2度目の勧誘
「それじゃあ行ってくる。」
「1人でいいのか?」
「あぁ、大丈夫だとも。」
「頑張ってねー、行ってらっしゃい。」
「うん、じゃあね。」
また、森に向かって歩く。
「……またお前か!」
「あぁ、また俺だよ、よかったら話しをしないか?」
「話?……する訳ないだろ!人間なんかと!」
「君達が嫌いなのは『この世界の』人間なんだよね?」
「ん?……どういうことかよくわからないわ」
「つまり、君たちのご先祖さまを殺したりした『この世界の』人間を嫌っているんだよね。」
「!そうだ!」
「だとすれば君と俺は仲良くなれるさ。」
「?どうしてだ!?」
「俺は……この世界の人間じゃない
君たちのご先祖さまを殺した奴らの子孫なんかじゃ無い。」
「!?どういう事だ!?」
「?エルフってあまり情報とか回ってこないの?
俺は最近巷で有名な異世界から来た勇者だよ。」
「異世界からの!?」
「まぁ、俺からすればここの方がよっぽど異世界だけどね……」
「……なるほど、お前の立場はよくわかった
……少し待っていろ、話をしたいのなら村長とするのが1番だろう。」
「!そうか、ありがとう。」
そうして待つこと2分ほど
「……人間、こい。」
「……ほぉ?」
エルフの女性がやってきた。
声はあの女と同じだから、この女性がそうなのだろう。
「?なんだ、変な顔をして。」
「いや、エルフって……君って美人なんだなぁって。」
「そうだろうか?だが、褒め言葉ならありがたくいただく。」
「あぁ、そうしてくれ。」
「……ここだ。」
「……ん?ここ?」
何も無い森を指さしてそう言う。
「……あ、そうか、幻術をかけてあるからな
すまない、幻術は解こう。」
そういうと青い霧のような物が浮かび、消えた。
その霧の先には木の中をくり抜いてできた家のようなものが並んだ村があった。
「……凄いな……」
「?何がだ?」
「この村の形、それを消す幻術の両方だよ。」
「そうだろう、これは我々の誇りでもあるからな。」
「そうか。」
自慢げに話す彼女の顔は誇らしげで嬉しそうな顔をしていた。
「村長がいるのはそこの1番太い木の中だ。」
「なるほど、ありがと……うっ!?」
周りにいるエルフの人達が興味深々でこっちを見ているのは構わなかったが……
「これは……どういうつもりかな?」
槍を持ったエルフと遠くから弓を構えるエルフが数人
こちらにそれら全ての矛先を向けて睨んでくる。
槍を持ったエルフとの1人が
「すまない、暴れられると困るので手錠をつけさせてもらう。」
「あぁ、そういう事ね。」
この、エルフの誇りを壊されたくないのだろう。
腰に着けていた短剣と予備の物を地面に置く。
そして、両手を前に差し出す。
「……ご協力感謝する。」
「仕方ないよ。」
そのまま周りに4人ほどいるまま村長と会うことになった。
「……いらっしゃい、異世界人よ。」
「……どうも」