そうだ京都へ、行こう
浪士組が結成し総勢200名を越える一行は京の都へ向かう途中、芹沢の宿を取り忘れ、芹沢が大激怒!
鳥小屋が芹沢に与えられ、永倉が「鴨だけに部屋は鳥小屋ってか!」と大爆笑。
とか、芹沢が寒いからと町のど真ん中で薪を燃やすなど問題は多々あったものの
なんとか京の都までたどり着きました。
藤堂「ここが京の都か」
山南「ついに着きましたね」
近藤「疲れた・・・もう※宿を探しに走らなくていいよね?」
※京へ向かう道中、近藤は浪士組の宿の確保のため先に現場に行く任を担っていた。
土方「近藤さん、大丈夫か?」
沖田「うわー、凄ーい!めっちゃ綺麗な所だね」
永倉「これが京都か・・・」
土方「沖田、綺麗なのは街並みだけだ。ここは今、攘夷浪士が役人共を天誅の名のもと殺しが起きてる所だ。気を引き締めておけ」
沖田「その攘夷浪士を僕達が取り締まるんですよね?」
永倉「はいはい、質問!そもそも攘夷浪士って誰?どうやって取り締まるんですか?」
土方「・・・山南さん」
山南「そうだね。幕府に仇なすものを取り締まる感じかな?不法に滞在している者を探せばいいんじゃないかな?」
永倉「不法に滞在?パスポート無しの外人とか今の時代いなくね?」
沖田「パスポート?」
藤堂「出た。久々の未来人発言」
山南「現在、上洛を禁止されてる藩と言えば代表格としたら長州藩とかかな?」
永倉「えっ?同じ日本人でも京都に入ること出来ないの?」
山南「自治に関しては各藩が取り締まってる。わかりやすく言うと日本と言う国にたくさんの外国があるかんじかな?」
山南「そして倒幕を旗印に掲げる藩もいるんだよ。そんな人間を政治の中心、京に入れたいと思うかい?」
永倉「あー、確かに」
山南「それを取り締まるのが私達の役目だよ」
永倉「さすが山南さん!うちの学校の先生よりわかりやすい!」
山南「それはどうも」
近藤「おい、わからない先生って俺のことじゃないだろうな?」
土方「気にするな。どうせいつもの未来人発言だ」
こうして京都へ来た浪士組でしたが、来て早々に問題が起こるのでした。
近藤「問題が発生した」
土方「・・・」
藤堂「なんです?問題って」
永倉「給料未払いとか?」
近藤「いや、むしろ今後、給料を貰えるかどうか・・・」
藤堂「ええっ!?」
土方「近藤さん、そういう言い方は違うかと」
近藤「おぉ、すまんすまん。実はだな」
芹沢「おーぃ、邪魔するぞー」
永倉「あれ?芹沢じゃん、どうしたの?」
芹沢「あ?お前、まだ聞いてねーのかよ」
永倉「えっ?」
芹沢「俺達は浪士組から抜け、晴れて無職になったんだぜ?」
永倉「ホワッッツ!?」
芹沢「あー、お前の未来人発言はもうあきた」
永倉「近藤さん!!!どゆこと!?」
近藤「話を進めても?」
永倉「むしろ早く進めてくれ!」
近藤「実はだな。清河八郎さんに騙された」
永倉「???」
近藤「清河八郎さんは尊王攘夷派だったんだ。その為に大志を募っていたらしい」
土方「俺達はもともと、徳川家茂公が上洛する際に京都の治安を守るためと京へ来たはずだった」
近藤「ところがいざ京へ着くと綺麗な手のひら返しをされたってわけだ。その上、江戸へ帰るといい始めた」
芹沢「そしたら近藤の奴、面白いんだぜ?「そもそも集まった目的を無下にすることはできん!」とか言って浪士組抜けるとか言い始めたんだよ」
近藤「すまん!どうしても筋が通ってない言い分だったもんで勢い付いて言ってしまった!」
土方「近藤さん、気にするな」
芹沢「んで、こいつ面白いやつだから俺もついてきた」
近藤「浪士組のほとんどは江戸へ帰るらしい」
永倉「えっ?・・・それじゃ、新撰組は?」
芹沢「それは知らん」
永倉(あれ?もしかして未来変わっちゃった?)
藤堂「あれ?ってか、それって結構大変なんじゃ・・・」
永倉「何が?」
藤堂「いや、今までは非正規だけど一応は京都守護職の後ろ盾で活動してきたじゃん。そこから給料も貰ってた訳だし、それを抜けたってことは・・・」
永倉「え・・・・」
近藤「うむ!今後の活動はなんの後ろ盾もなく、未来言葉で言うと無償のボランティアとなる!!」
永倉「うそーーーーーーーーーーん!!!」
徳川「浪士組が反旗!?」
松平「すまん!俺の責任だ。俺が見抜けなかったばかりに・・・」
徳川「いや、気にするな・・・そもそも言い出したのは俺だ。俺の責任だ」
松平「・・・・」
徳川「・・・そぉ言えば慶永、お前、浪士組に知り合いがいたんじゃ」
松平「えっ?なんでそれを・・・」
徳川「役人から報告を受けてたのだ。気には止めてなかったが、知り合いはどうなった?」
松平「いや、それもどうなったか・・・」
徳川「・・・行け」
松平「えっ?」
徳川「そいつのことが気になるだろう?その事で仕事を疎かにされても困る。確認して来い」
松平「いや、でも・・・ここを離れるわけには」
徳川「俺が良いと言ってるんだ。早く行って来い」
松平「・・・すまん。すぐに戻る!」
徳川「・・・ああ」
境内
永倉「どうしよ・・・集まる日じゃないし、来るわけないよな。言伝を残しておくべきか?」
松平「永倉ーーーー!!」
永倉「おぉ!!来た!!」
松平「お前!江戸に帰るのか!!」
永倉「いや、帰らないけど、やばいんだけど!!どうしよ!未来変わっちまったかも!!」
松平「えっ?帰らないの?・・・だって、清河八郎から連名書受け取って、その中にお前の名前もあったけど?」
永倉「あぁ?あの野郎!マジで提出しやがったのか!!それ破棄!破棄して!!」
松平「どういうこと?」
永倉「近藤さんが清河八郎と別れたんだよ。それに試衛館の面子と芹沢とその連れ、全部で17人が残った」
松平「そ、そうか・・・それを聞いて安心した。後でその連名書は受理はするけど、破棄しておくよ」
永倉「ってか、それどころじゃねーんだよ!俺、ニートになっちまったよ!しかもバックがいない!」
松平「あぁ、そっか・・・京都守護職から抜けることになった訳か」
永倉「その場合ってさ、攘夷浪士を捕まえたりする際に怪我とかさせたらどうなる?」
松平「今までなら、守護職の連中が守ってくれてたが・・・そうでなくなると下手すると捕まるな」
永倉「だよな!ヤバくね!?」
松平「いや、そこは俺が何とかする。俺に任せとけ」
永倉「・・・マジ?」
松平「俺を誰だと思ってる。政事総裁職の松平慶永だぞ」
永倉「ははーっ!松平様ー!!」土下座
松平「やめろ。気持ち悪い」
??「失礼仕る」
松平「ん?」
??「そちらは政事総裁職の松平慶永様とお見受けする」
松平「あぁ、そうだが?そちらは?」
??「名を名乗る必要もござらぬ。尊王攘夷の元、その命、頂戴いたす」シャキン
松平「んなっ!?」
ヒュン
ガキィン!!
永倉「んぎぎぎぎぎ・・・重っ・・・」
松平「な、永倉・・・」
永倉「悪い、松平・・・こいつは、お前を守りながら戦うのは無理そうな相手だ・・・逃げろ」ギギギギっ
松平「永倉!!」
永倉「いいから!!早く行け!!さっきの話、頼むぞ!!俺たちのこと!守ってくれ!!」
松平「しかし!!」
永倉「・・・いいから、邪魔だ!!俺を誰だと思ってやがる!!未来の俺は、そんなに貧弱だったか!?ああっ!?」
松平「・・・この場は任せるぞ」
永倉「あぁ、とっとと消えろ。そして、また会おう!」
松平「おう!」ダッ
??「逃がさぬ!」
永倉「させるか!!」ヒュン
??「くっ!!」キンッ
永倉「誰だか、知らねーが、ここから先は行かせねーぞ・・・」
??「フン・・・幕府の中にもまだ、これほどの太刀筋を持った奴がいたとはな・・・」
永倉「攘夷浪士か・・・初めて見るが、お前みたいなのがうじゃうじゃいると思うと身の毛が捩るぜ・・・」
??「それはこちらとて、同じこと。貴様、名は何と申す」
永倉「・・・この時代はそっちが先に言うのが筋ってもんじゃねーのか?」
??「フン、それは失礼いたした」
高杉「拙者は長州藩士、※高杉晋作と申す。長州一の狂人でござる」
※高杉晋作 長州藩士 後に騎兵隊などを創設。長州藩を後に討幕へと向けるカリスマ性抜群の人物。
永倉「高杉・・・知らねー名だな」
高杉「覚えなくて構わぬ。これから散る命、見事に咲かせて見せよ!!」
永倉「くっ!!」
高杉 ピタッ
永倉「??」
高杉「・・・すまぬ。そちの名を聞くのを忘れていた」
永倉「・・・なんだが、拍子抜けするやつだな」
永倉「俺の名は永倉新八!後に新撰組大志になる男だ!!」
高杉「新撰・・・ククククッ、面白い。まさか、未来を知る人間と斬り合えるとはな!!」
永倉「未来!?」
高杉「いざ、参る!!」
永倉「!!」
キンッ、ガキィン!!
高杉「ほぉ、この太刀筋を見切るか」
永倉「それ、神道無念流だろ。俺も学んだ」
高杉「同門か・・・では、これならどうだ!!」
永倉(今度は柳生かよっ!!)
キンッ、キンキン!!
高杉「・・・貴様、その太刀筋はなんだ」
永倉「天然理心流だ。舐めるなよ、高杉」
高杉「ククククッ、面白い、面白いぞ!貴様!!」
永倉「来るか!!」チャキ
??「そこまでだ!!」
高杉 ピタッ
永倉「・・・誰?」
??「永倉新八殿。どうか、剣をお納めください。私がいる手前、奴はけっして剣を抜かぬことを保証いたす。高杉、剣を納めよ」
高杉 キン
永倉「・・・」キン
??「かたじけない」
桂「私の名は※桂小五郎と申す。この高杉というのは私の弟子みたいなもので、自ら狂人と名乗るほど手に負えないやつでしてね」
※桂小五郎 長州藩士 剣豪であるが戦うことを避け攘夷活動に専念。後に逃げの小五郎という異名まで付く
永倉「ヅラ・・・」
桂「ヅラじゃない桂だ・・・って何の話だ」
高杉「桂さん・・・」コソッ
桂「ったく、一人で突っ走りやがって松平はとっくの途に逃げたよ」
高杉「あいつ、面白い。斬っていい?」
桂「駄目だ。奴の実力も相当だ。斬り損ねて怪我されても困るんだよ。早く行け」
高杉「斬りたい・・・桂さん・・・」
桂「・・・お前は※生麦事件の再来をしたかったのではないのか?ここで寄り道をして薩摩にまた先を越されていいのだな?」
※生麦事件 薩摩の行列に観光に来ていたイギリス人が割り込んでしまい、刺殺される事件
高杉「薩摩・・・」
桂「お前は江戸でやるべきことがあるだろ。早く行け」
高杉「くっ・・・永倉、また会おう。今度は斬ってやる」ダッ
永倉「待て!お前にはまだ聞きたいことが!!」
桂「まー、まー、まー、永倉殿。落ち着いてくだされ」
永倉「うるせぇ!!ヅラ!!」
桂「ヅラじゃない、桂だ!・・・だから、何の話だ!」
永倉「・・・お前、あいつの師匠とか言ってたな」
桂「まぁ、そのような者だ」
永倉「あいつは俺のことを未来を知る人間と言った。お前は何か知っているのか?」
桂「ほぉ、未来・・・ですか」
永倉「あんたは未来人を知っているのか?・・・それともあんたが?」
桂「いやいや、私は根っからの長州の者です。未来人など知りませんね」
永倉「そうか・・・なら、あいつのことを追いかけるまでだ!」ダッ
桂「仮に!」
永倉「・・・」
桂「仮に、私もあなたも未来のことを知っているとしよう。今の幕府にもうこの国を治める力は残っておりません」
桂「今や長州、薩摩、土佐と討幕へと舵を切り始めている。それなのに何故、あなたはそちらにいる?未来を知っているのなら、自分たちが辿る道が見えてるのではないですか?」
永倉「・・・」
桂「まさか、滅ぶ運命である新撰組に憧れを抱いているのかな?」ニヤッ
永倉「・・・!!」ヒュン
桂「!!」
キン!!
桂「貴様・・・」ギギギギ
永倉「もういいや。あんたから聞くことは特にねーや」
桂「クッ・・・待て待て待て、私が未来人かもしれないのだぞ!」ググググ
永倉「あ?知らねーよ。どうせ、未来人だったとしても、茶を濁すんだろ?お前はそういう奴だってわかった」
桂「・・・」
永倉「あんたの腹は黒い。真っ黒だ。俺はそういう奴は嫌いだ」ググググッ
桂「ちょ・・・わかった!!わかったから!!言う言う!全部話すから剣を納めてくれ!!」
永倉「信用ならねーな!」ググッ
桂「強っ、俺達は未来人と名乗る人物を知ってる人物を知っているだけだ!」
永倉「つまり、又聞きか・・・他に未来人を知ってるやつは何人いる」
桂「知らん!俺だって半信半疑だったんだ。ただ、未来人を知るお前さんが現れて驚いてるんだ!」
永倉「そうか・・・他に何か情報は?」
桂「こ、これが全部だ!嘘じゃないぞ!!だから剣を・・・」
永倉「じゃぁ、お前さんを生かしておく意味もねーな。とっとと死ね」グググッ
桂「ちょい、ちょい、ちょーーーーい!!お前、俺がここで死んだら薩長同盟がどうなると思ってんだ!」ギギギギッ
永倉「ほーら、まだ情報を持ってるじゃねーか、刀が額に当たるまでに全部吐いちまえよ。楽になるぞ~?」ニヤリ
桂(こいつも腹黒じゃねーーーか!!!!)
桂「えぇい!こなくそっ!いいから離れろ!!」ガキィン
永倉「!!・・・やるじゃねーか」
桂「あぁ、もう!剣を抜くのいやだってのに・・・そっちがその気なら、こっちも本気出してやるよ」
桂「・・・来いよ。永倉新八」シャキン
永倉(!!・・・なんだこの※威圧感)
※桂小五郎は神道無念流の免許皆伝者。江戸での武者修行時代、手も足も出せないと恐れられるほどの剣豪だった。
桂「どうした?いつでも来い」
永倉「・・・あんた強いな」
桂「さてな・・・やる前から怖気づいたか?」
永倉「・・・」
桂「・・・まぁいいや。やめだ、やめ」シャキン
永倉「なんで剣をしまってるんだよ」
桂「ここで斬り合ったとして、なんの得になる?歴史が変わるだけだ。それよりも情報交換をしないか?」
永倉「・・・チッ」シャキン
桂「おぅ、賢明な判断だ」ニコッ
永倉「・・・やっぱ、お前嫌いだ」
桂「褒め言葉だと思って受け取っておくよ」
永倉「それで?あんたはどこまで知ってるんだ?」
桂「・・・ん?未来の話か?・・・幕府が無くなる。そして薩長同盟が今後、結ばれる。それしかわからん」
永倉「誰からそれを聞いた」
桂「それは悪いが言えないな」
永倉「そうか・・・」
桂「なんだ。追求しないんだな?」
永倉「どうせ、濁すだろ。聞いたって仕方ない」
桂「ハハッ、面白い奴だな。・・・じゃぁこっちも質問だ。お前の未来人は誰なんだ?それともお前自身か?」
永倉「俺自身だよ。信じようが信じまいが、どちらでも構わない」
桂「それじゃ、さっきの質問と同じなんだが・・・お前はなんで幕府側にいる?このままだとお前、死ぬぞ?」
永倉「別に・・・死ぬつもりはねーよ。ただ、」
桂「ただ?」
永倉「・・・人を殺して、尊王攘夷を謳うあんた等のやり方が気に入らねー。ただ、それだけだ」
桂「・・・革命に犠牲は付き物とよく言うだろ?」
永倉「お前らが勝手に死ぬは構わねーよ。もちろん、それを防ごうとする俺達もな。・・・ただ市民は関係ないだろ」
桂「ふむ・・・確かに」
永倉「だから、」
桂「夢物語だな」
永倉「あぁ?」
桂「君が言ったいることも、俺が知っている未来人の知り合いも言っていることは同じだ。・・そして、それは夢物語だ。未来でも何でもない」
桂「薩摩と長州が同盟?・・・犬猿の仲だぞ?ありえん。武士の時代が終わる?それもありえん。所詮、この世は食うか食われるか。勝てば官軍負ければ賊軍だ」
桂「いいかい?永倉君、今隣国である清がどのようになっているか知っているかね?」
永倉「清?・・・中国のことか」
桂「今や清は虫の息だ。各国から戦争を吹っ掛けられ、続々と植民地になってきている。何故だと思う?・・・弱いからだ」
桂「そして、清がすべて食い滅ぼされたら?・・・次は日本だ。今の弱腰幕府に期待などできん。新たな支配者が必要なんだ」
永倉「それが長州だと?」
桂「そうだ。強いものが国を統べる。それは当たり前のことだ。そして、今の幕府は弱い。だから、我々が諸外国を追い払ってやるのだ。それが朝廷の望みだ」
永倉「・・・」
桂「どうだ?永倉君、君は私と共に来ないか?君を斬るのはおしい。理想論者かもしれないがそのように先を見据えれる人物はなかなかいない」
永倉「・・・」
桂「永倉君」
永倉「・・・悪いが、意見の不一致だ。断る」
桂「・・・そうか、残念だ。さてと、ではそろそろ御暇させて頂こう」
永倉「ああ」
桂「では、これにて御免」
永倉「・・・桂」
桂「ん?なんだい?」
永倉「悪いけど、次会ったらあんたを斬る。・・・あんたはきっと止まらない。止めるためにも斬らなきゃいけない人だ」
桂「フフ、そしたらなるべく会わないことを祈るよ。君を斬るには骨がおれる。では・・・」
永倉「ただいま」
沖田「永倉さん!生きてたんですね!よかった・・・」
永倉「えっ?」
沖田「今さっき、屯所から連絡があって永倉さんが攘夷浪士に襲われてるって、それで近藤さんと土方さん藤堂が」
永倉「あー、まぁなんとか高杉晋作と桂小五郎ってやつがいたんだけど、なんとかなったよ」
芹沢「高杉に桂?・・・お前、よく無事だったな」
永倉「芹沢、知ってるの?」
芹沢「桂は俺と同じ、免許皆伝者だ。江戸で奴に勝てる奴はいないとまで言われた剣豪だ。高杉は口は下手だが頭も実力も化物だ」
沖田「よかった。永倉さん、死んだらどうしようかと思いましたよ・・・」
永倉「悪かったな。心配かけて・・・」
沖田「本当ですよ・・・」
芹沢「・・・ったく、生き残ったってのに浮かない顔してんなーおい」
永倉「あぁ・・・いまだに信じられないよ。桂が俺を斬るつもりだったらきっと死んでたと思う」
芹沢「生きてりゃ上々、儲けもんだ」
永倉「芹沢だったら勝てた?」
芹沢「さぁな・・・ただ、お前が後悔している理由ならわかる。お前は桂と相対した時、お前は剣を振れなかった、違うか?」
永倉「・・・」
芹沢「フン、それが奴のやり口だ。あいつは剣を抜かずして相手を圧倒する。そして、相手はその後、後悔するんだ。あの時、少しでも動けてればってな」
芹沢「剣を振らずして死ぬ。俺にとっちゃ恥だな。勿論、後悔しているお前もな」
永倉「・・・俺、もっと頑張るよ。もっと強くなる。あいつよりも自信をつけてやる!」
芹沢「フン、それでいい」
沖田「ぼ、僕も頑張ります!」