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袖を分かつ時

永倉「・・・」


ギャル「永倉?」


永倉「・・・ん?ここ、どこ?」


ギャル「うわーーーーーん!!よかったーーーー!!戻ってきたーーーー!!わかる?ここ、病院だよ」ダキツキー

永倉「は?えっ?・・・誰!?」

ギャル「お龍だよ!!」

永倉「お龍?・・・なんで生きてんの?えっ?松平は?」

ギャル「今、永倉新八がこのあとどうなるのか調べてくるって図書館に行ってる」

永倉「松平も生きてる?」

ギャル「良かった、本当に良かった・・・」

永倉「????」

ギャル「あのね。今は2017年だよ。私達、戻ってこれたの」

永倉「2017・・・年?」

ギャル「うん」

永倉「・・・・嘘だろ!?このタイミングで!?」

ギャル「永倉?」

永倉「ふざけるなよ!!近藤の野郎!!死に急ぎやがって!!」

ギャル「永倉、ちょっと!!落ち着いて!!」

永倉「くそっ、くそっ!!俺の・・・俺なんかの為に!!」

ギャル「ねぇ、ねぇ!!わかんない!何言ってるのかわからないよ!!」

永倉「畜生・・・近藤の野郎・・・・近藤さん・・・」

ギャル「永倉・・・」





松平「・・・んで?一体、何があった」

永倉「甲府城の戦いって知ってるか?」

ギャル「知ってるよ。勝海舟が全面降伏をするために開戦派を甲府に向かわせるやつでしょ?」

永倉「えっ?そうだったの?」

ギャル「えっ?違うの?」

永倉「ごめん、そう言う思惑は知らん。・・・とにかく、薩摩の東進を抑えるべく、俺達は甲府城を占拠しようと試みた」

松平「だが、一足早く板垣退助の率いる新政府軍が甲府城を占拠していた」

永倉「・・・そうだ。何とかして奴等の足枷をはめようと甲府城を攻めるが結果は見事に惨敗だ」

松平「攻めよりも守りの方が断然有利だ。蛤御門でそれをいやと言うほど、味わっているだろ」

永倉「・・・近藤さんは死ぬことを望んでたんだ」

松平「何?」

永倉「攻める事よりも、散ることを望んでたんだよ・・・多くの兵を失った・・・愚策と言ってもいいくらいだ」

松平「一体、何故?」

永倉「わかんね。とにかく、俺達は甲府城を撤退することとなった・・・そこで、俺は近藤さん土方さんと別れることになった」



















永倉「今、会津藩が兵を募っている!そこまで引くべきだ!!」

近藤「ならん。慶喜公は江戸にいる。それを守るのが我等の勤めだ」

永倉「だったら甲府の戦はなんだ!!下手に兵を減らし!脱走兵まで出した!!」

※鳥羽・伏見の戦いや甲府城の戦いでは多くの脱走兵が出ます。

近藤「根性の足りん奴等など気にするな」

永倉「この結果を根性論で片付けれると思うな!!明らかな采配ミスだ!!下手に戦場をかき乱しやがって!!」

土方「永倉!!言葉を慎め!!」

永倉「いいか!!俺達は真っ直ぐしか飛ばない鉛玉じゃない!兵を送り出して手離すような真似するんじゃねーよ!!」

土方「永倉ぁ!!」

永倉「黙るのはテメェだ!土方!!なんでも近藤が正しいと思うなよ!!」

土方「前々から言っているだろ!それが上に対する物言いか!!」

永倉「だったら俺も言ったはずだ!下手に仲間を傷付けるような事をしたらテメェ等まとめて斬ってやるってな!」

土方「ならば、俺達を斬れるか試してみるか?」シャキン

永倉「おお、やってやろうじゃねーか」シャキン


近藤「やめろ!!!!」


永倉「・・・」

土方「・・・」

近藤「俺の目の前で、仲間同士斬り合うのを見せるな」ギロッ

土方「・・・すまなかった、近藤さん」シャキン

永倉「・・・ちっ、くそが」シャキン


近藤「永倉よ・・・ここで別れよう」

永倉「・・・は?何を言ってやがる」

近藤「すでに新撰組は無くなっている。我々が仲間である必要など無いのだ」

永倉「・・・マジで言っているのか?」

近藤「永倉・・・お前は邪魔なんだよ」

永倉「・・・」ググッ

近藤「俺の兵法に付いてこれない奴などいらん。お前はとっとと消えろ」

永倉「近藤勇、これからもこんな戦いを続けるつもりか」

近藤「当たり前だ。俺はそれしか知らん」

永倉「・・・」シャキン

土方 !! シャキン


永倉「くそがぁぁぁぁぁぁ!!」ドスン!!


土方「剣を地面に突き刺して何をしている」

永倉「袖を別つと言ったはずだ。テメェ等の剣などいらん」

近藤「・・・二言は無いな?」

永倉「無い」

近藤「そうか・・・では、とっとと立ち去れ」

永倉「ああ、そうさせて貰う」


一時の感情だった。

仲間だと思っていた。だが、仲間ではないと言われた。

それが許せなかった。

俺は立ち去り際、近藤さんに酷い事を言ってしまった。


永倉「腹を斬るのは山南さんじゃなく、あんただったら良かったんだ・・・」


常にドンと構える近藤さんの表情が一瞬強張った様に見えた。

言ってしまった俺の心にも何かが刺さるのを感じた。

だが、そんな思いを噛み殺し、俺はその場から立ち去った。


近藤さんと会うのはこれが最後となった。













島田「永倉さん!待ってください!!」

永倉「島田、悪いな・・・」

島田「お、俺は?どうしたらいいッスか?」

永倉「アホか、自分で考えろ」

島田「わかんねーッスよ。俺、馬鹿だから」

永倉「ぶっちゃけ、付いてきて欲しい。お前がいてくれたら心強い」

島田「了解で」

永倉「だが」

島田「・・・」

永倉「島田。俺のお願いを聞いてくれるか?」

島田「なんですか?」

永倉「・・・ここに残って近藤さん達を助けてやって欲しい」

島田「・・・」

永倉「あの人達は今、死地を求めてる。華々しく散ろうとしてる。それを守れるのはお前くらいだ」

島田「永倉さんはどうするんですか?」

永倉「俺は生きたいと願う奴等を会津まで連れていく。仲間をこれ以上、失う訳にはいかない」

島田「・・・自分の為じゃなくて仲間の為ッスか・・・永倉さんらしいッスね」

永倉「そうか?」

島田「でも、嫌いじゃないですよ。そう言う生き方」

永倉「そうか・・・」

島田「しょーが無いッスねー。永倉さんに協力してあげますよ!」

永倉「毎度毎度、俺のわがままに付き合わせて悪いな」

島田「いいんスよ。俺は永倉さんに惚れ込んでこの世界に入ったんですから、最後まで付き合いますよ」

永倉「惚れられても困る。俺にはもう決めた人がいるんだ」

島田「沖田さんですか?ようやくッスか!?」

永倉「・・・」

島田「んで?やったんスか?やったんスか!?」

永倉「うるせえよ!!」ボコッ

島田「イダッ!」



こうして永倉新八は近藤、土方と袖を別ち会津へと向かうこととなります。

永倉と共にしてきた島田魁は近藤達に残留。戊辰戦争を最後まで戦い抜く事となります。

島田魁。享年73歳。

巨漢で大の甘党。戦場で土手を登れなかった永倉を持っていた銃先に掴めと言い、そのまま片手で持ち上げるほどの怪力の持ち主。

戊辰戦争後、新撰組の名誉回復に尽力。様々な手記を残す。


















松平「・・・そうか、そこまでは史実通りだ」

永倉「そのあと、俺は会津で兵を募り、宇都宮での戦いに備えていた」

ギャル「宇都宮?」

松平「農民達の反乱だ。『ええじゃないか』って知ってるだろ」

ギャル「あ!聞いたことある!でも、それって政権がどちらになるかわからなくて、ええじゃないかって言いながら農民が踊り狂うってイメージなんだけど」

松平「その農民が暴徒になったんだ。様々な建家を燃やし回る事になる」

永倉「事態の沈静するため、俺達は八幡山に集結した。そこには新撰組の姿もあった」

松平「・・・だが、近藤勇はいなかった」

ギャル「なんで?」

永倉「あの野郎、新政府軍に捕まりやがったんだ」

松平「だが、近藤勇はその時、名前を変えていて大久保を名乗っていた。捕縛した人間が近藤勇だとバレていなかったんだ」

永倉「だが、バレるのも時間の問題だった。俺達は暴徒の鎮圧を行った後、近藤さんの奪還を試みる事になった」
















土方「俺が近藤だと名乗って中に侵入する。そして、近藤さんを確保しだいその場を離脱」

永倉「アホか、鏡見てこい。テメーみたいな美形男子が醜男なんて演じれるかよ。・・・俺が適任だ」

土方「・・・お前、さりげなく近藤さんと自分を貶してるが大丈夫か?」

永倉「うるせぇ!客観的判断だ!!」


こうして、俺は近藤勇を名乗り屯所へと赴いた。

近藤さんを見つけ次第、外で待機している部隊に合図。

強襲を仕掛ける手筈だった。

だが、事はそう上手くは転がらなかった。

屯所「近藤勇なら、すでに捕らえている」

永倉「・・・は?」

屯所「そしてすでに移送済みだ」

永倉「ハァ!?なんで!?」

屯所「なんでも糞もあるか、とっとと立ち去れ」

永倉「ふざけんな!!俺が近藤勇だって言ってんだろ!!とっとと中に入れろよ!!」

屯所「ちょっ!!何考えてやがる!!馬鹿か!自ら捕まりに来る奴がいるか!!」

永倉「そいつは偽者だ!俺が近藤勇だ!!俺を移送しろ!!」

屯所「ふざけるな!!すでに面通しも済んでいるんだ!」

永倉「んなもん知るか!!」

屯所「てめぇ、いい加減に!!」


??「通してやれ」


屯所「し、しかし・・・」

??「俺の部屋に通せ」

屯所「は、はい。わかりました・・・」

永倉「・・・誰だ?」

??「さてな。本当の名を名乗らん輩に名乗る道理もないんでな」スタスタ












??「来たか、近藤勇・・・いや、永倉新八か」

永倉「なんで俺の名を知っている」

??「近藤から、もしも偽者が来たら永倉だろうと聞かされていたんでな」

永倉「・・・あんたの顔、見たことあるぜ」

??「・・・」

永倉「板垣退助。そうだろ?」

板垣「ほぉ?俺の名を知っているか」

永倉「あんたの肖像画は有名だからな」

※後に100円札の肖像画になる

永倉「・・・なんで俺をここに通した」

板垣「一度、会ってみたかったんだよ」

永倉「俺にか?」

板垣「ああ・・・坂本龍馬、中岡慎太郎を心変わりさせた未来人とやらにな」

永倉「・・・」

板垣「未来人よ。この世は今後、どうなる?」

永倉「安心しろよ。天下はてめぇ等のもんだ」

板垣「そうではない。今後、どのように変わる」

永倉「・・・」

板垣「我々が天下を取って、何が変わる?」

永倉「・・・何も変わらねぇよ」

板垣「・・・」

永倉「新政府が天下を取ろうが幕府が天下を取ろうがこの世は何も変わらねぇよ」

板垣「変わらないのならば、何故戦いを続ける。貴様等は負けたのだ。何故、抗う」

永倉「これまでテロ行為を続けてきた奴等が正義を振りかざすやり口が気に入らねぇだけだ」

板垣「・・・」

永倉「・・・と、言うのは半分冗談だ」

板垣「では、真意はなんだと言うのだ」

永倉「てめぇ等が喧嘩吹っ掛けてきたからだ。争う前から敗けを認めたら負けた奴等の扱いはどうなるか、知らねー訳じゃねーだろ」

板垣「・・・」

永倉「落とし所はお互いの頭が決める。俺達末端の兵士はそれまで抗うだけだ」

板垣「・・・そうか」

永倉「あんたはどうなんだ。目の前に坂本龍馬の暗殺者がいるんだぜ?何故、殺さない」

板垣「・・・近藤やお前と話してわかった。犯人はお前達じゃない」

永倉「・・・」

板垣「勘違いするな。あくまでも一個人の意見だ。回りの連中は違う」

永倉「そうか・・・だったら俺もとっとと近藤の所へ連れてけ」

板垣「・・・死ぬぞ?」

永倉「構わねーよ。ただ、俺達の頭は死なれたら困る。これ以上、仲間を失ってたまるか」

板垣「・・・フッ、どうやら賭けは俺の敗けのようだな」

永倉「なんの話だ」

板垣「なんでもない。気にするな・・・ここに、新しい新撰組の連盟書がある」

永倉「・・・」

板垣「この連盟書には・・・永倉、お前の名は無い。新撰組でない奴を連れていっても意味が無いのだよ」

永倉「・・・ふざけるな」

板垣「近藤勇はすでに移送済みだ。外で待機している奴等にもここを攻めても意味がないと伝えろ。衛兵、こいつをつまみ出せ」

衛兵「はっ」ガシッ

永倉「ふざけるな!!俺は新撰組二番隊組長の永倉新八だ!!俺も連れていけ!!」

衛兵「こいつ、暴れるな!!」

板垣「そんな者は知らん。こちらも忙しい身でな。知らない奴の相手などしてられんのだ」

永倉「てめぇ!!・・・離せ!くそが!!」

板垣「近藤勇の処分は後に決まるだろう。だが、良くて切腹。最悪は斬首だ」

永倉「そんなこと、絶対にさせねー!」

板垣「とっとと連れていけ」

永倉「くそっ、くそっ!!板垣!!てめぇ、いつか必ず殺してやる!!俺を生かしていた事を必ず後悔させてやる!!」

板垣「そいつは楽しみだ」












一昨日前


板垣「・・・よく、ここの隊に御陵衛士の生き残りがいるとわかったな」

近藤「俺は仲間の顔は忘れん。例え、敵になっていようがな」

板垣「お陰で、面通しも済んだ。大久保、いや近藤勇よ」

近藤「おう、手間が省けたんだ。感謝しろよ?」

板垣「・・・何故、自らを陥れるような事をした」

近藤「このまま、ここに拘留されているとな。あいつ等の事だ。俺を助けに乗り込んでくる」

板垣「・・・」

近藤「武器も頭数もこちらの方が上。例え、救い出せたもしても必ず犠牲者が出る」

板垣「助けなど、来ないさ」

近藤「いいや、必ず来る。俺はそれを阻止したい。俺の首一つで事が済むなら安いもんだ」ニッ

板垣「・・・同じだ」

近藤「ん?」

板垣「坂本と同じ目をしている。貴様も未来を見てると言うのか」

近藤「さてな。なんのことやら・・・」

板垣「答えろ、近藤勇。坂本を殺したのはお前か」

近藤「殺そうとしたのは事実だが、俺達じゃない。殺すならもっと前に殺したさ。あの時に殺しても意味がない」

板垣「・・・事実か」

近藤「信じようが信じまいが、それは任せる」

板垣「・・・」

近藤「板垣さんよ・・・一つ賭けをしようじゃないか」

板垣「賭けだと?」

近藤「先程、助けは来ないと言っただろ?俺は来る方に賭ける・・・そうだな、恐らく島田・・・いや、永倉が来るだろうな」

板垣「助けなど来ない」

近藤「来なかったら、俺の敗けだ。煮るなり焼くなり好きにしろ」

板垣「賭けに貴様が勝ったら?」

近藤「そいつを逃がしてやって欲しい」

板垣「・・・」

近藤「それと、他の仲間も殺さないで欲しい」

板垣「・・・約束はせぬぞ」

近藤「構わねーよ。俺の独り言さ」

板垣「・・・フン、下らない賭けだ。来ないに決まっている」


近藤「板垣さんよ、俺の仲間を舐めるなよ?」ニヤリ




近藤勇 享年35歳。

新撰組を守るため、屯所へと赴き大久保と名乗るも御陵衛士の生き残りに近藤勇と正体をばらされ江戸まで連行される。

最後は侍として腹を斬りたいと望むもそれは許されず、斬首され首は河川敷へさらされることとなる。

首の行方は不明。


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