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ガンボウイ  作者: 松宮 奏
一章
3/16

『ガンボウイ』

 ガンボウイとは、リボルバー銃一本で生きて行く、銃士達のことだ。 


 数百年のこと。アルフィドール大戦という、世界の総人口を二割りも減らすほどの規模で世紀の大戦争が巻き起こった。

 混沌と化した世界情勢の中、大戦を治めるキッカケとなった伝説の兵団があった。


 その兵団のドンを務めたのが、リボルバー銃一本で戦場を駆け抜けて活躍した、初代のガンボウイ、ロジャーという男だった。ロジャーの率いる兵団が、アルフィドール大戦で巻き起こした数々の偉業が世界中で伝説となり、それがキッカケで今のガンボウイ文化が生まれた。


 ルシアーロ国のあらゆる文献や書物にもその偉業が記されているおり、幼い頃からのエースの憧れでもあった。


 ガンボウイにはロジャーの名の下に、様々なルールや儀式、掟がある。

 その儀式というのが『聖戦』と呼ばれる、ガンボウイの一騎討ちだ。


 聖戦は二種類あり、一つは、リボルバー銃に弾丸を一発詰め、互いに背中合わせになり、三歩進んだ所で振り返り撃ち合う、Quick式。

 もう一つは、六発の銃弾全てを詰め、決められた空間の中で撃ち合いを行うArea式。この二つだ。


 聖戦では弾丸を全て使い終わった時、どちらもその場に立っていれば、再戦が行われる。つまり、どちらかが死ぬまで行われる。

 一度始めた聖戦からは命を別つまで逃れられない。

 これはガンボウイの掟の一つだ。


 聖戦では闘いを行う前に、互いの望みを宣言し、勝った方がその望みを叶える権利が与えられる。

 聖戦を行った者は勿論、それを見届けた者もルールや望みを守らなければいけない。ガンボウイ界では、これら全てのルールを破ることは御法度とされて、もし破った場合には、街中のガンボウイが総出で、粛清をする決まりとなっている。


 また、ルシアーロ国では年に一度、国が主催し、全国からガンボウイを募り行われる『リボルバーアサイメント』というガンボウイの祭典がある。


 優勝したガンボウイは、一生を遊んで暮らせる莫大な富か、どんな身分であろうと国家直属の兵士になれる権利かのどちらかが与えられる。

 国家直属の兵士になれるということは、身分の繰り上げがあるということだ。しかも、優勝した当人だけでなく親、親戚一同、身分が繰り上げられる。


 王族、貴族、幽族、土民、砂民という確立された身分制度が色濃く残るルシアーロ国において、リボルバーアサイメントの優勝が、唯一公に認められている身分を繰り上げる手段だ。

 多くの国民がガンボウイを目指すのはそういった背景もある。 


 エースがガンボウイを目指しているのは、ロジャーとはまた違った、あるガンボウイとの出逢いがキカッケなのだが、リボルバーアサイメントの特典である莫大な富を、恩返しとしてグレッグに贈りたいというのも理由の一つだった。


 砂漠の町である、ブルームーンタウンで暮らす人々は国の中でも身分の一番低い、砂民に当たる。

 だが、物心ついた頃からこの町で暮らし、この町が好きだったエースにとっては国家直属の兵士になれるという権利は対して魅力的な物ではなかった。



 エースの訴えかける目を見たドレッドが、重い鉄の箱の蓋でも開けるかのように口を開いた。


「実はな。グレッグも昔、ガンボウイだったんだ。しかもかなり腕利きのな」


 エースは思わず息を呑んだ。あれだけ反対しているグレッグがまさかガンボウイだったなんて。

 これまで何年も一緒に暮らしてきて初め知った衝撃の事実にエースは言葉を失った。。

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