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屍従王  作者: シギ
第二章 ギアナードの魔女編
33/113

032 死者と生者の交渉(1)

 ディカッター城に、3台目の馬車が到着した。


 まるで示し合わせでもしたかのように、馬車の扉が一斉に開いて片足を地面にと降ろす。


「…遅かったね。ミューン」


 背の高いウサギ耳の女が言った。


「サルミュリュークは遠すぎるわい。…それに、こんなにゴミゴミしとるところは苦手じゃ」


 フードを深く被り、扇のような持ち手の杖を掴んだ小柄なリザードマンがそう応えた。


「手を貸そうか。おじーちゃん」


「いらん。お主とそんな歳は変わらんだろが。年寄り扱いするな、シャムシュ」


 シャムシュと呼ばれたのは、ミューンよりも小さなネズミやチンチラに似たモッドと呼ばれる亜人だ。


「でも、イスカもミューンも本当に久しぶりだよね。皆が揃うのは…王都? クラモンス邸での社交界以来? 2年くらい前になるのかな?」


 シャムシュはドングリのような眼をクリクリとさせた。


「バカね。5年近くは経ってるわよ。…仕方ないでしょ。今の王都には魅力を感じないんだもの」


 首にかかった高級なファーの襟巻きを弄びながらイスカが答える。


「…それでだ、憂国の志士は儂らだけということか?」


 ミューンは他に馬車がないのを見て眼を細めた。


「前もそうだったでしょ。あの時に持ち上げようとしてたのは、外務大臣…いや、防衛大臣だっけ?」


「防衛大臣。先代のね」


「まあどっちでもいいんだけどさ。僕たち貴族が大臣を担いで、対立を引き起こさせようとしたじゃん。でも、それにビビった貴族がいたせいで頓挫したんだよね。覚えてる?」


「ビビった? 最初から非協力的だったのよ」


「…あれはそもそも戦略が悪かった。なぜあの気弱な大臣だったんだ? 大臣なぞ、王と同じくらいに大馬鹿者だ」


「大臣は馬鹿じゃないよ。ただ国の仕組みが良すぎてるんじゃない? あんな王様でも機能しちゃう国家システムそのものに、根本的な欠陥があると僕は見てるね」


「だからこそ、その機構を破壊する案だったんだろうが。

 儂から言わせれば、その機構に組み込まれた人間じゃ絶対に無理じゃな。決して、そこからは抜け出せん」


「そうかな? じゃあ、どこの人物ならいいのさ?」


「民間から…商工会のギルド長でも良かったではないか。ヒューマンはあまり好かんが、あの男はドワーフとも対等にやり合う胆力があったぞ」


「えー、欲望のカタマリじゃーん」


「あの時に防衛大臣を選んだのは、御輿に担がれてても気づかない位に頭が軽かったからよ」


「扱い易い、無脳の無能だったよね〜」

 

「そうそう。だからこそ、野心が強すぎるのはダメ。絶対に見返りを求めるようになるんだから。それって情熱的な革命家になりうる? ならないでしょ。カリスマが足りないわ」


「無脳の無能にもカリスマはないじゃろうが」


 ミューンは納得しかねるという風に首を左右に振った。


「…ま、そんな風に積もる話も沢山あるけどさ。主催者を待たせて、玄関前でこうやって立ち話もマズイいよね」


「ヴァンパイアは寿命が長い分、気も長い」


「私も長生きだけど気は短いわよ」


「エルフは心臓の鼓動が早いからだ。だから、いつもせかせかしておる」


「ハン! この胸見てみな! 胸が大きい分、心臓も丈夫なのよ!」


「…どういう理屈じゃ」


 イスカは豊満な胸をぶつけんばかりに近づき、ミューンは不快そうに身を引く。


「神経質だって言ってるのさ。ちょっとしたことでいつも心臓麻痺起こすのは、小心なリザードマンの方だからね」


 ミューンとイスカは一瞬だけ睨み合って、フンと口の端を笑わせる。


 顔を見合わせては憎まれ口を叩く…長年の付き合いがある彼らには、これが挨拶みたいなものだった。


「まあまあ。種族イジリは良くないよ〜。中に入ろうよ」


 3人はそんなやり取りをしつつ、メイドたちに出迎えられて玄関の扉をくぐったのだった。




──




「儂もディカッターと会うのは久方ぶりだな」


「ええ。まあ、そもそも私たち領主が直接に顔を合わせる機会なんてないでしょ。たいした用もないんだし…この国じゃね」


「あ。僕はつい半年前にルフェルニと会ったよ」


「ルフェルニというより、コウモリのミミだろ? 友達ならそりゃ会うだろうさ」


「ルフェルニとも友達だよ〜」


「よせよせ。ヴァンパイアは優秀だが閉鎖的だ。お前もそのうち同化されてしまうぞ」


「あー、もう! ミューンは偏見が強すぎるんだよ。さっきもそうだけれど、種族イジリだなんて最低だよ。閉鎖的なのはどっちだい」


「偏見ではないわい。単なる事実じゃ」


「“平定の大魔法師”に聞かせてあげたいわ。ここに流行らない種族差別をしてるリザードマンがいるってね」


「フン! 事実と言うてるだろうに!」


 案内してくれているメイドの前でも、こんな風に3人の会話は止まらない。


「…しかし、ルフェルニと連名になってる者の名は気にならんかったか?」


「ああ。“屍従王”ってあったよね。聞き覚えある?」


「あるわけないわ。何かの当て付けだとしても悪趣味だとしか思えないし」


「…で、最近地方で暴れている魔物と関係すると思うか?」


「それって魔女と懇意じゃないかってこと?」


「ま、絶対にないとは言えないわね」


「…当て付けってそういうこと? 僕たちに?」


「あの魔女ならやるだろう。儂らのような輩を煙たがっておる…いや、眼中にすらないかもだが」


「いやぁ、でもそうしたらルフェルニが魔女に屈したってこと? 心の中まで支配された?」


 シャムシュが声をひそめて言う。


「ルフェルニは、魔女に何か仕掛けられとるんじゃろ…。内容までは知らぬが、呪いとやらか?」


「魔法ならミューンの専門分野だろ」


「儂の知らぬ魔法もあるわい。ルフェルニは魔法を嫌っとるしな。そういった類の話はせん」


 ミューンはギザギザの歯を剥き出しにして不快感を示す。


「魔女のヤツは、ルフェルニがお気に入りだって聞いたよ。自分のモノにできないから…ってやつかい?」


「フン。そうだとすれば、その屍従王とやらは危険なニオイがプンプンするな」


「…それなのに、わざわざその誘いに乗るのぉ?」


「怪しいからこそ他の貴族は蹴ったんでしょ。…そして、いつもの顔ぶれがこうやって集まったわけよ」


 3人は顔を見合わせてフッと笑う。


「儂の魔法、シャムシュの球弾き、イスカの鞭…これらがあれば、相手が聖騎士…副団長クラスでもなんとかなるじゃろ」


 この3人は領主の中でも武闘派であり、多少の荒事ならば力で解決する自信があったのだ。


「魔女が相手でもぉ?」


「知ってて聞く? まさかよ。あれは別次元。今は敵に回さない方が賢明よ」


「左様。国王やプロトと戯れている間は安泰。これで今まで何十年…いや、何百年とやり過ごしておるだろに。わざわざこちらから虎の尾を踏む必要もない」


「私たちを助けて下さる勇者様の到来を信じ、ひたすら機会を待つのよ〜」


 イスカがふざけて両手を組んで祈るような真似をしてみせる。


「…自分たちの国のことなのにねぇ〜」


 シャムシュは自嘲して肩を落とした。


「それなら、シャムシュ。あなたが国を救う勇者に立候補なさいよ」


「それはいい。いつも英雄譚と言えば、主役はヒューマンばかりだったからな。たまにはモッドから出てもよかろう」


「遠慮するよ。魔女も魔法も苦手だもん」


 シャムシャはこの話は終わりと手をヒラヒラ振る。


「…まあ、冗談はともかく。万が一ということもある。ふたりとも儂の後ろにおれ。何かあれば防御魔法を使うぞ」


「フフ、あのルフェルニよ? 私たちが来るって知っていてそんなことをする?」


「ないね。いくらヴァンパイアが強いからって、そんな馬鹿なことはしないよ」


 そして、メイドたちの手によって応接間の扉が開かれた。


「なっ!」「うっ!」「んがっ!」


 予想もしてなかった目の前の光景に、3人はあんぐりと口を開いた。


「すまないな。俺は馬鹿なんだわ」


 玉座に腰掛けた魔法士がそう言った。

 

 3人が驚いたのは、その魔法士が天井に達するかというぐらいの大きな燃え盛る火球を片手で持ち上げていたからだ。

    

「来てもらってさっそくだが、ここで焼け死ぬといい」


(あ、あれは…【大火球】か? い、いや、そんなレベルの魔法ではない?! 【濁流放】で…いや、相殺しきれん!?)


 そこにいるのは自分よりレベルの高い魔法士だと、ミューンは即座に理解する。


(クッ! この間合い…私の鞭じゃ届かないじゃないか!)


(僕のパチンコも…発射する前にあの火球を投げられてしまう…)


「ああ! 3人とも! なぜ来たんですか!?」


 魔法士の隣にルフェルニがしゃがみこんでいた。その両腕は太い縄で縛られている。


「ルフェルニ? これは…?!」


 状況が理解できず、かといって逃げ出すこともできず戸惑う。

 逃げられないのは、それを選択した瞬間に、火球を投げられて廊下で焼き殺される事が容易に察せされたからだ。


「今ならまだ間に合います! 逃げて!」


「余計なことを言うな。黙っていろ」


 仮面を外した魔法士の顔を見て、3人の顔が凍りつく。それは干乾びた死者の顔だったからだ。


「んげ! んげぇッ!?」


「な、なんなの…アレは!? あの顔はどうなってるのよ?!」


「ッ!? なんだと! まさか、“アンデッド・リッチー”か!」


 ミューンが叫ぶと、魔法士がピクッと反応する。


「…知っているの!? ミューン!」


「ああ。言い伝えに過ぎないと思っていたが、魔法の探求のために永遠の生を欲し、死から舞い戻ったアンデッド(生ける屍)…それをリッチーと呼ぶ!」


「…“リッチ”? 俺はそんな金持ちじゃないぞ」


 ミイラがポツリとそう答えたので、正体を見破った気でいたミューンが硬直する。


「え? …どういうこと?」


「リッチーじゃないってこと?」


「い、いや、アンデッドにも確か様々な種族がある…だが、リッチーでないとすると…より上位の“マスター・リッチー”というやつか? もしくは“グランド・リッチー”か?」


 アンデッドはポカンとした様子となる。顔の肉が削げ落ちていて表情がないので、仕草や雰囲気からそう感じられたのだ。


「なんだそれは? 変な名前をつけるな。俺はカダベル・ソリテールだ」


「カダベルじゃと?」


「なんだ?」


「いや、その名に聞き覚えが…なんでもない。勘違いだ」


「…で、どうする?」


 ミイラに聞かれ、3人は顔を見合わせる。


 仕方ないとばかりに、ミューンは杖を前に放った。それを見て、イスカもシャムシュも手にした武器を同じように放る。


「…ここに招待したのは儂らを殺すためか?」


「ククク、その通り! 魔女に与する貴様らを皆殺しにする! これは復讐なのだ!」




──




 玄関から【集音】で聞いていたが、どうも性格はルフェルニが言っていた通りだな。



 まず、リザードマンの魔法士ミューン・ラモウット。


 リザードマンって普通はデカイ2本脚で立つワニ男なんじゃないかと思うが、この世界のは小柄で華奢だ。

 トカゲ…というか、昔、宇宙人特集でやってたグレイとかいうヤツに似ている。体色は灰色じゃなくて深緑色だが。


 俺を見て金持ち(リッチ)だの言っていたが、物知りを鼻にかけていて他人を見下して話すタイプ。

 腹ん中で自分以外は馬鹿だと思っているんだろう。自信家、自惚れ屋ってとこか。


 厄介なのはその性格というより、ランク3まで使える魔法だな。水系を得意としてるらしく、正直言って対処が難しい。だから、初っ端から切り札を出して牽制させてもらったわけだ。



 そして真ん中にいるイスカ・チャンバレー。


 なんか飲み屋にいる派手なネーチャンみたいだ。しかし、エルフってのはみんな背が高いし、スタイルがいい。でも、やっぱウサギなんだよなぁ。そうとしか見えない。


 エルフってなんか森にいて魔法を使うってイメージだが、この世界ではまったく違う。

 ヴァンパイアには劣るが肉弾戦が得意で、逆に魔法は不得手らしい。

 そして森より都を好む。…まるで俺のイメージと真反対の存在だ。


 性格は…この中では一番慎重派。大胆不敵な姉御肌は演じているだけであって、一番ビビってんのがコイツ。でも発言力はあるからキーマンにはなるな。



 そして、左。シャムシュ・ポッティ。


 モッドという種族らしいが知らん。俺のファンタジー知識には存在しない。まんまネズミを二足歩行にした感じだ。


 この中で一番高い貴族らしい服を着ているが、どこぞのお坊っちゃんみたいに見える。正直、見ていてムカつく顔しているな。近所にいた生意気なガキを思い起こさせる。


 この世界は近親交配が可能らしいが、ぶっちゃけこのモッドとエルフが交配したら何が生まれるんだろう? 想像もつかない。

 でも、確か種族的な偏りがある場合は先祖返りみたいなことが起きるらしいが…これもなんか魔法的な意図を感じるなぁ。


 戦闘能力はそこそこ高いらしいが、投擲武器って俺を一撃で仕留められないから脅威ってほどじゃない。痛みは死者には効果がないし。


 性格は…腹黒。だが、同調圧力に屈するタイプ。他人の甘い汁をチューチュー吸うヤツ。人当たりが良く友好的に見えるけど、本当は自分の利しか考えてない。


 ルフェルニの話だと、この屋敷にやってきては自分の可愛さを利用してメイドに襲いかかっているクズらしい。


 うん。コイツは丸焼きにしてもいいかな。



「待って! 話がしたいわ! お願い!」


 いいよー。イスカちゃん。そうだよね。丸焦げは嫌だよねぇ。


「話だと? 生者が俺に何を話す?」


 ミューンの眼が細まる。正直、爬虫類の眼はちょっと怖い。


 たぶん向こうはもっと俺のことを怖がってるだろうけどな!


 眼球ねぇと、俺がどこ見てんのかも、サッパリわかんねぇだろうしな!


「…お主が、手紙にあった屍従王でいいのか?」


「そうだ。だが、今は金持ちではないぞ」


 貴族の時の資産はもう手元にはないしね。ゴゴル村じゃ、金は使う場面も必要もなかったし。


「? …わかった。お主は先ほど魔女に復讐すると言ったな。それはどういう意味じゃ?」


「そのままだ。ヤツは闇から俺を造り出し、安寧なる永遠の眠りを妨げた! あの悪しき魔女をこの手で討つ!」


 憎しみを込めて手を震わせる。我ながら迫真の演技だ。


 3人の顔に理解の色が浮かんだ。


 頭が良いと自分で思っているヤツは、その場で得た情報で、勝手な推論を組み立てて話を作り上げる。

 しかもまったく関連してない物事を関連付けて、自分で気持ちの良い、納得できる形に仕上げるのが大好きなんだよ。よしよし。



──生者を憎しむアンデッド。造物主たる魔女に反旗を翻す──



 あー。なんて陳腐だ。陳腐だけど理解し易い。


 だって、『悲報。たまたま甦ったミイラ、人助けしようとして、うっかり魔女にケンカを売ってしまう』…なんて、ドラマでも何でもない話だ。こんなんが共感を得られるわけないじゃん。


「…まず手始めに!」


「て、手始めに…?」


「このルフェルニ・インフィニットを我が妃とし、子を宿させる!」


「「「えー!?」」」


「生まれるのは…ヴァンパイアとミイラの特性を継いだ最強のアンデッド!!

 我が超魔力を扱える、スゥーパァーアンデッドこと、“ザ・ノンデス”が誕生すーるーのーだぁ!!」


「「「えー?!」」」


「ああ、これからカダベル殿に毎夜貪られる、蹂躙の日々が私を待ち受けて…ウッ!」


 なんで両手縛られてるのに嬉しそうにしてるんだルフェルニよ。


 ここは涙を流して嘆き叫ぶ約束だろ。


 …いや、瞳は充分に潤んでんだけどさ。なんか違うぞ。 


「し、しかし、ルフェルニは魔女の呪いか何かを…」


「ムッハハハ! 我が超絶無比の大魔力があれば、そのような問題解決など朝飯を食うより容易い!

 それに俺は死者だぞ! そのような生者の制限を受けると思うてか!!」


 どーせ、ルフェルニにかかった呪詛については、コイツらはよく知りもしないんだろ。そこらへんは適当でいいや。


「そして我が子ザ・ノンデスと共に、恐怖のアンデッド軍団を率いて、世界を破滅へと導いてくれるわ!

 恐怖して漏らせ! 幼子のようにな! これが屍従王カダベル・ソリテールなーのーだー!

 …それから、魔女をブッ殺す。…忘れてた。いや、そこは確定だからな!」


 悪役って意外と楽しいな。


 村で子供向けにヒーローショーとか、そんな娯楽イベントやるのも面白いかもな。


 俺、立候補してもいいかも…。


 会場をガキ共のお漏らし場にしてやんぜ! なーんってな。


「こ、こんなおぞましき怪物を魔女は造り出したと言うのか…」


「うひぃ…」


 ミューンもシャムシュも空いた口が塞がらないという感じで、イスカに至っては腰を抜かして口をパクパクやってる。


 よーし。もう一押ししとくかな〜。


「そしてだ! …この秘密を知ってしまったからには、全員ここで死んでもらう!!」


「んがッ!?」「クピィ!?」


 俺はマクセラルを倒した複合魔法【極炎球】を投げんぞーとばかりに構える。


 いやー、正直、話す時に邪魔くさかった。


 熱風とかウザいし、燃え滾ってる音とかウルサイし。


 俺に燃え移らんとも限らんしさ。…いや、そんなこと発動前に無いのはわかってるけどさ。


 ぶっちゃけ、さっさと投げちゃいたいのよ。


「お、おかしい! おかしいでしょ! 勝手に話しといて!!」


「そうだ。悪とはおかしいものなのだ。おかしいから悪なのだ」


 さすがに自分でも何を言ってるかよくわからなくなってきたな。


 もうそろそろいーかな。


 充分すぎるくらい、この自称武闘派どもの戦意は奪ったでしょ。


 俺は魔法を解除する。


 獄炎の塊が嘘みたいに消えた。


「…はい。嘘だ。全部まるっきりの大嘘だ」


 俺がそう言うのに合わせ、ルフェルニは手首のロープを簡単に解いてみせる。


「では、仲良くなるキッカケもできたことだし、この先は正真正銘、真面目に話すとしよう。ギアナードの貴族諸君よ」

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