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屍従王  作者: シギ
第二章 ギアナードの魔女編
37/113

035 “朱羽老人”

「なあ、俺たちはいつまでこのクソみたいな国にいなきゃなんねぇんだ?」


「さてな。団長はもうそろそろ帰れると言ってたが…」


「ウソだろ。そう言って、もう1ヶ月以上だぜ。ハーフヴァンパイアにエサをやるのにも飽きてきたわ」


「帰還許可がおりねぇんだから仕方ないだろ」


「オメェはいいよ。たまに女の方にエサをやりに行けるんだろ?」


「…そりゃ、お前が殴ろうとしなきゃよ」


「だって腹立つだろ! 俺たちが助けてやったんだぜ! それなのにカダベル様がどうだの、サーフィン村に帰りたいだの…アイツ、修道士だろ? 普通は聖学校に戻りたいって言うだろうが!」


「…しょうがねぇだろ。屍従王ってのに洗脳されちまってるって話じゃねぇか」


「洗脳されてんなら、何されたとしても…つまり妄言ってことだよな?」


「まあ、そうだな…。屍従王が善人だって言うぐらいだからなぁ」


「ちょっとぐらい痛い目みても、単なる被害妄想で説明できるよな?」


「…おい。またジョシュアに殴られるぞ」


「知ったことか。アイツの姉のせいでこっちは迷惑してんだ。少しぐらい責任とらせたってバチは当たんねぇだろ。どうせイカれ女だ」


「……ま、イカれ女には同意だな」


「いいから鍵出せよ。ビビってんなら、俺だけ楽しんでくる。オメェは自分の親指でもしゃぶってろ」


「…チッ。しゃあねぇな。傷だけはゼッテーにつけんなよ。言い訳できなくなっからな。アボッド」


「は! オメェも溜まってんじゃねぇか! クズン!」


 クズンは立ち上がると、鎧の下から鍵を取り出す。


 そしてアボッドとクズンは、共に洞窟の奥へと進んで行った。


 そこは生活する上で最低限の設備しかない。それでも聖騎士団の活動拠点となるように、少しずつ仲間が資材を運んで作り上げた、領地境にある秘密のアジトだ。


 食料や水は充分にある。調達に行くような危険を冒さなくてよいという恩恵に、彼らはもっと感謝すべきはずなのだが、さすがに1ヶ月以上もこんなところに閉じ込められていて気も滅入っていたのだ。


 洞窟奥には、粗末な木製扉が左右に2枚並んでいた。


 左側にはあのハーフヴァンパイアたちがいるが、最低限の食事しか与えていないからだいぶ弱ってきているはずだ。


 アボッドは迷うことなく、右扉の鍵を開けて中へと入る。


「…お祈りは終わったかなぁ? ロリーシェちゃぁ〜ん」


 薄暗い部屋の中、ジャラリと鎖の音がする。


 目を凝らすと、ベッドの上に膝を抱えて座る少女の姿があった。


 食事も水もほとんど取らない。それでも碧色の瞳は、捕まった時とまったく同じ強い光を宿している。


「…本当に薄気味悪い女だぜ」


「イヤなら出て行ってもいいんだぜ」


 愚痴るクズンに、アボッドが舌打つ。


「…カダベル様は必ず私を助けに来て下さいます」


 小さな声だったが、ロリーシェはそうハッキリと答えた。


「まだそんなこと言っているのかよ? あれから何日経ったと思う? お前の大事な人は死んだの。崖から落ちてよ。おっんだの」


「…死にません。カダベル様は死を従える方。決して死ぬことはありません」


「そりゃ信仰だな。だがよ、聖心余す所無く照らされますように…じゃないのか?」


「そうだよ。ロリーシェちゃん。源神オーヴァス様に祈らなきゃダメだよぉ。修道士ならねー」


 ロリーシェは瞬きすらしない。ふたりを見ることもない。

 ただ扉の先にいる、見えないカダベルの姿を追い続ける。そこに疑念や不安は一切なかった。


「…不敬だなぁ。神様の代わりに、俺らがちょっと罰を与えなきゃダメだねぇ」


 アボッドが茶化すように両手を広げる。そして、クズンの方へと振り返ると油断させて置いて、いきなり裏拳でロリーシェの左頬を殴った。


「ああ! ゴメーン! 勢い余って当たっちゃったぁ? 大丈夫ぅ?」


 ロリーシェは呻き声1つ漏らさず、何事もなかったように再び正面を向く。唇の端から紅い筋が垂れた。


 アボッドはその無反応に大きく肩を落とした。


「…つまんねぇ。イカれ女。本当につまんねぇよ」


 クズンは嘆息し、外にかけてあったランタンを手に取って扉の内錠を閉める。


「クルシァンにはさぁ、俺を待っている娘たちがいっぱーい居るの!」


 アボッドはさっきとは反対側の頬を叩く。


「…おい。顔は止めとけよ」


 クズンも胸がスカッとするような思いを抱きつつも、体面を保つためそう言った。


 アボッドは「フン」と鼻を鳴らすと、今度は腹部を殴り上げる。


 ロリーシェはもんどりうって咳き込むが、胃の中にもはや吐く物はなく、血とわずかな胃液だけがベッドの上に染みを作り、辺りに酸っぱい臭いが漂った。


「オメェみてぇなつまんねぇクソ女のせいで!」


 再び、殴る。


「こんなクソみたいなところに! 閉じ込められてよぉ!!」


 さらに殴る。


「せっせと、マンマの世話までしてやんなきゃなんねぇのよ!」


 蹴り飛ばす。


 怒りに任せて暴行しているように見えて、実はアボッドは決して痕にならぬように手加減はしている。

 しかし、体力をほとんど失いかけている彼女にとってみればダメージは深刻だ。

 まるで抵抗もせず、ロリーシェは人形のように殴られるがままにされている。


「ハァー。やっぱ、つまんねーわ」


「おい。そろそろ…」


「わーってるって」


 カチャカチャとベルトを外す音を聞いて、クズンは肩をすくめた。


「清廉な修道士も、風呂に入ってねぇと臭うのな! まったく汚たねぇったらないよな!」


「…それで、よくヤル気になるな」


「へへ! 俺の白い聖水で浄化してやるんだよ!!」


 アボッドが倒れたロリーシェの両足を掴んだ次の瞬間、ドン! と、大きく扉が蹴り開かれた。錠はまったく意味をなさずに弾け飛ぶ。

 

 入って来た者の顔を見て、ふたりの顔がみるみるうちに真っ青になる。


「ジョシュア! ち、違うんだ! これにゃ、わけが…」


 鬼の形相をしたジョシュアは、アボッドの前髪を左手で掴み、ガントレットに覆われた右拳を容赦なくその顔面に叩き込んだ!


「ンガァ! 鼻が、鼻が折れぎゃぁ!」


 鼻を押さえ、アボッドはジタバタと暴れまわる。


「おい! ジョシュア! やり過ぎだ!」


「…出ていけ。殺すぞ」


 年下相手に視線だけで気圧され、クズンは思わず喉を鳴らして頷く。


「おい。アボッド…。行くぞ」


「て、デメェ! ジョジュアァ! 絶対に、ゴロズ! ゴロジデやるがらな!!」


「…やってみろ」


 ジョシュアが剣に手をかけると、アボッドはヒュッと息を呑む。


 力では絶対に勝てない。同じ聖騎士でも、ジョシュアとアボッドにはそれだけの力量差があったのだ。


 しばらく無言のまま睨み合ったが、やがてクズンに支えられるようにしてアボッドは部屋を出て行った。


「……ごめん。俺が少し眼を離した隙に」


 ジョシュアの表情から殺気が消え、代わりに後悔が滲む。そして傷ついた姉の姿を見て唇を強く噛んだ。


「…いま回復を…」


 魔法をかけようとした手を払いのけられ、ジョシュアは眼を見開く。


「……あなたは間違っている」


「ロリー。聞いてくれ…僕は…」


「私は…あなたとは話さない」


 ロリーシェが舌を大きく出したかと思うと、上と下の歯で挟む。

 それが舌を噛み切る合図だと知ったジョシュアは手を震わせつつ後退る。

 彼女は本気だ。話し掛けたり、または触れた瞬間に、本当に舌を噛み切ってしまうだろう。


「…あなたは私の弟ではない」


「…ロリー」


 まるで心臓に杭でも打たれたかのような痛みを覚え、ジョシュアはヨロヨロと離れ、逃げる様に部屋を出て行くことしかできなかった。




──




 扉の外に、サトゥーザがいた。

 彼女は両腕を組んで難しい顔をしている。


「……ふたりには厳罰を与える」


「……いえ、俺が鼻を折りましたから。それが罰です」


「優しいな。ジョシュア」


 サトゥーザは視線を落とし、それから首を傾げた。


「…そろそろ限界だ」


「俺は…まだ!」


「お前だけじゃない。我々も、捕虜たちも…いつまでもこうしては置けん」


 ジョシュアは己の不甲斐なさ、そして歯痒さに眉を寄せる。


 ロリーの説得は失敗続きだった。この1ヶ月間、彼女はまるで話を聞こうとせず、何の進展も見られなかったからだ。


「……総団長に救援要請を出した」


 苦々しい表情で、サトゥーザは言う。

 名誉職とも呼べる、ほぼ引退したも同然の上司の手を借りることを、サトゥーザは今まで忌避していたのだ。

 しかし、その手を使ったということは、サトゥーザ自身ももうどうすることもできない状況にまで陥っているのだろうと、ジョシュアは改めて認識する。


「……政治的な判断、その良し悪しは私たち騎士の知るところではない。だが、そういう決断をしなければならない可能性も覚悟しておけ」


「まさか、姉を…」


 最悪のことを考え、ジョシュアは慄く。


「いや、それはない。…だが、カダベル・ソリテールが何やら嘆願書のような物を各地の教会に送りつけているらしい」


「…本当にヤツは生きているのですか?」


 ジョシュアの問いかけに、しばらく考えるようにしてから、サトゥーザはやがてゆっくりと頷いてみせた。


「……お前が見たのはアンデッドだったのだろう。それが答えだ」


 ジョシュアは何とも言えない顔を浮かべた。


 てっきり倒してそれで終わりだと思っていた。

 

 しかし、死者は倒すことができない。


 幽鬼のごとく自分たちにまとわりつき、徐々に生者の精力を削いでいっているように思われて仕方なかった。


「……不本意だが、最悪の選択をすることになれば、ロリーシェ・クシエをこのまま解放する。クルシァンには連れ帰れんからな」


「…それでカダベルの元へ?」


 サトゥーザは悔しそうに頷く。


「もっと最悪なことは、屍従王と交渉することになるやも知れん。…もしくは魔女、か。これは上の判断次第だな」


「それが聖騎士団として正しい行為なのですか!?」


「滅私!!!」


 反論しようとしたジョシュアを、サトゥーザは一喝する。


「……繰り返すが、良し悪しを判断するのは我々ではない。それではアボッドやクズンと同じ過ちになるぞ」


 ジョシュアは心を鎮めて、今の団長の言葉を胸の奥に充分に落とし込む。


 個人的な感情に囚われていてはダメなのだ。


 彼は聖騎士なのだからして。


「……すみませんでした」


「ああ。わかればいい。…いまは辛いときだ。しかし、頑張って乗り切ろう」


「…はい。団長」




──




 俺は【筆記】で次から次へと書面を作り、それを【投函】で続け様に送る。


「あー、良かった。孤児院とかに、嫌々でも寄付したのが役立ったわ」


 カダベルがまだクルシァンに居た頃、なんだかよくわからないイベントで、多額の寄付をしなさいみたいな催促が聖教会から来たことがあった。


 愛は地球…違った。クルシァンを救うだの、すべての人々に愛の手を、いまこの瞬間にも飢えに苦しむ弱者がいる…みたいな文言が並んでいて、カダベルも辟易とした様子で手紙を破っていた記憶がある。


 それでも「他の貴族もやってるんだから、貴卿もやっちゃいなよ! 拝金主義はダメだよ!」…みたいな文言を送りつけられ、さすがに頭にきたカダベルは「恵まれない子供たちに配っちまったから、宗教団体には寄付できねぇだ!」と、提示された以上の額面をドカンと孤児院に宛てて直接送金してしまった。


 こういうカダベルの思いっきりが良いところは、道貞()も強く共感する部分だ。

 街頭寄付とかやってると、つい「これって全額恵まれない子たちに行くんですか?」って聞いちゃうしな。

 幾らでもいいって言うんで、気まぐれに数百円くらい募金したことあったけど、うっかり住所書いちゃったら何度も何度も寄付してくれって来るのな。

 ネットニュースかなにかで、その団体の役員が多額のボーナスもらっているの知って、なんだかなーって感じたのを覚えている。


「孤児院に寄付ですか…素晴らしいことですね」


 ルフェルニが眼をキラキラとさせている。


「別にタダでじゃないさ」


「え?」


 カダベルを慈善家だとでも思ってるのかな? 


 このカダベルは、そういうことをする男じゃない。


 子供の食べるパンなんかより、自分が読む魔法書の方が大事な男だ。


「ちゃんと見返りは要求したよ」


「見返りですか?」


「うん。孤児たちがその後どうなったか教えてくれって言ったの。大人になったら、本人から手紙を送らせるようにってね」


「なるほど。追跡調査…みたいなものですか。カダベル殿には確かに知る権利はありますよね」


「それで働けるようになったら、自分たちが大人になるまでに掛かった費用を必ず孤児院に返すように約束させたの」


「…それでどうなったんですか?」


「ん? 誰からも連絡こないよ。だから、孤児院に金を返したって子もひとりもいないんじゃない」


「そうなんですか…。それはなんとも…」

 

 まあ、そこはどうでもいいことだ。孤児院が多少の恩義でも感じてくれればいいや程度にしか考えてなかったろうし。


 見返りなんて最初からどうでもいい。


 条件を付けたのもタダではやりたくなかっただけだし、どうなろうとカダベルはまったく興味がなかった。


「だから信じないの。期待しないの。人は感謝を忘れる生き物だからさ」


 俺はせっせと手紙を拵えつつそう言う。


 これだって、数撃ちゃ当たるんじゃないかって程度の物でしかない。


 どこまで聖騎士や聖教会に影響を与えられるか…何もやらないよりはマシってな感じだ。


 ただロリーのことを書いたのは俺の作戦だ。


 聖騎士たちはきっとロリーのことを隠しておきたいはず。それを公にしてやることで、国内の聖騎士の動きを最低限は封じられるかも知れない。


 少なくとも、ロリーを連れて堂々と凱旋して帰還…なんてできないようにしてやった。


 聖教会は体面を気にする。少しでも変な噂が流れているとしたら、どうしたって慎重になるだろう。


 宗教団体ってのはイメージを大事にするからな。


「信頼は…」


 ルフェルニは何か言いたそうにしていたけれど、口を開きかけて閉じる。


「あ。カダベル殿…。返信が…」


 フヨフヨと手紙が飛んでくる。


 【投函】は俺だけが使える魔法じゃない。生活魔法なんだから、使える一般人は多い。


 俺はパッとそれを取ると開く。


「……」


「どなたからですか?」


「…とある孤児院の院長からだわ。『朱羽老人様。私はあなた様に救われた孤児のひとりでした』…と。あー、うん、なるほど」


 そこまで読んで、俺は気まずくなって首を横に振る。


「…それで?」


 ルフェルニ。こういう時は少し意地悪いよな。


「……孤児院間のネットワークがあるから、それを使って、ロリー捜索のために力を貸してくれるって。聖教会全体にも呼びかけてくれるらしい」


 他人事のように俺はそっけなく言う。


 だが、ルフェルニは少し嬉しそうに笑っていた。


「…ちゃんと覚えていてくれる人もいたようですね」


「……そうね。ま、俺から手紙を受け取って、ようやくのことで思い出したんでしょ」


 あの時の寄付金返せーみたいな督促状だと思われて、慌てて返信したとかいうオチだったりしてね。


「……でも、カダベル様がギアナードに引っ越されてからの住所などは教えてあったんですか?」


「え? …あ」


 待てよ。教えていないかも…


 でも、ナドには教えておいたような。


 あ! そうだ。そういや、俺宛の書面は全部処分しろって言ってあったわ…。


 読まないし面倒くさいから燃やせって…。


 あら? 待てよ。そもそも確か“朱羽老人”ってのは匿名で……


 私書箱?


 あっれー?


 そんなもの用意した覚えもないぞ?


 おい。カダベル(お前)、どうやって返事を受け取るつもりだったんだ?


 ……ああ、こういうところだ。本当に。魔法以外のことは、本当にいい加減なんだよな。


「それじゃ、いくら感謝を伝えたくても…伝えられないですよね。カダベル殿」


「そ、そうね…」


 盲点だった。いや、俺が…ってより、カダベルが他人に興味なさすぎなんだ。


 自分で知らせろとか言っておいて、これはさすがにないだろ。ダメだろ。


「……カダベル殿。私もロリーシェさんも、絶対にあなたから受けた恩義は忘れません。それは決して…決してですとも」


 俺の手に触れて、ルフェルニは真面目に頷く。


「……なんでそこまで俺を信頼できるんだよ」


 なんだかこっちが申し訳ない気がしてくる。


 ロリーもルフェルニも、俺こと屍従王カダベル・ソリテールに全幅の信頼を置いてくれている。


 理由はミイラフェチだから…そんなわけでないことは、俺はもちろん気づいている。


「カダベル殿がいつも真摯だとわかるからです。嘘偽り無く、私たちを心から案じてくれるのだと…だから、きっと私たちもそれに応えたいと思うんですよ」


 ルフェルニが窓の外を指さす。


 そこには覆い尽くさんばかりの返信の山が浮かんでいた。


「……なんともはや、だ」

 

 カダベルは人助けしようなんて思ってはいなかった。


 けれども、彼の存在は本人が知らないところで大きくなっていたみたいだ。


「……まあ、そうだな。ロリー。助けてやらなきゃな」


「はい。私ももう一度、貴族だけでなく、御用聞きの商人などにも目撃情報がないか当たってみます」


 ルフェルニが頑張っているのは知っている。最近は寝る間も惜しんで、コウモリたちの収集した情報を調べてくれていた。


「……待っているよな」


「はい。カダベル様を待ってます。絶対です」


 そうだ。俺が連れてきてしまったんだ。だから、俺が取り戻さなきゃいけない。


「…もしだ。あのに危害を加えるような輩がいたら」


「いたら?」


「……死より恐ろしい思いをしてもらおう」


 よほど怖い顔(いつもだけれど)をしていたのか、ルフェルニがブルリと震える。


「……もう少し待っててくれ。ロリー。なんとしてでも、必ず助け出してやるからな」

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