子供に負けられない大人達
子供にわざと負けてあげることは良いことか、それとも悪いことなのか?
誰にでも、一家言ありそうな子育ての問題について今回やってみますよ。
はい、こんにちはふりがなです。
夫婦会議になりそうな同問題、子供はどうせ放っておいても育つのでどちらでも良いと言えますが、こういうエピソードがあります。
あるプロ棋士は、お父さんとやる将棋で生涯一度も負けた事がないそうです。
初めての将棋で下手だった時も、上手くなってきた時もとにかく絶対に勝つので、お父さんは下手なんだなと子供ながらに思っていました。
そうしてプロ棋士になった後、その人は自分の子供と将棋をした時には、子供との勝負に全て勝ったそうです。
その人の子供は、将棋なんて二度ととやらないと、将棋に触りもしなくなってしまいました。
将棋の羽生善治さんは常に言っています。
まず、子供達に負けてあげてください、でないと子供は将棋をやらなくなりますよと。
勝つことが良いことか、負けることが良いことかの前に、同問題には実は大きな壁が存在します。
それは、あなたが子供に負けてあげる事が出来る大人であるかどうかということです。
さて、先に言っておきます、私は負けてあげる事の出来る大人です。
子供に負けてあげる事が出来るかどうかは、子供より能力のある大人として当然の権利でもあります。
ですから、先に言っておきます、あなたも、子供に負けてあげる事の出来る大人のハズです。
何故、『負けるべき時』に、子供に負けられない大人が存在するのか?
そこには、二つのパターンがあります。
・『負けるべき時』の解らない大人である。
・そもそも子供の成功を喜べない、子供を不幸にしたい大人である。
片方は所謂毒親のことですね。
知らない方も居るでしょうが、無償の愛が成立しない親も世の中には存在するのです。
しかし、親が子供の成功を喜べない事は、何も特別な事ではありません。
あなたは、自分の子供にはどのくらい幸せになって欲しいでしょうか?
考えてみてください。
人は無自覚に、他人と自分とを比較してしまいます。
幼少期に受けた虐待を、自分の子供にもしてしまう例は有名ですが、比較対象は何も自分の幼少期だけではなく、今の自分にも当てはまるのです。
例えば今あなたが不幸なら『他人』の幸福を願えるのでしょうか?
人は、自分の子供には、せいぜい今の自分の8割の幸福を望む。
どの本で読んだか忘れましたが、なるほどなと思わせる話がありました。
あなたは、子供が自分よりも高い能力を得られるように、心から願うことが出来るでしょうか。
そう、勝ち負け問題には、その前提に、あなたが子供の成功をどの程度願える大人であるか、そうでないか、という壁が存在するのです。
さて、前提を越えたなら、勝ち負けについて考えてみましょう。
私は『負けるべき時』と『勝つべき時』があり、『どちらでも良い時』もあると提唱します。
しかし、子育てにおいて、本当に重要なのは一時の勝ち負けではありません。
遊びの定義とは、もろもろを除くと『緊張感の揺れと持続』になるそうです。
子供達は、遊びを通して色々な事を学びます、その遊びを成立させるには、常に緊張の揺れと、それを如何に持続させていくかが重要になるということです。
その手段は多岐に渡りますが、幼い子供達は自分でそれをコントロール出来ません。
大人と子供の遊びを成立させるには、大人の手助けが必要になるのです。
対して子供同士の遊びは、それ自体が緊張の連続です、相手が怒って遊んでくれなくなってしまうかもしれない。
喧嘩になるかもしれない、ある程度の緊張と失敗の連続で、子供達は友だち付き合いそれ自体を遊びとして学んでいきます。
大人はどうでしょうか?
子供とは能力に違いがありすぎて、失敗を失敗と気づけない人はいないでしょうか。
親子の関係に甘えて、子供の感情を無視してはいないでしょうか。
子供同士の遊びのように、本来遊びには工夫が必要になるハズなのです。
その工夫の一つの手段が、勝ちと負けになります。
工夫一つさえしないで、遊びでもなんでもない事を、遊びだ勝負だと主張する。
どう工夫したら勝てるようになるよと教えるのに、一度も負けてあげない。
子供のような大人が、目的もなく子供に勝ち続けてしまう。
そんな事にはなっていないでしょうか?
もちろん、初めての子育てでは、そうなっても仕方のない面もあるでしょう。
大人だろうが、子育てだって、学ばなければ解らない事だらけなのですから。
子供の緊張感を如何に揺らして、持続させていくか。
子供との遊びは本来大人にとっても工夫の連続で真剣勝負のハズです。
そうやっていく内に、子供が本当にあなたに勝つようになる子育てが出来るようになるでしょう。
そうして成長著しい子供が、簡単に自分と同等になる事、さらには自分を超えていく事、これが自分の幸せを越えて子供の育つ、良い子育ての一つの理想例と言えます。
後年良かったと自分で言える子育てのために、世のお父さんお母さん方、参考にどうぞ。
子育てのhow to本が増えている昨今、私はその類の本を調べたことがないので二番煎じかもしれませんが、意外とまとまった意見がないようなので、親側の精神面に迫ってみました。
子育ての中心は、必ずしも、遺伝を含めた子供の素質、性質等の子供側の話ではなく、親族側にもあります。
子供を見ると、関わっている親の性質が解るということです。
いわゆる環境因子ですが、その環境因子部分の大きな要因の一つが、親族の精神面にあると自覚している人はどれだけいるでしょうか?