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ガンボウイ  作者: 松宮 奏
一章
10/16

『聖戦』

誤って投稿削除してしまったため、再投稿します。



私ごとですが、この作品は本日(2020.04.28)

連載中の他のサイト、ステキブンゲイにて

ランキングTOP10入りを果たしました!(8位)


今回は初めて主人公が聖戦を行う白熱したシーンです!

是非楽しく読んでみてください。


また、ブックマークやコメントなどもお待ちしています。


それでは作品の世界へどうぞ〜

「それでは、『聖戦の儀』を執り行う。まずは戦闘の方式の取り決めだ」


 祭壇の前で、エースとクラウンが距離を空けて、向かい合うようにして立っている。その二人の中間付近に、クラウンと呼ばれた賊と似通った格好をした男が立っている。


 聖戦では、戦闘を行う前に第三者のガンボウイ立ち合いの元、聖戦の儀を執り行わなければならない。

 今回、第三者のガンボウイとして選ばれたのが、二人の間に立つライズという賊だった。


 ライズ立会の元、聖戦の儀は進行されてゆく。


 聖戦は銃士二人の一騎討ちで行い、聖戦の最中にその他のガンボウイや町人、第三者を決して巻き込んではいけないという掟もある。

 つまり、Quick式とAria式。この状況で選択出来るのはQuick式しかないはずだ。


「俺は、Quick式を希望する。問題ないか」


「もちろん。この状況ではそれしかないさ」


 クラウンの答えを聞いてエースは内心安堵していた。


 実戦経験のないエースにとって、Area式で勝つことは不可能に近かった。そして、自分に実戦経験がないとバレてしまうと、精神的に優位に立たれてしまうだろうと考えていたエースであったが、どうやらクラウンは気が付いていないようだ。


「では。双方の望みを言え」

 立会人のライズが声を張り上げる。


「俺の望みは、お前達全員が速かにこの町を去ること」


「私の望みは、王女の在り処を手に入れることだ」


「では。銃の確認を行う。まずは、弾丸を一発だけ残し、その他の弾丸は取り除くこと」


 エースはドレッドドから受け取ったリボルバー銃をホルスターから抜き出した。シリンダーを開き銃身を手前に傾け、弾を一度全て抜いてから一つ入れ直した。


 エースとクラウンが互いに距離を詰める。


 まずは銃を立会人であるライズに渡す。ライズが双方の銃を確認し、本当に弾丸は一つだけか。銃に小細工などはないかを確かめる。その後、立会人を介して相手の銃が渡され、互いに確認し合う。

 クラウンのリボルバー銃はバレルが長く、エースがこれまでに見たことのない型式だった。

 全体と弾丸の確認を済ませ、銃をクラウンに返す。クラウンもエースの銃を返した。

 クラウンは今すぐにでもこのガキを絞め殺してやりたいというような増悪で満ちた表情をしていた。


 聖戦の儀はここまでだ。


「では。聖戦を始める」


 ライズの号令でエースとクラウンは背中合わになる。


 エースは自分の鼓動が、これまでの人生で味わったことが無い程に、はやるのを感じていた。



 大丈夫。落ち着け。大丈夫だ。



 何度も言い聞かせる。

 視線を下に落としてグレッグから預かった銃に向けた。

 左手で愛撫する様に全身をなぞる。グリップも含め、全身真っ黒のボディをしている。


 この銃が多くのガンボウイと命と罪もなき者の命も奪ってきた。

 グレッグは言っていた。


『この銃を正しき方向へ導いてくれ』


 その言葉を聞いた時からエースは覚悟を胸に固結びしていた。


 説教壇に目隠しと手を縛られる格好でドレッドが心配そうにこちらに顔を向けている。

 目隠しで表情は見えなくても、雰囲気とエースの知っているドレッドの性格から心配してくれていることが分かる。


 ドレッドから丘の上でかけて貰った言葉を思い出す。

 一つは強さと傲慢に支配されるな。

 そしてもう一つ。


『相手を倒そうとするのではなく、護りたいものを想って闘え』


 エースは今日出会った、王族らしくない王女のことを思い浮かべた。


 彼女を護りたい。ドレッドもこの町の人々も。この国もーーー。



「インジアーレ!!!(始め)」


ライズが声を張り上げる。



「1…」「1…」


 エースは右足を踏み出したと同時に数字を声に出す。その声はクラウンと重なる。


「2…」「2…」


 今度は左足。


「3…」「3…」


掛け声と同時に二人は振り返った。




 ダン、ダン


 閃光のように光が広がり、二つの銃声が大聖堂に響き渡った。



 





「うおおおおおおおお。イテエ。痛えよ。チクショウウウウウ」


 銃声にも負けないような声を張り上げタイルの床にのたうち回っているのは、クラウンだった。


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