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【第13話】説教

暇で暇で仕方ない方はご視聴ください!

「なんかいまいち理解できない」など「話無理やりすぎだろ」など思うかも知れませんが、それはご愛嬌ということで!


メイト            主人公。透明人間。

メアリー・フォレスト・レンズ 家庭教師。

シャル・マルマロン      メアリーの教え子。

ハル・マルマロン       シャルの母親。

ライカ            元山賊。

ガロおじさん         メイトの知り合い。

 家に帰ると、ハルさんがソファーに座っていた。

「あ、メアリーちゃんおかえり〜、どうだったメイト君、成長してた?」

 メアリーは先ほどの出来事を思い出しながら、ハルさんの隣に座る。

「……喧嘩していまいました……」

「え!? ホントに!?」

 メアリーが言うとハルさんはガバッとメアリーに寄る。その顔は楽しそうに笑っていた。

「はい……」

「なんでなんで??」

 メアリーが小さく呟くと、ハルさんはさらにメアリーに詰め寄る。

「メイトが私に毎日戦いを挑んでるのは知ってますよね」

「うん、なんかいつもやってるわね」

「……メイトの魔法ははっきり言って凄いです。私も同じようなことはできますが、基礎魔法のみであんなに正確かつ本物のようにデコイを作ることは私にもできません」

「へー凄いのねメイト君……」

「でも、彼は魔法だけに固執する傾向があって、戦ってる時、彼本体はガラ空きなんです」

 メイトとの戦いは、メイトが作る透明人間との戦いだ。それを捌き、隙を作り、彼に衝撃魔法でも撃てば勝てる。

「だから、彼に自分の体を守るための術を学んで欲しく、ある人に教えてもらうよう勧めたのですが、彼はそれが嫌だったらしく……余計なお世話だったようです……」

 メアリーの話をハルさんは黙って聞く。

 そもそも、私はメイトの先生でもない。ライカから授業を受けるのは彼の自由なのに、それを勝手に手回しして、上手くいかなかったら怒って……私は何がしたいのだろう……。

「う〜ん……」

 ハルさんも考えてくれてたらしく、腕を組んで唸る。そして指を立てて言う。

「メイト君が悪いかな」

「……え?」

「メアリーちゃんがせっかくチャンスをくれたのに拒否するなんて、ねぇ?」

 ハルさんはメアリーを抱きしめて頭を撫でた。メアリーは何が起こったのか分からず、ただハルさんに身を委ねた。

「でも彼にも彼なりの考え方が……」

 と、ここで横顔に柔らかい感覚がある。ハルさんの豊かな胸だった。メアリーはあからさまに顔を暗くする。

「メアリーちゃん、メイト君が何歳か知ってる?」

 ハルさんはメアリーの肩を持ち、顔を見る。メアリーはハッと我に帰り、答える。

「歳……? 確か、十六とか言ってたような……」

「そう、十六なのよ……それってどう言うことか分かる?」

「……ど、どういうことですか?」

 ハルさんは自慢げに言う。

「思春期ね。自分のしたいことをどうしてもやりたくなる歳なのよ」

 それを聞いて、メアリーはハッと気がつく。自分もそうだったことに、だから今、こうなっていることに。

「だからメアリーちゃんが気負いする必要はない! メアリーちゃんはすごくいい子よ」

 ハルさんは再び、メアリーのことを抱きしめた。メアリーは黙ってその温かさを感じ続けた。

「でもなんでそんなにメイト君のこと気にかけるの?」

 ふとハルさんが質問した。メアリーはゆっくりハルさんから離れると、赤面して顔を逸らす。

「……あっ、ハーン……なるほどねぇ……」

 ハルさんは勝手に察する。

「いいわねー若いって」

「…………」

 メアリーはただ恥ずかしくて俯くことしかできなかった。


――――――――――――――――――――


 俺はライカの病室で、ベットに座って、窓の外を眺めていた。空はすっかり暗くなっている。部屋は魔法でつけられた光に包まれている。

 ライカはベットで目を瞑り、寝ていた。

 そしてなぜかいる、赤髪のナース……。

「なんでいるんですか?」

 俺は椅子に座るナースさんに話しかける、するとナースさんは読んでいた本を閉じ俯いたまま答える。

「私はそこの男の監視……まぁ、その男が何かしても、私は止めれないけどね」

「それはナースの仕事なのか……? まぁいいんだけど」

 俺はよく考えたらどうでもよく、これ以上詮索するのはやめた。再び、空を眺める。

「ふぁ……」

「……ふぁ」

 誰かの欠伸が聞こえる。それに反応するように俺も欠伸をしてしまう。部屋にまた静寂が流れる――。

「いや違くて!! なんであなたもここにいんのよ!」

 いきなり、ナースが俺を指して言った。

「なんでって……」

「この男は寝床狙いでここに入り浸ってるけど、あんたには家あるでしょ! 帰りなさいよ!」

「……うーん……」

 家か……。

「ちょっち、喧嘩してな……帰りにくい……」

 俺はメアリーのことを思い出しながら呟く。

「喧嘩って、なにかあったの?」

 ナースさんは、ギャルみたいな顔つきだが、真面目な顔になると、そのギャップで驚く。

「……思春期による障害だな、後々冷静になるとあの時なんであれ言ってしまったんだ〜てやつ」

「全然分かんないんだけど」

 もっとちゃんと話せばよかった。まるで俺がただこねるガキみたいだった。

「で? 何があったの?」

 ナースに聞かれて、俺はメアリーとあったことを話した。ナースは真面目に聞いてくれた――――。


「なるほど……」

「そりゃ女が悪いな」

 ナースが顎に人差し指をやりながら考えている時に、いきなりライカが言った。

「お前聞いてたのか……ってメアリーが悪いのか?」

「あぁ、その女は何様って話だよ。余計なお世話って話だろ」

「ま、まぁ……そういうこと……」

 俺は曖昧な返事をする。多分、そう心から思っていないからだろう。

「そう? 普通にメイトが悪いと思うけどね、私は」

「その心は?」

「だってそのメアリーって子、あなたのためにやってくれたんでしょ? ならそれに応えないあなたが悪いと思うけどね」

「……だよな……」

 俺はまた窓の外を見た。

「やっぱり、俺がもっと話せばよかったよな。俺がなんで魔法を極めたいか……」

「なんでなの?」

 ナースはやけに俺に突っ込んでくる。

 暇なのかな……。

「夢だったから……魔法は俺の……」

 前世を思い出す。空を飛べない、触らないと動かせない、火や水は無から生まれない、科学に支配された世界を。

「魔法が夢なんて言う人、初めて見た」

 ナースは呟くように驚いた。ライカはなにか考えるように、腕を頭の後ろに組んで天井を見ながら言う。

「まぁでも、これは俺としての意見だがな、お前と戦った立場としては、女が正しい」

「……」

「まずお前、人殴ったことも殴られたこともないだろ」

 ライカは俺の目を的確に睨みつつ、低い口調で言った。

「ないな」

 前世も、普通に生きてきた高校生だ。人なんか殴ったことはない。それどころか、まず人との関わりだって少ない方だった。

「お前の欠点はそこだろ、経験不足。殴ったことがねぇからゴミみたいな攻撃しかできねぇんだよ、殴る箇所も強さもダメ、ゴミだよお前」

 俺はライカにすごい勢いでゴミゴミ言われる。だが今はツッコむ気にはなれず、ただ聞いていた。

「私は戦ってないから分かんないけど、その子すごい健気じゃん、優しくしなよ」

 その言葉に、俺はメアリーをよく思い出す。マルマロン家に入れたのも、部屋を貸してくれたのも、魔法を教えてくれたのも、全部メアリーだった。

「……あぁ、ありがとう」

「じゃ、今からすべきだと思うことは?」

「……」

 俺はベットから立ち上がり、ナースを見据える。

「帰る、帰って謝る」

「うん、それがいいよ」

 そのまま俺はスタスタ扉に向かい、開ける。

「…………」

 俺はライカに何か言おうとしたが、どうしてもなにも口にできず、何も言わないまま、病室を出た――――。


――――――――――――――――――――


 暗い夜道を歩く。人は誰もいない。前世じゃないし会社があるわけではないが、小さい商店や温泉、居酒屋などはあるらしい。

 はぁー、帰りたくねぇ……。妹もこんな感じだっのかな……メアリー怒ってんだろうなぁ……。

 俺は重い足を無理矢理前に出して歩く。

「はぁ……メアリー怒ってたよな……あ?」

 ふと、ある店の入り口の階段に座るおっさんを見つける。手すりにもたれかかり、具合悪そうだ。

「何やってんだ? おっさん」

 俺は無視できず話しかける。おっさんはゆっくり顔を上げると、ボーと呆けたあと、俺に気がつく。

「お、おぉメイトか……お前、透明だからわかなったかわ…々どうした、こんな時間にヒック」

「おっさんもだろ……酒くさ! 酔ってんのか?」

「酔ってねぇわ、俺は、まだまだ、いへるっつーの!」

「酔ってんじゃん……息切れ凄いし口回ってないし、明日仕事だろ? 何やってんだ」

 俺はおっさんが立とうとするので、肩を貸す。

「はっ! 俺の仕事なんて、ただ家を改築するだけだ。お前のおかげで予定よりだいぶ時間があるからな、明日は休みだ」

「そうなんか……とりあえず帰れよ、もうグデングデンじゃねぇか」

「あ? 俺はまだまだ元気だ! おい! お前も来い!」

「え? あっ、ちょっ、ま!!」

 俺はそのまま肩を組まれたまま居酒屋に連れて行かれた。

 おっさんは俺を逃さないようにガッチリ掴みながら、店の奥のテーブルに座る。机の上には飲みかけのビールやおつまみが置いてある。

 ここで飲んでたのか……しかも空きジョッキが五、六個……相当飲んでんな……。

 俺はおっさんから離れ、とりあえずおっさんの向かいの席に座る。

「言っとくが、俺は酒飲まないからな」

 未成年だし。この異世界に未成年飲酒禁止法があるのかは知らんが、発達のために飲まない方がいいだろう。

「あっそ、別に飲めなんて言ってないぞ」

「おっさん酔い覚めた? 戻ってくんの遅いから逃げたかと思ったよ」

 いきなり、エプロンを身につけた俺と同じぐらいの年齢の女の子が話しかけてきた。その手にはお椀が持たれていた。

 居酒屋の店員か……若いな……。

「あぁ、悪い。見ろ、例の透明人間だ」

 おっさんは俺を指して言う。店員は怪訝そうな目で俺を見た後、笑った。

「はっ、何もいないじゃん。まだ酔っ払ってんじゃないの?」

「いやいや、ホントにいるんだって。触ってみなよ」

 おっさんに言われ、店員はスッと俺に手を伸ばす。

 その手は俺の頬に触れた。すると「ん?」と言いながら頬から顔全体をベタベタ触ってくる。

 いや、別に嫌とかじゃないし、むしろいいまであるんだけど……手、小さ……。

 俺がその手の感触を堪能していると、だんだんその手は下に移動して、肩から胸、腹に移動する。

「う、うわっ! ホントにいる!」

 やっと人だと認識できたらしい。

「どうも……」

 惜しいな……もうちっとで俺の陰部に触れるとこだったのに――。

「ホントに透明なんだ……触るまでマジで分かんなかった……」

「はは、まぁな……俺、ノンアルコールのなんか飲み物テキトーに持ってきてよ、この人ツケで」

「あ?」

「りょーかい、ちょっと待ってて〜」

 そのまま店員はスタスタカウンターの方に歩いて行った。

「まだ認知されきっていない……」

「おいクソガキサラッと俺ツケで注文するな」

「てか、意外と人いんだな」

 店内は、おっさんとタメか、年上のおっさんたちがそれぞれ席に座ってワイワイやっていた。

「まぁ村唯一の酒場だしな、みんなここに来る……て、無視すんな」

「お待たせ〜、これ、ノンアルだから」

 そう言って、机にジョッキが置かれる。中にはオレンジ色の飲み物が入っていた。

「ありがとう」

「てか、やっぱ透明だと色々できるでしょ、エッチなこととか」

 店員はいきなり空いていた席に座り話しかけてきた。俺はチビっと運ばれてきた飲み物を飲んでから、答える。

「んなことない、俺は紳士だからな。相手への許諾もなしにそんなことはしない」

 俺は絶世の紳士なんだなーこれが、どう惚れた?

「うわー意識高ー……じゃぁ相手と許諾取れたらヤるんだ」

 すると店員は腕を机に立てて、胸を腕でギュッと寄せて見せつけてくる。

「ま、まぁそういうことだな……ジロジロ」

「私、キョーミあるんだよねー、透明人間とヤるの……どう? このあと――」

 な、なんだこの人は……痴女なのか!? そういう人か!?

「い、いや、結構です……それに俺性欲がないので無理です――――」

「いやっw、ただの冗談だからwガチにしないでよww」

「ナッシェル! サボってないでこれ運べ!!」

「あ、お父さん。ごめんね――はーい」

 そう言って、店員はスタスタサングラスのおっさんの方に歩いて行った。なんだろう、なんで俺は彼女を心から殴りたいのだろう……。

「なんすか今の、完全に俺のことバカにしてますよね? 仕事しろよマジで」

「ナシェルちゃんはああいう人なんだよ、そこが可愛いだろ?」

「可愛くねぇよ……」

 本名はナシェルというのか。お父さんは怒ってたぽいし、それで『ナッ』てなったのか。どうでもいいが。てかナシェルって、あのエロい女性と同じじゃん名前。親族とか?

「えらいよなナシェルちゃん……あんな若いのに両親の手伝いなんて……」

「あぁ、ホントだぜ……魔法学校に入学も諦めて、親の後継をするらしいぞ」

「そうなのか……かわいそうに、せっかくの若い時になぁ……」

 隣からそんな噂話が耳に入る。俺はガロおじさんに小声で話しかける。

「あいつ、学校行ってないのか?」

「そうだよ。ナシェルな、昔は魔法が好きで学校行くつもりだったんだけど、親父さんはこの店継いで欲しいらしいから、学校行くより店で色々学ばせたいんだと。それもナシェルは納得して、今は魔法をやめて居酒屋で料理とか接客とか学んでだと」

「なるほど……後継ねぇ……」

「好きだった夢諦めて親のために働く。悪いことじゃないけど、なんか可哀想だよな」

 ガロおじさんはビールをグビッと飲みながら呟いた。俺もナシェルが運んできてくれた飲み物を飲む。

「夢、諦めたのか……」

「なんだ? そんなに可哀想かあいつ?」

「いや、可哀想とは思わない。彼女がそれで納得してるなら俺がとやかく言える立場じゃない。むしろ俺が嫌なのは夢を諦めたことだ」

「あん?」

 俺は、他の客と接客するナシェルを眺めながら、呟いた。その手のお盆には、何本もの満タンのジョッキが乗っている。

「……フッ、自分のしたいことを諦めるのは、もったいないだろ」

 俺が微笑みながら言うと、ガロおじさんは眉を寄せて俺をジロッと見る。俺はその視線から逃げるように、ナシェルを見ていた。

「なんかあったかお前、声色変だぞ」

「は?」

「お前は顔が見えないから感情が分からんが、その分声色に感情が乗るんだよ、お前なんか落ち込んでないか?」

「……まぁ、違うと言えば嘘になるな……」

「なんかあったのか?」

 ガロおじさんはお構いなしに踏み込んでくる。

「いや、別に大きなことじゃねぇけど――――」

 俺は一通り、メアリーとあったことを話した。


「なるほどなぁ……」

「まぁ? 俺は夢からは逃げないって決めてるからな、例え間違ってても俺は俺がしたいことをやる!」

 俺はガシッと拳を作って上に掲げる。すると今まで黙って聞いていたガロおじさんが立ち上がった。

 そして、手を伸ばし、俺の頭に手を乗せる。

「あ? え? なんだよ――――」

 バガン!!!!

 いきなり殴られた。

「イっっぁ!! なんだよ急に! グーで殴んな!」

 俺が頭を摩りながら涙目になる。ガロおじさんは神妙かつ熱った顔で席に座る。

「強がんなガキ、お前はやっぱりクソガキだな」

「なんでだよ急に……」

「夢からは逃げないなんて、んなことはどうでも良くてだな、お前の問題は『したくないことはやらない』精神だ」

 ガロおじさんは俺を指差しながら言う。俺は反論する。

「そんなこと言ってねぇ、俺はそれに合理性があればしたくなくてもやるよ」

「じゃあなんで凄い奴らから学べ言われてんのにやらねぇんだ、結局逃げてんだろ」

「……魔法があれば学ぶ必要性は無い、したいことか、したくないことをやって、結果が同じならしたいことをやりたい、普通だろ」

 ガロおじさんは肘を机について、口に手をやる。その視線は少し怒ってるようだった。

「『夢から逃げない』って……『したいことから逃げない』と同じじゃないからな?」

 ガロおじさんは手を机に置いて言った。俺はドキッと心臓が跳ねた。

「むしろ、夢から逃げないために、したくないことやるんだよ。そういう遠回りに見えることが、実は一番綺麗な道なんだよ。ガキにはわかんねぇだろうけど」

 ガロおじさんは残り少ないビールを一気に飲んだ後、おかわりをナシェルに頼んだ。

 そうだった――――。

 俺は残りの飲み物を全部飲み干し、ガタッと椅子から立ち上がる。

「ありがとうおっさん、気づけた……あと、思い出した」

「あ? んならいいけど……おっさんじゃねぇ」

 今更かよ……さっきからおっさん臭が凄かっけどな。

「フッ、マジでありがとな。ちなみにそれアドバイス?」

「馬鹿か、説教に決まってんだろ」

「ハハっ、そうか」

 俺はそう言いながらおっさんの隣を横切り、入り口まで向かう。

「あれ、もう帰り?」

 と、横からナシェルが話しかけてきた。椅子から立ったあたりから見てたらしい。

「あぁ、おいしかったよあれ、ありがとう」

「そう、それは良かったけど……なんかあったの? 言い争ってなかった?」

「いや、もういいよ、俺が馬鹿だったから」

「ふーん……まぁよかったらまた来てね」

「うん、また来る。居酒屋手伝って欲しければ俺かハルさんにでもに言ってくれ、俺が手伝いにくるよ。ナシェルも魔法頑張ってな」

 するとナシェルは目を見開いて後ずさる。

「え、なんで魔法使ってんのバレたの……? 今までだれも気づかなかったのに……」

 俺は首を捻りながら教える。

「だって盆光ってたから、魔法で支えてたんだろ? あの量を一度に運ぶなんて女子の力じゃ無理そうだし」

 ナシェルはずっと魔法をコソコソ使いながら接客をしていた。俺がチラチラ見ていたのはナシェルの魔法が気になっていたからである。

 ナシェルはポケーとしたまま俺を見る。と言っても見えないが。

「そういうの、いいと思うぜ」

 俺はそう言い残し、入り口から出て行った。

 立ったままのナシェルは数秒呆けた後、呟いた。

「光ってた……って何?」


 外に出た俺は、空を仰ぐ。

 空は相変わらず満天の星空である。前世じゃありえないほど街明かりは少ないので、星空が綺麗に見える。

 それは、あの時病院の窓から見た星空よりも、綺麗に見えた。

「さて〜帰りますか〜」

 俺は鳴る腹を摩りながら、マルマロン家の方向に足を向けた。

ご精読ありがとうございました!

不定期で投稿してくので次回もぜひ読んでください!

シャス!

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