プロローグ
《気が遠くなる程昔のこと。この世が神の気まぐれにより生まれ、海が創られ、大陸が創られ、その大陸を裂き、そして最大の気まぐれに、その裂かれ終えた大陸に、生物なんてものを繁栄させてくれた、ようやく言葉が形成され、種族毎の組織が成され国を作った、各国に莫大な栄えと活気が出来たころ、再び神は気まぐれを起こした。そして各国の中心に遺跡を作り、どこかに宝石と精霊を眠らせたそうな、そして――》
――眩しい。最初に思ったのはそれ一つだった、咄嗟に部屋に入る前から握っていた彼女の手を強く握る、確かにそこに彼女の手の感覚はある。
ゆっくりと目が慣れていく中、明るく響く声が一つ、僕達の鼓膜を揺らし、その声を確かに届ける。
「お疲れ様、待っていたよ! さぁ、君達の願いを言ってご覧!」
眩しさで目が痛いほど煌びやかなフロア、壁一面には光る鉱石により形成された壁、そして読めはしない、見たこともない文字が刻まれた部屋の最奥にある石碑は、新たに二行の文字を刻む。
「――この僕が! 君達人類に割り振られたこの僕が! 君達の願いを叶えてあげる!!」
《――その精霊と宝石の部屋を見つけたものは、精霊と宝石に誓い、何でも願いを一つだけ、叶えてもらえるらしい》