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近江屋事件

松平「いまさら、俺に何のようだ。俺はすでに幕府と関わることの無い身だ」

坂本「松平殿、ワシも薩長同盟が終わりお役目御免かと思っておった。じゃが、ワシ等にはまだすべき事がある」

松平「・・・なんのことだ」

坂本「大政奉還じゃ」

松平「大政・・・っ!!そうか、それをしなければ幕府と薩長の全面戦争になる!!」

坂本「その通りじゃ、薩長同盟が全てだと思っておったワシが馬鹿だった。その過ちをここで償いたいのじゃ」

松平「しかし、総裁職でない俺は城に入ることも叶わん・・・どうすれば」

坂本「ワシに抜け道を教えていただきたい」

松平「抜け道だと?」

坂本「二条城には将軍にいざというときの隠れ道があると聞く。ワシがそこから入る。将軍に直談判じゃ」

松平「・・・教えれるわけがない」

坂本「武器は全て置いていく。信用を得られるなら、ふんどし一枚でも十分じゃ」

松平「・・・」

坂本「頼む!松平殿!!ワシに償いをさせてくれ!!ワシは幕府を守りたいのではない。じゃが、この国を守りたいんじゃ」

松平「・・・たとえ、直談判出来たとしても帰れる保証はない。死ぬぞ?」

坂本「ワシの命一つで済むのなら安いものじゃ」

松平「・・・」

坂本「頼む!松平殿!!」

松平「・・・教えることは出来ない」

坂本「ならば、正面突破するまでじゃ」

松平「待て!教えはしない。だが、俺も城に用事が出来た。裏道を使って入る。お前は後ろを付いて来るなり、好きにすればいい」

坂本「おお、承知した」

松平「フン、お前一人に任せられないからだ。勘違いするな」














徳川「・・・ったく、薩摩と長州の方へ行けと言ったのは私だが、城に侵入するとはな。・・・慶永よ」

松平「慶喜さん。衛兵を呼ぶならそれで構わない。だが、話を聞いた後にしてくれ」

坂本「頼む!慶喜殿!!」

徳川「お前達の話は、我等に利益になることか?」

坂本「それは・・・」

松平「なる!少なくとも徳川は途絶えない!」

徳川「ならば、聞こう。しかし、話が終われば覚悟せよ!」

松平「帰路など、元より無いのは覚悟の上だ」

徳川「いい、心掛けだ。慶永よ」



徳川「大政奉還か・・・」

松平「慶喜さん、徳川幕府を終わらせるのが、どれだけ大変な事か俺なりに理解しているつもりだ」

徳川「俺が最後の将軍となるのか・・・」

坂本「始まりは終わりの始まり。慶喜殿、ワシは終わらせる事が出来るのは慶喜殿だと思っちょる」

松平「終わらせる事が出来なければ、幕府だけでなく徳川も滅ぶ。それはなんとしても防がなければならない」

徳川「そうだな・・・慶永よ。一つ聞きたい」

松平「なんです?」

徳川「未来人である主はどうして幕府や徳川を守ろうとするのだ。主にとっては過去の産物ではないのか?」

松平「・・・」

坂本「確かに・・・成り行き、と言う訳ではなさそうじゃの?」

徳川「答えよ。慶永」

松平「・・・俺は松平だ。今も未来もそれは変わらない」

徳川「・・・まさか!?」

坂本「???」

松平「御三家とは違うが、俺も徳川と血をわける親族なんだよ。ご先祖様」


※徳川家は元々、松平を名乗っていた。家康から徳川と名前を改める。


坂本「・・・つまり、未来人である、松平殿は・・・徳川のご子息様!?」

松平「徳川からは血を引いてないが、更に遡れば一応、ご子息となるな」

徳川「待て待て、つまり慶永は遠縁と言う事になるのか?」

松平「いや、今の慶永なら従兄弟だろ」

※松平慶永は従兄弟

徳川「あ、そうだった」

松平「おい、そこを忘れるなよ」



徳川「そうか・・・徳川は途絶えぬか・・・」

松平「ああ、俺がまだ存在していると言うことは途絶えることはない」

徳川「慶永、私は未来ではどのように言われている?」

松平「徳川幕府、最後の将軍。ぶっちゃけ、俺もそのイメージしかなかった」

徳川「そうか・・・」

松平「だが、今は違う。貴方は国のために奔走し、未来の為に戦った英雄だ。もしも、未来に帰れたならば俺が必ず広める!」

徳川「私は幕府を終わらせた愚かな将軍ではないのか?」

松平「結果はそうかも知れない。・・・でも、英断だ!俺はそう思う」

坂本「国を思うからこその決断じゃ。誰も貴方を責めはせんよ」

徳川「・・・わかった。慶永、主の意見を信じようではないか」




1867年11月9日 大政奉還

徳川慶喜は政権を天皇に返上。こうして300年近く続いた江戸幕府は終わりを告げるのでした。














西郷「大政奉還?」

伊東「ええ、将軍の慶喜公は政治権限を天皇に返上したみたいです」

西郷「それを天皇は許したのか?」

伊東「そのようです。外国勢力と並び立つ為には天皇の元、一つとなり協力しなければとのお考えのようで」

西郷「くだらん」

伊東「はい?」

西郷「くだらんと言ったのだ。一つになる?協力?そんなこと、出来るわけがなかろう」

伊東「・・・」

西郷「きさんが良い例えじゃ、伊東よ」

伊東「私、がですか?」

西郷「たかが200人の組織ですら一つになることなど、出来なかった。そうであろう?」

伊東「・・・返す言葉もありません」

西郷「しかし、幕府の強硬姿勢を見事に返すとは一体、誰のせいだ」

伊東「勝海舟の采配と言ったところでしょうか、風の噂では坂本龍馬が城に侵入したとも言われています」

西郷「フン、さすがは腐っても幕府の端くれ、風の噂をも耳にするか」

伊東「・・・」

西郷「坂本龍馬。どこまでも邪魔な奴だ」

伊東「・・・しかし、坂本の尽力あっての薩長同盟なのでは?」

西郷「薩長同盟など必要ではない。虫の息だった長州など、同盟ではなく、長州征伐で我等に恭順させればよかったのだ」

伊東「・・・」

西郷「奴等の腸を煮え繰り返す為に下関の会合を見送ったと言うのに・・・くそっ」


西郷「これは坂本龍馬を捕らえる事の出来なかった、貴様ら新撰組の責任は大きいぞ、伊東よ」

伊東「・・・申し訳ありません」

西郷「くそっ、くそっ・・・このままでは徳川を潰せぬ・・・」




薩摩はあくまでも武力による倒幕を目指していたため、突然の大政奉還により向けていた矛先を失うこととなります。

戦争を起こそうと高ぶっていた群衆をどう宥めるか西郷は悩みます。

そして、宥める方法として後に薩摩はクーデターを決起。

打倒徳川を旗印に旧幕府軍と戦争を起こすのでした。















藤堂「伊東さんも難しい立場になってしまったな」

斎藤「我々は新撰組からは抜けたと言うのに薩摩は未だに幕府の犬と言う」

藤堂「それに加えてまさかの大政奉還。事前に知ってたのではないかってさっきも薩摩の連中に呼び出されてたな」

斎藤「知ってるわけがない・・・って、言っても向こうに通じるかどうか・・・」

藤堂「くそーっ、どうやったら伊東さんを救えるんだよー、わかんねー」

斎藤「・・・藤堂さんは少し変わりましたね」

藤堂「は?何が?」

斎藤「少し前の藤堂さんなら、誰かがやってくれるだろうってぶん投げてた気がします」

藤堂「あー、確かにね」

斎藤「これも新撰組から抜けれたから、ですかね?」

藤堂「・・・いや、違うな」

斎藤「違う?」

藤堂「なんて言うのかな?・・・これまでは頭を張る近藤さん、組織の規律を守る土方さん、大志を守る永倉がいたんだ」

斎藤「・・・」

藤堂「俺は恵まれてたんだよ。皆から守られてた。・・・それに気付くのが少し遅かったけどな」

藤堂「だから今回は俺が頑張らなきゃ!伊東さんの為、御陵衛士の為に!・・・って思ったんだ」

斎藤「なるほど・・・藤堂さんはあの御三方に尊敬の念を感じてるのですね」

藤堂「・・・まぁ不服だがそうだな!」

斎藤「これはなかなか面白い」

藤堂「やめろよ?あの三人にはこんなこと伝えるなよ?」

斎藤「伝えるも何も会うことすら無いですよ」

藤堂「何いってんだよ。斎藤」


藤堂「お前、間者だろ?」


斎藤「・・・何を突然言うかと思えば」

藤堂「え?違うの?この前、居酒屋で永倉がそんなこと言ってたぜ?」

斎藤「あの野郎!!何さらっとバラしてるわけ!?」

藤堂「・・・」ジー

斎藤「・・・あっ」

藤堂「永倉がそんなこと言うわけ無いだろ」

斎藤「・・・伊東さんに報告します?」

藤堂「しねーよ。斎藤の実力は御陵衛士の中で一番だ。斬ろうにも斬れないし、抜けられても厄介だ」

斎藤「・・・釜かけたんですか?」

藤堂「どうよ?俺も少しは成長しただろ?」ニヤリ


伊東「皆、集まってくれ」



藤堂「伊東さん、お帰りなさい」

斎藤「・・・」

伊東「ああ、ただいま」

藤堂「無事に帰ってこれたんスね」

伊東「なんとか首の皮一枚残った感じですよ」

斎藤「・・・薩摩はなんと?」

伊東「いつもと変わらないよ。ただ、日に日に我等の風当たりは厳しくなってきている。我々は幕府からの間者だってね」

斎藤「・・・」

伊東「我々は薩摩の信用を得なければならない。その為には幕府との繋がり・・・元々繋がってはないが、関係を断ち切らなければならない」

斎藤「・・・まさか」

藤堂「えっ?何?どゆこと?」

伊東「藤堂君・・・我々は苦渋の選択をしなければならないのだよ」

藤堂「斎藤、どういう意味かわかる?」

斎藤「幕府との繋がり、それは新撰組だ」

藤堂「いや、俺達はそれを抜けたんだぜ?」

斎藤「だが、それを薩摩は信用していない。伊東さんはそれを切るつもりなんだ」

伊東「・・・」

藤堂「切るって言ったって・・・どうやって」

斎藤「・・・俺達が腰に携える物は何だ。藤堂」

藤堂「まさか・・・」


伊東「そう。関係を切るため、我々は斬らなければならない。新撰組を」


藤堂「・・・」

斎藤「・・・」

伊東「・・・皆、そんな顔をするな。新撰組とはいずれ争うことになると承知していたはずだ。その時期が早まった。それだけのことだ」


伊東「・・・それだけの事なのだ」グッ


藤堂「伊東さん・・・」

伊東「上に立つ者の苦しみとは、なってみないとわからないものなのだな・・・」

斎藤「・・・」

伊東「私は悔しい・・・私にもっと力があれば、もっと知識があれば・・・こんなことにはならなかったかもしれない」

藤堂「・・・」

伊東「出来ることならやりたくない。・・・やりたくないのだ」


伊東「・・・藤堂君。君は古くからの付き合いのある人間が多すぎる。外れてくれて構わない」

藤堂「やるよ」

伊東「なに?」

藤堂「やるよ。伊東さんに付いていくと決めた時から、こうなることは覚悟していた」

斎藤「藤堂さん・・・」

藤堂「ただ、俺の実力じゃタイマンははれない。他の獅子達と共闘させてくれ」

伊東「・・・すまないが、頼めるか?」

藤堂「ああ、任せてくれ」

伊東「斎藤君、君の実力は必中の剣と聞く。すまないが近藤勇を討ち取って貰いたい」

斎藤「・・・承知した」

藤堂「・・・」


伊東「では、決行日はおって連絡する。皆、集まってくれて感謝する。では解散」




斎藤「・・・」

藤堂「新撰組にこの事は伝えるな」(ボソッ)

斎藤「!!」

藤堂「もしも、伝えてることがわかれば、刺し違えても必ず殺す。絶対だ」ギロッ

斎藤「・・・承知した」















永倉「御陵衛士が新撰組を?」

松平「ああ、たしかそのはずだ。記憶違いでなければ新撰組から軍資金をせしめ、奇襲を行おうと画策する」

永倉「おかしいな。そんな話、斎藤からは来てないぞ?」

お龍「あ、それ知ってる。油小路事件でしょ?」


※油小路事件 近藤勇暗殺を知った新撰組が伊東を油小路にて刺殺。伊東の遺体を回収しようとやって来た御陵衛士を奇襲し御陵衛士を壊滅させる事件。


永倉「俺達が、御陵衛士を壊滅させる?・・・馬鹿な」

松平「いや、史実ならばそうなる。実際に薩長同盟、大政奉還が行われている。永倉も覚悟しておいた方がいい」

永倉「・・・わかった。一応、記憶に留めておく」


お龍「でも、さすがは坂本龍馬ね。本当に大政奉還をやってのけるんだもの」

松平「あの野郎・・・」

永倉「何キレてんだよ。お前もその場にいたんだろ?」

松平「俺は衛兵に捕まることを覚悟していた。なのにあの野郎、土壇場で俺の頭に拳銃突き付けて人質にしやがったんだ!」

永倉「あちゃー・・・」

松平「慶喜さんもその三文芝居に乗っかりやがって、俺の従兄弟を殺させるな!奴の指示に従え!とか大声で叫びやがって・・・」

お龍「まぁまぁ、そうでもしなきゃ捕まろうとする松平が動かなかったんでしょ?頑固なんだから」

永倉「フフッ、なかなか面白い事をやってのけるな」

松平「面白いも糞もあるか!」


永倉「・・・このあと、戦争が起きるんだろ?」

松平「ああ、薩摩がクーデターを起こす」

※王政復古の大号令

お龍「永倉、どうするの?」

松平「お前、まさか参戦するつもりじゃないだろうな?」

永倉「もしも、そう言ったらお前達は止めるだろ?」

松平「当たり前だ。死にに行く友人を止めない馬鹿がどこにいる」

永倉「・・・だよな」

お龍「永倉、お願いだから行かないで」

永倉「死にに行く友人を止めない馬鹿はいないんだよ・・・」

松平「永倉・・・」

永倉「俺も死なせたくない奴等がいるんだ・・・そいつ等を止めたい」

松平「・・・」

永倉「頼む、俺を止めないでくれ」

お龍「イヤだよ・・・そんなの・・・」

松平「・・・わかった」

お龍「松平!?なんで!?」

永倉「お龍、悪いな」

お龍「駄目・・・駄目だよ、永倉」

永倉「俺達、過去に来て何年たったかな・・・」

松平「大体七年かな?」

永倉「死なせたくない人が出来てしまった。俺達長い間、過去に浸ってるな。・・・帰ることなんてやっぱ出来ないのかな?」

お龍「死んじゃったら過去も未来もないよ!」

永倉「そうだな・・・」

松平「永倉。お前は過去に生きるつもりか?」

永倉「そんなことはねーよ。・・・そろそろ仕事に戻るわ」

お龍「永倉!」

永倉「お龍、頼むよ・・・」

お龍「止めない!止めないから!!・・・死なないでね」

永倉「ああ、約束だ」


永倉「それじゃ、未来でまた会おう」
















お龍「お登勢さん、ただいまー」

お登勢「お帰り、あんたどこで道草食ってたのよ」

お龍「ごめんなさーい、坂本さん達はいる?」

お登勢「居るわよ。でも邪魔しちゃ駄目。今お客さん来てるから」

お龍「お客さん?」

お登勢「土佐の人とか言ってたわね。名前はたしか・・・い、いた・・・なんちゃら?」

お龍「いた?・・・あ!!板垣退助!!」

お登勢「あ、そうそう。そんな名前だったわね」

お龍「嘘ーっ!!ヤバー、見たい!見たい!」ダッ!

お登勢「あ!!コラッ!!」





お龍「大丈夫、ちょっと覗くだけだから」コソコソ

お登勢「そんなのにお客さんに失礼でしょうが」コソコソ


板垣「何故!貴様は昔からそんなに頑固なのだ!!!!」


二人「!!」


坂本「落ち着くぜよ。板垣殿、周りの人に迷惑が掛かる」

板垣「いいや!今日と言う今日こそ、貴様にはうんと言わせにゃならんのだ!!」


お龍「なになに?何事?」ワクワク

お登勢「あーもぅ、覗きはいけないことなのに・・・私まで気になって来ちゃったじゃない」ドキドキ




板垣「いいか?おまんは薩長同盟、そして大政奉還をやってのけた!それがどういう意味かわかっているのか!!」

坂本「おお、もちろんじゃ。これで日本は元気になる!」

板垣「違う!!お前の命が危ないと言っているのだ!!」

坂本「・・・幕府の連中はワシを捕まえようとはせんよ」

板垣「幕府じゃなかっ!!おまんの命を狙うのは薩摩だ!!」


お龍「!!」


坂本「何故、薩摩がワシを狙う?」

板垣「打倒幕府を志した薩長同盟。その幕府を戦う前に潰したからだ!奴等は根っからの戦闘狂だ!怒りの矛先はお前にも向けられてるのだ!」

坂本「なるほど、確かに有り得る話しか・・・」

板垣「いいか?おまんは確かに、英雄的な快挙を成し遂げたかもしれん。だが、それはきさんの命を減らすことと同義だと、いい加減理解しろ!」

坂本「・・・」

板垣「坂本よ・・・土佐に戻れ、今のお前は脱藩浪士。確かにその方が自由に動けるかもしれん」


板垣「だが、後ろ楯なくしてはきさんの命を守れん!反対する土佐の連中は俺が何とかする!貴様は今すぐにでも土佐に戻るべきなのだ!」

坂本「・・・板垣殿。御心遣い感謝するぜよ」

板垣「ようやく理解したか・・・」

坂本「じゃが断らせて頂く」

板垣「何故だ!!」

坂本「これより先、活躍するのはワシじゃなか。学のある板垣殿、あんたじゃ」

板垣「何を言っている」

坂本「それなのに、ワシを救うために板垣殿に敵を作るのはワシはよく思わん」

板垣「何を言っているのだ!!」

坂本「未来じゃ・・・ワシは未来を見てみたい」

板垣「未来だと?」

坂本「ワシのやり遂げた行為により、この国はどうなるのか・・・ワシは遠くから見ていたい」

板垣「・・・」

坂本「土佐からの視点じゃ駄目じゃ!偏って見てしまう。だからワシは過ちを犯した」

板垣「過ちだと?」

坂本「板垣殿。幕府も薩長もどっちも悪くは無いのだ。吉田東洋先生の言い分は正しかったのだ」

板垣「・・・」

坂本「それを切り捨ててしまった武市も正しいのだ・・・そして、その武市を切り捨てた土佐も正しいのだ・・・」

※武市半平太は吉田東洋暗殺の主犯として切腹している


坂本「皆、この国の為を思ってしている行為なんじゃ。皆、正しいのだ」


坂本「悪い奴など一人もおらん・・・それに気が付くまで随分と遠回りをした・・・」

板垣「・・・」

坂本「板垣殿!ワシは未来を貴方に託したい!頼む!!こんなところで足踏みをするなっ!先を見ろ!!」

板垣「・・・」

坂本「ワシと中岡は大丈夫じゃ!!心配せんと、迷わず進め!!」

板垣「・・・わかった。だが約束しろ。絶対に死ぬな、絶対だ」

坂本「おお、任せんしゃい」














近藤「伊東が俺を?」

永倉「ああ、未来ではそう言う事が起きたらしい」

土方「そんな馬鹿な」

永倉「斎藤との定期連絡が途絶えた。間者として怪しまれているか、バレたかだ」

土方「・・・」

近藤「そうか・・・そして、我等が伊東達を討つと」

永倉「らしい。・・・その場合、どうする?」

土方「どうするとは?」


永倉「・・・藤堂は斬りたくない」


近藤「・・・」

土方「・・・」

永倉「・・・やっぱり、俺が御陵衛士に乗り込んで確認を」

近藤「それは駄目だ!自らの首を持っていくつもりか!!」

永倉「じゃあ、どうする!!」

土方「・・・戦況に合わせろ」

永倉「戦況?」

土方「人数で勝ち戦なら捕縛、もしくは逃がす・・・。だが、いざとなれば、斬れ」

永倉「・・・マジで言ってるのか?」

土方「貴様を失うわけにはいかんと言っているのだ」

永倉「・・・」

近藤「・・・」

土方「永倉、そう言えば藤堂と俺との喧嘩をお前は自らの責として止めてたな」

永倉「てめぇ、まさか」

土方「斬れとは言わぬ。逃がせ・・・それが俺の本心だ。だが、先ほども言ったが貴様を失うわけにはいかん。二度は言わぬ、覚悟はしておけ」

永倉「・・・わかった」

近藤「それとな、永倉よ」

永倉「?」

近藤「沖田には伏せておけ」

永倉「・・・ああ、そうだな」

















勝「携帯、それにゲーム・・・はぁー、未来にはそのような物が出来上がるのか」

松平「・・・俺の話を信じるのか?」

勝「いいや、信じてはおらんよ。だが、そのような物があったら確かに面白いだろうな」

松平「まぁ理解は出来ないだろうな。俺も未来ではこんなものが出来るって言われても信じないだろうしな」

勝「理解は出来ん。だが、考えることは出来る。洗濯機、テレビ、俺も見てみたいものだ」

松平「あんたが死んでからずっと先のことだ。諦めろ」

勝「そいつは残念だ」


お龍「勝さん!!」バタン!!


勝「おお!ビックリした!突然、どうした?」

松平「どうした?何をそんなに慌ててる」

お龍「龍馬さん、こっちに来てない?」

松平「なに!?いないのか!!」

勝「おいおい、二人して慌てるな」

お龍「どうしよ・・・目を放した隙に、どっか行っちゃった!」

勝「落ち着け、坂本は中岡と会う約束をしていたはずだ」

松平「場所はどこだ!」

勝「大丈夫だ。お前達が考えることは起こらん。護衛に山田藤吉をつけてある」

お龍「!!」

松平「おい!それは力士か!!」

勝「元はそうだが?」

松平「早く場所を言え!!」


勝「たしか近江屋」

※近江屋事件


松平「勝よ!刀を借りるぞ!!」

お龍「私、先に行く!!」














近江屋


中岡「板垣さんが?」

坂本「おお、ワシ等を狙うのは薩摩と睨んでおるようじゃ」

中岡「なるほど・・・確かに一理あるか」

坂本「この間、薩摩に最近は物騒だと、薩摩邸に入ることを進められたのだ」

中岡「・・・入らぬ方が身のためかもしれんな」

坂本「しかし、幕府に薩摩・・・一体、何を信じればいいのか・・・」


バタン!!


坂本「山田ぁ!ほたえな(騒ぐな)!!周りに迷惑じゃろ!」


ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!


中岡「なんだ?」

坂本「誰か来るみたいじゃの」


バタン!!


お龍「ハァハァ・・・」

坂本「なんじゃ、お龍か・・・」

中岡「あー、マジで心臓に悪い・・・」

お龍「二人とも、今すぐ逃げて」ハァハァ

中岡「・・・まさか」

坂本「・・・」

お龍「暗殺者が来る。今、松平が屯所に助けを呼びに行ってる。だから今すぐに」

坂本「いや、お龍よ。今すぐ物陰に隠れろ」

お龍「何を言って」

坂本「山田に会ったか?」

お龍「山田・・・あれ!?そう言えば、力士は!?」

中岡「お龍さん!とりあえず、押し入れの中に!!」

坂本「はよう!入れ!!」グイッ

お龍「いや!ヤダッ!!坂本さん!!」

坂本「いいか!!何があっても、決して声を出すな!外へ出るな!!」

中岡「たとえ俺達が死んだとしてもだ!!」

お龍「ヤダッ!!絶対にイヤ!!」

坂本「お龍!!ワシの話を聞け」

お龍「ヤダッ!!聞きたくない!!あとで聞く!!」

坂本「お龍、頼む。ワシの話を聞いてくれ」

お龍「・・・」

坂本「これはワシと中岡の罪なんじゃ」

お龍 フルフル

坂本「違くない。この国を揺るがす大きな事をしてしまった。だからこその結果じゃ」

中岡「おい、坂本。急げ」

坂本「ワシ等はこの結果に後悔はしておらん。それに死ぬつもりもない。そこで待っておれ、必ずワシが助けるでの」ニカッ

中岡「お龍さん、あとでコーンポタージュたくさん作ってくれ」

お龍 コクコク

中岡「そりゃ良かった」ニッ

坂本「ほな、扉閉めるでの、また明日(あいた)じゃ」パタン



中岡「坂本よ、きさん指は動くのか?」

坂本「あの男が言っておった。指は動かなくとも、刀なら口にくわえてでも斬りかかれる。何が何でも生き残ってやるぜよ」

中岡「フン、ならばいい。暗殺者とやらの実力、見せてもらおうではないか」シャキン







襖の向こうからは二人の会話が聞こえる。

声を決して出すなと言われたものの、恐怖からなのかそれとも悲しさからなのか嗚咽が今にでも出てきそうになる。

吐き出されそうな嗚咽を手で必死に抑え、押し入れの中で必死に息を殺した。


中岡「・・・きさんが暗殺者か」


お龍 !!


坂本「ん?・・・おまんは!!」


シャキン!!


坂本「アアアアア!!」

中岡「坂本!!貴様ァァァァァァ!!」


キン!キン、ズバッ!


中岡「グハッ」


坂本「中岡ァァァァァァ!」


ガキン!


坂本「クッ・・・重っ」ググググッ


坂本「ァァァァァァ!!」


奮戦を見せる二人だがその声は次第に弱く細々くなっていく。

この物陰に人がいることを悟られてはいけない。

そう思ってか二人は戦いの中、こちらに目を向けることは一切なかった。


坂本「・・・」

中岡「・・・」


二人の奮戦する声が聞こえなくなってからどのくらいの時間が経っただろうか、10分いや、30分・・・1秒が長く感じる。

何分経ったかはわからない。だが、二人が死んだと言う事はわかった。

お龍「・・・」

あの時、高杉から銃を貰っていれば未来は変わったのだろうか・・・

目を離さず、坂本をここに来させなければ未来は変わったのだろうか・・・

過ぎてしまった結果に後悔の念が付きまとう。


二人からは決して出るなと言われていた。

だが、お龍にはこの状況に耐えることが出来なかった。


バタン


辺りは二人の血で紅く染め上がり、傍らには動かなくなった二人の姿があった。

??「誰だ!!」

お龍「・・・なんで」

涙くみ、嗚咽を堪えながらお龍は暗殺者の前に立った。

??「・・・」

お龍「なんで、二人を斬る必要があったの・・・」

??「未来人か・・・」

お龍「二人は、貴方にとって邪魔な存在だったの!?」

??「・・・」

お龍「答えて!!」

??「これが最善だったんだ。・・・すまない」

お龍「貴方は薩摩の人間?それとも幕府?」

??「・・・どちらでもない。と、だけ言っておこう」

お龍「どちらでもないなら・・・なんで、こんなことを・・・」

??「・・・二人は君を守ろうと戦った。その想いを踏みにじり矢面に立った。・・・その結果がどうなるか?君はわかっているのか?」シャキン

お龍「・・・私も殺すの?」

??「目撃者はいたら困るんだよ。・・・未来では犯人は不明。そうだろ?」

お龍「・・・まさか、あんたは!」

??「お喋りはここまでだ。覚悟!!」


松平「ウォォォォォォォォォ!!」ブン!!


??「こなくそっ!また乱入者か!!」

お龍「松平!!」

松平「無事か!!」

お龍「私は大丈夫!!・・・でも、二人は・・・」

松平「・・・お龍、お前だけでも逃げろ」

お龍「松平!!」

松平「早く行け!!」ブン!

??「・・・なんだ?その剣は?」

松平「ウォォォォォォォォォ!!」ブン!ブン!

??「威勢だけでは人は殺せぬよ」ヒョイ

松平「畜生!!当たれよ!!当たれ!!」ブン!ブン!

??「下らん。棒を振り回すただのお遊びに付き合うほど、俺は優しくないぞ!」ビュン


ガキン!!


お龍「松平!!」

松平「ガッ・・・畜生・・・」

??「安心しなよ。殺しはしない・・・ただ、君達二人はこの物語から降板して頂こう」


シャキン!ズバッ、ズバッ!!









近江屋事件

1867年12月10日 坂本龍馬。中岡慎太郎。護衛の山田藤吉の三名が暗殺される。

坂本龍馬 享年31才。

中岡慎太郎 享年30才。


坂本龍馬は即死。中岡慎太郎は襲撃後二日間生き延び、何があったのかを命尽きるまで、何度も繰り返し語ったと言う。


二人を暗殺した人物。それは一体誰なのか?

色々な説がありますが、ここでは語らず私見ではありますが後に語らせて頂きます。







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