剣術
「……って感じだ!できそうか!?」
「うーん……無理!」
「なんでだよ!」
「重いんだよ!これ!なんでそんなにブンブン触れるんだよ!」
「長年の研鑽の賜物だ!おら!頑張れって!」
「だー!できるか!」
そんなふうに剣士の『アルバナ ナルグ』と話をしていると大男がやってきた。
「そうだなぁ、勇者様はガタイがあまり宜しくないですからね……短剣とかはいかがですか?」
この男は確か騎士団長という位の高い人だったはず。
「短剣?」
「はい、短剣です、これなら軽いし勇者様でも扱えるかと。」
短剣……俺が格ゲーで使っていたキャラも短剣を使っていたなぁ。
忍者のような見た目で高速で動き回る。
発生の早いコンボ始動技、連続で隙の少ない攻撃を繰り返す。
扱えるようになるまでかなり時間を使ったが
使い手と呼ばれるほどに上手くなれば最強の一角になりかねないほど強いキャラだった。
……彼を使い続けていたものとして動きは完璧に理解している。
動きも、攻撃の隙も、フレームレベルで覚えている。
……同じような動きが出来れば……戦える!
「……少しお借りしても?」
「うむ、興味を持っていただけて何よりです。」
彼と同じ持ち方で構える。
逆手に持ち低く構える。
動きはだいぶ遅いが彼の剣閃を真似るようになぞる。
動きは完璧、だが素早さと経験が足りない。
「すげぇ!それっぽい!」
「ふむ?盗賊共の技も何度か見てきましたが……なんというか、独特な剣閃ですね」
「まぁ、見様見真似なのであまり褒められたものではありません。」
「そうでしょうか?私的には戦い方は人それぞれ
極めれば弱い戦い方なんて無いんですから
そう私は考えています。」
「……そうですか、なら、頑張ります。」
コンボの仕方もわかっている……が、ゲームのように人は飛んでくれない。
だから、対地のコンボの練習だ。
対空の練習は元々あのキャラが対空は苦手だったからまず対地を練習しよう。
この世界では自分がゲームのキャラクターになったような……『ココア』その物になった気がしてあまり体を動かしてこなかったのにいつも以上に体力が湧いてくるし、魔法の勉強にも熱が入る。
「……違うな。」
本来無い技を作ってコンボを伸ばしたり、行動の後の隙を減らしたりしたいのに上手くできない。
「……何かが足りない……」
理想の動きを脳内で再生しても大事な部分だけ上手くできない。
「……体鍛えるしかないのか?」
3年もあるんだ、彼女には届かない魔法も彼に及ばない短剣術も5年もすれば……きっと超えれる。
そんな理想を胸に抱きまた、頑張る。