは――。

 俺はライカの後ろを覗く。

 シロツメは腹を切り裂かれていた。左脇腹を横にスッパリいかれていた。血がドバドバ垂れてきて、シロツメは口から血反吐を吐いた。

「ブハッ! ――がっ!!」

 シロツメは脇腹を抑えてうずくまる。

「初手だ、言っただろ。初手さえ決まってしまえばあとは決着する」

「そ、そんなことは……てかお前この惨状……!」

 やっと俺は気がついた、病室はタンスやベットはズタボロに切り刻まれており、床や壁、天井まで血が飛散していた。

 そしてなによりライカに左腕がないことに。

「ライカ……! 腕が……!!」

 俺は信じられない光景にそんなことしか言えなかった。別にあの大人気の海賊をイメージしたわけではない。

 いや確かに憧れだし好きだけどねあのセリフ。

「後回しでいい、それよりあいつだ」

「後回しって……」

 痛くないのか?異世界人の感覚は分からん……。

「教えてやるよ、あいつは誰か。知りたいだろうからな」

 ライカは過去を語り出した。

ご精読ありがとうございました!

不定期で投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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