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わらべの詩(仮題)

イノセント・エイジ(無邪気な頃)

作者: 浮き雲




人と話すのが、とても楽しかった


無邪気だった頃



夢と現実の境目に気づかず


たやすく飛び越えていた少年の頃




竹の矢は


はるか遠くまで、真一文字に飛び


棒切れの刀は


打ち合わせるたびに火花を散らした


昨日、見つけたもぐらの死骸は


大切な宝物で


石碑の中、宿る神様への生贄だった




からだよりも先に


心が飛び跳ねていた、あの頃


感情が動きになって爆発した、あの頃




好きな子に悪口を言った


ほかに、気を引くすべを知らずに



敵と味方のふたつだけで十分だった


人を別けるふるいの目



切り捨てたものたちを、省みなかった


自分の中に、神様を宿していたから




砂浜に掘った基地のなかに


夢を埋めた日を覚えてはいない


夢の境が遠くなって


眠らないと開かない国になった


その日を覚えてはいない


・・・いや、憶えている




こころの中の神様を見失い


すべてを疑い、なにも信じなくなった


あの日を憶えてはいない


・・・いや、憶えている




「無邪気なこころ」を捨てたのは僕


捨てた場所を


そして、時間を


忘れたふりをしているのも僕


こっそり残した「道しるべ」は、いまも、こころの中


無造作に丸めた画用紙の地図



埃だらけの宝箱に


鍵をかけたのは、あの日の僕


そして、探しているのは、いまの僕




いつか出かけよう


「無邪気なこころ」を捨てた時代へ


捨てた場所へ


きみとふたりで、地図を広げよう




廃屋の軒下に


林の入り口の大きな椎の木の根元に


田んぼを流れる用水路に


埋立地の砂の中に


捨てたものが残っていたら、そっと拾い集めよう




「無邪気なこころ」の骸を拾ったら


景色のいい場所をえらんで、お墓をつくろう


それから、もっと素敵な場所を探して


生き残っていた種を育てるんだ



いつか、また


「無邪気なこころ」が芽吹くように・・・







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