オルタナティブ(2)
何のために追い求めるのか。
何のために歩き続けるのか。
何のために謳うのか。
何のために。
響は心理領域を彷徨っていた。
白黒に書き換えられた世界、彼女が望んでそうした世界。
出口などない。そこは、出口は望まなければ生まれないものだから。
彷徨い続ける足取りは重く、何のためにそこに来たのかもわからない。
望まない限りそれは現れず、否定しな限りそれは消え去らない。
それは永遠と呼べる時であり、有限と呼べる世界だった。
目に映る灰色の景色全てが、自分自身にとって目をそらす事のできない事実。
だから少女は歩き続ける。
自分で答えを見つけるために。
⇒オルタナティブ(2)
「本当は、都合のいい事を言って騙しているんじゃないですか」
ポートアイランドの休日も、その例に漏れずのんびりとしていた。
秋風響は河川敷の芝生にひざを抱えて座っていた。
隣にはジャスティスが立ち、海洋プラントから流れ出る滝を眺めていた。
もうすぐ夏になる。七月の日差しは既に夏といってもいい。
少しだけ曇った空から差し込むいくつかの光に照らされながら、二人は河を眺めていた。
「吟示とか、そんなのちっともこないじゃないですか」
左目に眼帯を付けたまま、響はつぶやいた。
数日間行動を共にしたジャスティスに対し、そんなことをつぶやく。
彼は何もしようとしない。昼間は寝てばかりだし、休日になると働きに出るのは何故かフランベルジュのほうで、ジャスティスは部屋に残っていた。
あまりのジャスティスの自堕落ぶりにわざわざここまで引っ張り出してきた次第であった。
目を伏せながら響はジャスティスに語りかける。
「私・・・・・ジャスティスさんがそんな人だと思ってませんでした」
ジャスティスは何も答えない。
ポケットに手を突っ込んだまま、滝を見つめている。
ちらりとその様子を伺って、響はため息を漏らした。
正直に言ってしまえば、響はこれから起こるであろう様々な出来事に何か期待でもしていたのかもしれない。
ジャスティスとフランベルジュという二人に出会い、自分の左目がおかしな世界と通じ合った事により、何かが変わるような・・・そう、世界が変わっていくような予感がしていたのだ。
親友である伊佐美が元通りになった以上、既に心配事は多くない。
仮に吟示と呼ばれる化物が自分を襲ってきても、それは別にかまわない。
元々あれを恐ろしいと響は感じていなかった。
だから、そう。
それでも彼らと同居することを許可したのは、何か期待していたから。
だというのに自堕落極まりないこの男を見ていて、なんだか腹が立ったのだ。
「物事を簡単に決め付けるなよ。まだどうなるかわかんねえだろ」
隣に座ったジャスティスが言う。
だがそれも言い訳にしか聞こえなかった。
「何がわからないんですか?何が決め付けるんですか?私はただ、何にも起こらないのならあなたたちに出て行ってほしいだけです・・・・もう消えちゃったんじゃないですか・・・あの、吟示ってやつ」
「眼帯外せばまだ見えんだろ、心理領域が」
「見えますけど、でも、だって、じゃあどうしてなんですか?」
なら何故何も起こらないのか?
自分でも理由がわからないままいじけた気持ちになってくる。
ジャスティスはいつもと変わらず、笑顔のまま響の肩を叩いた。
「そんなに今の生活が嫌か?」
「・・・・・・・・・」
言われて考えてみる。
嫌かどうかなんて考える事がそもそも一度もなかった。
今までの響の人生は、まあ極端に言ってしまえば家と学校との往復作業だった。
自宅には文明機器が一切存在しないし、学校にいけばなじられて巻き込まれる。
自分がぼけていることもそうだったが、他人に流されまくりな人生に嫌気がさしていたのかもしれない。
さらにそこに現れたジャスティスと吟示。
しかし響は左目が異なる世界と繋がったのだと感じた時、この世界の青空の美しさと崩れていく世界の儚さを知った。
自分が今まで見てきた景色全てが愛おしく思えた。
それがきっと世界と自分が繋がるということ。
別段特別なことではないそんな些細な事実、誰でもありえる境遇。
世界とは所詮個人個人が内包する価値観のようなものだ。
故に響はそれが変わった時、自分を変える存在が現れたのだと思った。
だからそれが、不満といえば不満だったのだろう。
自分のつまらなさと至らなさを知ったのに、肝心の変化は訪れなかった。
「嫌・・・っていうか・・・でも、嫌なのかもしれません」
「どうしてだ?」
「わかりませんよう、そんなの」
「どうしてお前はこの島に来たんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは、」
言いよどむ。
それは他人に言えば馬鹿にされる類の理由だったからだ。
しかしジャスティスは言葉を続ける。
「世界を変えたければ、自らその境界に足を踏み入れなければならない」
「・・・・・・・・・・・・・・なんですか、それ?」
「おれのダチが言ってた台詞だ。そいつはそれっきり、帰って来なかったけどな」
「・・・・・あの、心理領域からですか?」
「心理領域なんてのは、別に特別でも何でもない、どこにでもある物だ。本当はあんなの、帰ってこられなくなるなんてことは無いはずなんだよ」
「でも実際伊佐美ちゃんは戻れなくなってましたけど」
「だからおかしいんだよな。きっとそこには理由があるんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
結局のところ、この数日間の生活で大事なことはひとつも話してもらえなかった。
ジャスティスもフランベルジュも、大事なところだけは言葉を濁してやり過ごす。
それがなんだか無性に気に入らなくて、子供扱いされているようで、嫌だった。
その感情そのものが子供だということに、まだ響は気づかない。
それも当然だった。
彼女は他人に対して、何らかの感情を抱くという事をしてこなかった。
人と関わることも、自分というものを自覚することも。
立ち上がって、それから目をそらして言う。
「・・・・・・全部終わったら、出てってくださいね」
それだけ言い残して、響は去っていった。
一人残されたジャスティスは響の足音が聞こえなくなると、ため息をついた。
「・・・・・ありゃもしかして、気づいてねえのかね」
完全に独り言だった。
誰にも投げかけない、強いて言えば自己確認のための言葉。
彼の視線の先、響が去っていった場所に、彼女の背中は見当たらなかった。
面倒くさそうに立ち上がると、両手の人差し指で自らの耳をふさぎ、片方だけ目を閉じて世界を見つめる。
そこには灰色の世界を一人ぽつんと歩く響の姿があった。
響はあの日から、自らも気づかない内に無意識に心理領域に引きずり込まれている。
いや、正しくは自ら望んでアクセスしているといえるだろう。
ジャスティスはまずその事を重く見ていた。
彼女がそれを自覚しないということは、無意識の内に心理領域を望んでいるという事だ。
何日も様子を見てみたが、自らがこの世界を嫌っているという事に、まずそもそも秋風響自身が全く気づいていない。
両手を離して両目で世界を見つめれば、そこに響の姿は見当たらなかった。
もうほとんど心理領域の方に呑まれかかっている。
それが今後どんな影響を与えるのか、想像するのは容易だった。
「このままほっときゃ、どっちみち連中に消されちまうか」
心理領域には、自らが強く望まない限り出入りする事ができない。
そしてその領域の主の許可が必要だ。
強制的に心理領域に介入するということは、その主の精神を否定するという事になる。
だから出来る限り強制介入はしないべきだし、してはいけない決まりだった。
だがほうっておけばどうにもならないし、どうにかなってしまうだろう。
だから人差し指をパチンと鳴らして世界から彩を奪い去った。
他人の心理領域に易々と入り込めるのは番号入でも恐らくジャスティスただ一人。
彼は一歩、他人の精神の中に足を踏み入れた。
「・・・・・となりゃ、もちろん黙っちゃいねーだろうなあー・・・・」
面倒くさそうにサングラスをかけると煙草を一本、100円ライターで火をつけて銜える。
彼にとっては三度目の、灰ノ王城への進入が始まった。
誰も居ない町。
その町に人が存在しないのは、そこが特定の人物以外の介入を拒んでいるからだ。
心理領域と呼ばれるエリアは、全てが自身専用の固有領域。
主の心からあふれ出すその世界は、当然、主のためだけに存在する。
人の心が持つ様々な心の形。精神のゆらぎ。魂の鼓動。
それは誰にでも存在し、心の内で揺らいでいる。
様々な感情や経験や希望によって揺らぎを増すその振れ幅が限界を超えた時、ゆっくりとその心が望んだ形に世界を書き換えていく。
世界というものは所詮個人個人のうちにある個人的見解に過ぎない。
自己中心的な法則が適用される心理領域。
仮に、空を飛ぶ事を強く望めば、その心理領域では空を飛ぶのに翼は要らない。
あらゆる法則、理論、常識が、無用の長物となる。
勝手気ままに世界を書き換える主の存在により、世界はゆっくりと飲み込まれていく。
そこは幾重にも重なる幻想領域。
主が望まない限り誰も立ち入ることも知覚する事もできないし理解も出来ない。
人の心というものは、本人が望まない限り誰かに理解してもらうことはない。
主が望んだ時、その世界を理解させたいと思った相手だけ、そちら側に引っ張り込む事ができる。
あらゆる我侭が許される絶対的な個人空間。
心理領域にはそれぞれ人によって名が存在する。
その灰色の世界は、灰ノ王城と呼ばれる物だった。
心理領域に立ち入る経験など、ひとつのそれに対し一度が通例だと言われている。
一般人が引き込まれたらそのまま出てこられず食われるが常識だし、
それに対抗出来る彼らならば、その心理領域は閉鎖される。
ジャスティスのようにひとつの心理領域に何度も出入りするのは異例の事だった。
「ま、おれは何もしてねーからだけど」
とぼとぼと町を歩いていく響の後に続いて行く。
既に意識があるのかどうかわからないそのふらついた足取りについていくと、ポートアイランドの景色から徐々に黒い森の中へと変化していく。
心理領域がそのまま原型の地形を残していることは稀だ。
イメージの基本となる原型空間なので、その面影を持つことはあっても、そのまま一緒であることはまずありえない。
だからこの場所もまたその例に漏れず徐々にその姿を変えていった。
森の正体はポートアイランドのビル郡だった。
元々高層ビルの集まりであったはずのそこに、無数の蔦や木々が現れ、全てを覆い隠していた。
それは隠すというよりは徐々に腐らせていくような、穏やかで無音の死を連想させる。
やがて響とジャスティスは森の中にある本の元にたどり着いていた。
響はそれを拾い上げて、胸に抱く。
「・・・・・・・・・・本当はこれを見た時から、気づいていたんです・・・・いえ、多分もっと前・・・ここに来るよりも前・・・・伊佐美ちゃんが、ああなってしまった時点で」
ジャスティスは微動だにせず、煙草から湧き上がる煙だけ、時間が進む事を許されたように立ち上っていく。
「ここは・・・・私の心だったんですね」
振り返った響の左目は本来の色である黒から、異常な彩の朱に変わっていた。
その世界で唯一、その左目だけが『朱』という色を持つ事を許されている。
「枯れた町も、腐った森も、人も彩すらも無いこの世界が、私の中にある世界の価値観」
それはあまりにも寂しい景色だった。
秋風響という少女は、常に笑顔だった。だが、それは欠点だと言える。
繰り返そう、それは欠点・・・・感情の欠如だった。
人は悲しければ泣くし、楽しければ笑う。
寂しければ誰かの声や温もりを求める事ができる。
それは近代科学を以ってして未だ実現不可能な人が持つ崇高さ、不思議さだった。
それが、響には欠如している。
寂しくても、楽しくても、どんな風に振舞えばいいのかわからない。
ジャスティスは知らない。自分と出会う前の彼女を。
「随分前に、捨てたと思ってたんですけどね・・・・この日記帳」
それは秋風響の存在のルーツとも言える、根源たる記憶。
彼女というものが自分という存在を認識するのに必要だった接続機器。
そこから現れる騎士こそ、彼女が望んだ世界の守護者の具現だった。
それは、まるで双子のように密着した、二つの鎧。
吟示。
本から現れたそれは、響を包み込むようにして背後からそっと彼女を抱く。
それは、少女が望んだ世界の守護者。
自分という世界に誰も立ち寄らせない。立ち入るものは許さない。
そして、主が望んだ物を無かった事にする、始末人。
自分に出来ないのなら、もう一人の自分にやらせればいい。
騎士の吟示の主は、ジャスティスの目の前で微笑んでいた。
それは、ある日の夕暮れ時の事。
ジャスティスと、秋風響にとってただ一人の友人と言える少女は向き合っていた。
「あの女の子は、きみの事を邪魔だと感じているんだぜ」
ジャスティスが告げた言葉に伊佐美は一度驚き、それから納得するように微笑んだ。
「だろうね」
「驚かないんだな」
タオルで顔の汗を拭いて、少女は頷く。
「知ってるよ、あたしだって。あの子が自分の事をだめだと思い込んでいて、ついでにあたしが自分に出来ないことは何でも出来る完璧超人だと思っているってことも」
それが響にとって彼女を亡き者にしたいという理由になるかどうかはわからない。
騎士が伊佐美を心理領域に連れ去った理由は、結局響にしか気づけない。
だが多くの心理領域と吟示に関わってきたジャスティスはなんとなくその理由に察しがつく。
だからこそ、今ならまだ間に合う、これから確実に被害者になる少女に声をかけていた。
だというのに、少女はなんてことは無い、まるで当然のように微笑んでいた。
「あたしがあの子に優しくするのなんか所詮自己満足。そういうトコ、やっぱ伝わっちゃうんだろうね。あの子そういうの鈍そうに見えて、多分繊細なところがあるんじゃないかな」
恥ずかしそうに頭を掻きながら、続ける。
「あの子はきっとあたしのこと大事だと思ってくれてるよ。でもね、やっぱり人って裏表があるものじゃん?だから、あの子があたしを大事だと思ってくれても、きっと納得のいかないことはどっかにたまってくんだと思うんだ」
だからきっと、仕方の無いことなのだと、伊佐美は言う。
「それこそ偽善じゃないか?自分の未来がかかってるっつーのに、君はそれでも何もせず、なすがままにされると言うのか?君はどちらにせよ自分を襲ったのが何かもわからないまま、何事も無かったかのように現実に戻されるんだぞ」
「やらない善よりやる偽善、よ。正直我侭だと自分でも思うから笑っていいけどさ、でもあたし、信じてんだ」
いつも彼女が自分を見守ってくれていた。
放課後、一人で努力を続ける自分を響が見ていたこと。
それが自分にとってうれしいことであり、寂しいことでもあった。
結局、伊佐美自身もまた、響の視線を重荷に感じていたこともあったのだろう。
だからこそ、それがわかるからこそ、認めないわけにはいかないのだ。
「あの子のこと、信じてんだ・・・・友達だからさ」
「そりゃ結構。だが、今の内だけでも彼女から離れちゃくれねえか?そうしてくれたほうがおれらとしても仕事がしやすいし余計な手間も食わないで済むんだが。そもそもおれは君がそういうなら助けるつもりはないし、君は間違いなく吟示に食われて消える」
ジャスティスの言葉に、本当に、そう、それは自嘲としか言えない笑顔だった。
それでも笑う。それは彼女の美徳だった。それは響のそれとは違う。
我慢しているわけでもない。偽善でもいい。ただ、それは信じたいから信じるように。
そうしたいからそうしている。ただそれだけ。自分でもバカだと思っても、やめることはしない。
秋風響という友人を、失うことになるのなら。
自分はそのまま、バカなままでいいと、彼女は思っているのだから。
「それが本当だとして、どうしてそんなことあたしが出来ると思うわけ?」
だから告げる。
それがきっと、何かを変えたといえば変えたのだろう。
だからジャスティスはこの件にもう少し深入りしてみてもいいと思えた。
もしもこの会話が無かったら、ジャスティスは響を見捨てていたかもしれない。
だが、秋風響はジャスティスが予見した通り、親友を自らの都合のいい世界にひきずりこんで、現実から消し去ろうとした。
それは騎士である深層心理が勝手にやらかしたことかもしれない。
しかしそれをどこかで望んでいなければそれは実現しなかったことだ。
響はこの世界にも騎士にも恐怖など感じない。
なぜならその世界も騎士も、彼女そのものなのだから。
「ジャスティスさんは最初から気づいていたんですよね・・・・?」
響は熱に浮かされているようだった。
書換が本格的に始まったのなら、やがて意識も消え去るだろう。
書換とは、体と意識の主導権が、本来の自分ではなくもう一人の自分に移行するといこと。
やがて響は自分の存在も忘れ去り、騎士という別人格に変化するだろう。
それは理性と本能に似ている。
響という理性と騎士という本能が入れ替わるということ。
現実での響はかつての伊佐美のようになんの意思も持たない人形に成り下がる。
そして本能に支配されるまま、自分にとって気に入らないものや不都合なものを、心理領域に導いてこれからも書換て行くだろう。
確かに世界というものは本人が望まない限り変わらないものだ。
だからって、これは違うとジャスティスは思う。
「ああ、もちろん最初から全部マルっとお見通しさ」
だから告げる。
きちんと自分と向き合える時間を彼女に与えるために。
自分自身の意思で、きちんと未来を選択させるために。
誰もまだ犠牲になっちゃいない。まだ止められる可能性があるうちに。
それが彼に出来る秋風響へのひとつの贈り物だった。
願わくば、彼女が己の力で未来をつかみ取れる事を。
だから告げる。
「GiveMeMySword」
天に掲げた手のひらに、蒼い光が降り注ぐ。
眩く閃光するその光の柱から現れたのは彼の僕、フランベルジュの姿だった。
彼は、本来なら大事である他人の心理空間へ他の理論武装を介入させるという現象を、ただの一言、呪文を唱えるだけで可能とする。
それは厳密に言えば呪文ですらない。ただ、|そう在れ(ThereIs)と思考するだけ。
だからその呪文は自分自身に対して言い聞かせるだけのもの。
そして神に祈る行為に良く似ていた。
手にした蒼ノ詩を構える。
まるで予告ホームランのように。
「HeartAndMind・・・・」
そして告げる。
「WithRaptAttention・・・・!」
そして告げる。
「Let'sDanceッ!!」
舞い降りた蒼い光を湛えるエレキトリック・ギター。
蒼ノ詩を構え、ジャスティスは騎士を向き合う。
『やはりこうなりましたか・・・響さんの意識は?』
「たぶんねえな。半分夢見てるような状態だ」
『危険ですね・・・・すぐにでも主導権を奪われておかしくない状況、ですか』
「だな、まあ、関係ねえ」
クルリと片手でギターを回し、サングラスを投げ捨てる。
「どっちにしろ、あいつには今晩のメシを作ってもらわなきゃ困るんでな」
駆け出した。あとは全て一息で片付くと言えるだろう。
響をかばうようにして前に出た騎士の槍と、ギターが激突する。
蒼い光と火花を散らし、二つの理論が楽曲を鳴り響かせる。
それはあまりに早すぎるため常人の目には留まる事すらない高速の舞。
無数の灰色が蒼を侵食する。
槍四本に対してジャスティスは片手でギターを振り回しているだけ。まず手数が圧倒的に足りない。
あまりの勢いに圧倒され、思わず飛びのく。
「くそ、前にやった時より強くなってんぞあいつ!」
『それはまあ、本体から所有権が移ってきているでしょうから』
「やりづれえな・・・おい響っ!!目ぇ覚ませ!!」
響は既にぐったりとした様子で宙に浮いている。
騎士から出る煙が彼女を捕らえているようにも見えた。
蒼の詩を頭上に構え、ぐるぐると、何度も何度も回転させる。
それは理論武装としての能力を発動させる開放条件だった。
高速回転する蒼い軌跡と共に、内蔵する駆動システムが動き始める。
蒼白い光を放電しながら、それは次々にエネルギーを溜め込んでいく。
存分に振り回したそれのは蒼い光に包まれていた。
「超ウルトラひっさああああああつ!!!」
『お待ちくださいマスター!』
「あえ?」
一歩で踏み込み、ギターをたたき付けた。
高速回転したギターは内部に運動エネルギーを蓄え、放電する。
内蔵された電磁駆動動力が蓄積した力を、一気に解放することで生まれる破壊。
雷撃音叉と呼ばれるその技は、一度騎士を撃退した過去を持つ。
だがしかし、突然かかったフランベルジュの待ったの声に、威力は中途半端に発動し、騎士はそれを難なく防御。防御に必要とした腕は二本であり、残り二本は当然反撃に使われ、槍がジャスティスに突き刺さった。
ようにみえた。
実際には彼はただ吹き飛ばされた・・・というよりは突き飛ばされただけである。
理論武装により自身の存在を強化している現在のジャスティスは、こと心理領域内では多少の攻撃ではダメージを負うことが無い。
だがそれでも30、40メートルと吹き飛ばされた挙句、ビルに突っ込んでしまった。
巨大なコンクリートの壁に激突するのであれば多少のダメージを受けた可能性も否定できないが、運がいいことにそこは幻想の森。廃れた木々に守られ彼は無事だった。
頭に載った埃と瓦礫を振り払いながらギターを見る。
「何で止めるよ?」
『今、響さんの意識のほとんどは吟示に奪われている状態です。そのままあの吟時を破壊したら、恐らく現実の響さんにも多大な影響が出ると思われます』
「つまり倒しちゃだめってこと!?」
今まで似たようなケースは何度か経験しているというのに、ジャスティスは本気で驚く。
ついさっきまで響の命はこの頭の悪い男によってかき消されようとしていたのだった。
とりあえず起き上がると、すぐ目の前まで騎士が迫ってきていた。
「うわっち!?」
神がかった動体視力と反射神経で槍をかわし、しゃがむと同時に足払い。
しかしスポンと煙を足が通り抜けるだけで、一切ダメージは与えられなかった。
「足が無いの忘れてた」
『マスター!!』
騎士は一本目の槍を手放し、開いたその手でジャスティスの首を掴んでビルにたたきつける。
もちろんその程度ではダメージにならない。理論に対する攻撃は同じく理論か本能でなければ意味が無いからだ。
同じ理論武装でも他人を攻撃するためのものと身を守るためのものがあることをご存知だろうか。
ここでいう理論武装というのはもちろん現実で言う理論そのものを指し示すのだが。
それはこの幻想世界でも適用される。
つまるところ、他人の理論武装をつき砕けるのは、同じく人の理論武装のみ。
それも身を守るためのものではなく、|その相手を崩すために必要とした言葉でなければならない。
故にジャスティスは無傷だった。ジャスティスを覆うGoingMyWayはその程度では揺るがない。
だが、続けて残りの槍が雨のように降り注いだら話は別だ。
回避しようにも防御しようにも、そこは木々の絡んだビルを背にした行き止まり。
「げっ・・・・壁コンボかよ」
つぶやいた次の瞬間には、ジャスティスの体を無数の槍の一撃が打ちつけていた。
騎士の戦闘スタイルは一見強固な防御性能とパワーのある一撃による一撃必殺のように見える。しかしその実下半身が気体であるそれは高速で移動が可能であり、四本の腕とランスは一撃で砕く事より無数の連打に向いていた。
滅多打ちにされながらも、こんな戦い方が出来るあたり響は実は才能があるのでは?と考える。
やがて背後のビルそのものが崩れさり、その中に投げ込まれたジャスティスは無様に地面に頭から激突し、血のりを撒き散らしながら反対の壁まで突っ込んでいった。
一見すると死んで居そうなものだが、そこは腐っても番号入。起き上がると全身を貫通した槍によるダメージに舌打ちした。
「くそ、現実だったら十二回は死んでるぞ」
現実ではあんなものはありえないと思いながらも毒づいた。
それにしてもいかにも不公平な戦いだった。こちらは手を出す事が出来ない。自慢ではなかったが、ジャスティスは戦闘において手加減するということが異常に苦手な男だった。
やるからには何もかも全力。故に手の出しようがなかった。
それに対して騎士は攻撃し放題、打ち放題である。完全に状況は騎士のものだった。
そもそも、心理領域による戦闘は当然その所有者の方に分がある。
その世界そのものが本人のためにあるものなのだから、戦闘能力もその理論武装も、当然強くなる。
故に敵の心理領域には出来る限り入らない方がいいのだ。
それを無視して立ち入った彼が悪いのだが、彼は全くそんなことは棚に上げていた。
頭からぼたぼたこぼれる血を押さえながらジャスティスは首をかしげる。
「やべえまじでどうしよう・・・こんなザコに負けるのか、おれ」
『響さんの本体を取り戻さないことにはどうにもなりませんね・・・・』
「取り戻すつったってあれ無理矢理引っぺがしたらいろいろマズくねえか?」
『・・・・・確かに』
つまりこの状況を打開するのには二人の力だけでは不足。
あの騎士の主である秋風響の協力が必要不可欠だと言えた。
それだけ理解できれば、あとはジャスティスに不安などない。
なぜなら彼は腐っても番号入。
「あとは何とかしてみっか!」
ビルの中に飛び込んできた騎士に駆け寄る。
そしてそのまま何か仕掛けるのかと思いきや、
「おっかねええええ!!!」
そのまま素通りして去っていった。
それは流石の騎士も全く予想だにしていなかったのか、そのまま数秒間停止する。
それから慌ててジャスティスの後を追いかけ始めた。
『何故逃げているのですか、マスター!?』
「だってまだどうにもなんねえんだもん!!響が自分でどうにかするまで待つっきゃねえ!!」
『ま、マスター・・・・様々な建造物や設置物が破壊されていますが』
「あっちのみんなには心の奥で謝っておこう」
こちら側の世界と現実はシンクロしている。
こちらで破壊されたものは、当然向こうでも破壊される。
それが向こうの現象に再構成されるのは戦いが終わった後だ。
だから今の内に謝っておくことにした。
騎士はふわふわ浮いたままジャスティスを追いかけている。
その本体である本は響が抱きかかえたままだ。
その響は煙に巻かれて騎士の後について移動しているし・・・・。
「ん」
そこで気づいた。
「そうか、なんだ」
だから反転する。
「じゃあ、OKだろ」
ギターを構える。
まるでバッターのように。
騎士が飛んでくる。
「せぇーーーーーのっ!!!!」
じゃ〜〜ん!
騎士の胴体に直撃。
ギターは騎士の鎧ごと胴体をなぎ払い、
騎士は四つの目から光を失い、地に伏した。
『ま・・・・マスターーーー!?な、なにを!?』
「いや、思い出したんだけどさ」
ぐしゃりと、騎士の頭を踏み砕いて笑う。
「こいつ本体じゃなくね?」
『あ』
先日はそのせいで響が攻撃されるという失態を犯したのだ。
それを忘れるジャスティスではなかった。
いや、たまに忘れるが、今回は運がよかった。
響は煙に包まれ、宙に浮いたままだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『マスター、これなら浄化できるのでは?』
「しねえ。してやらねえ」
ジャスティスはギターをメイドの姿に戻すと、その場に座り込んだ。
「こいつがしてって頼むまで、ぜってーしてやんねえー」
そして子供のようにふてくされ、そっぽ向いたのだった。
あとはもう、秋風響本人の問題であると、そう言うように。
実際、彼の従者も同じ考えではあった。
あとは彼女の心の問題だ。
いくら吟時を一時的に倒してもそれを消し去ったことにはならない。
それは先日騎士を倒したというのに結局またこうして目の前に現れた事からわかる。
そしていくら吟時を一時的に他人が浄化したとしても、
「また現れない可能性がないわけでない・・・・」
ジャスティスは無言で少女を見上げる。
フランベルジュもまた、その傍らで響を見つめていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・はれ?」
秋風響は騎士とジャスティスの戦いをどこか客観的に眺めていた。
視角しか存在しないように、音も、においも、感じる事はできない。
自分というものが無くなっていく感覚。徐々に、何かに食いつぶされていく。
それ自体は怖くない。なぜなら既に感覚がないからだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジャスティスさん」
ジャスティスが槍に滅多打ちにされ、ビルの中に吹き飛ばされていく。
何故、彼は戦っているのだろう?何と、戦っているのだろう?
いまいち要領を得ない。何か大事な事を忘れている。でも、別にかまわない・・・。
何よりここは何も考えなくていい、居心地のいい場所だから。
だが彼女は覚えている。
夕暮れの町、黒衣の男とであったことを。
親友を助けたいと願った事を。
この世界で見つけた、白い本の事を。
それは、遠い想い出。
彼女がこの町にやってきた理由。
三年前、まだ小学生だった響には一人の姉が居た。
「響、わたしが居なくなっても寂しがらないで」
彼女は妹からすればあらゆることが完璧で、羨望の眼差しを送る相手だった。
それがある日、高校に進学するからと故郷を去っていくことになった。
響はそれがいやでいやでたまらなかった。だから泣きじゃくってそれを阻もうとした。
子供のわがままであることを当時の彼女は知らない。
またどこかで出会える。そういう時が来ることも、彼女は理解出来ない。
だから泣いた。泣いたのは響だけで、姉はきっと知っていた。
これからも自分たちの人生は続いて行くし、いつか妹と再会することは必ずあるのだと。
「わたしはね、響の事が大好きなの。だから響には、自分なりに自分を見つけてほしいな」
姉は背が高かった。まだ子供で慎重も低すぎる響のために身を屈ませ、微笑む。
「だからこれ、プレゼント」
手渡されたのは一冊の白いハードカバーだった。
それは姉がよく自慢げに執筆していた日記帳。
中身をのぞいた事は一度もなかったが、少女にとってそれは夢のアイテムだった。
姉が使っていたものをもらう、ということは姉妹や兄弟の関係ではそれほど珍しいことでもない。ただ、自分のものはどんなに古くなっても使えなくなるまで使う主義であった姉が響にお下がりをくれるということは滅多にないイベントだった。
だから妹は喜んでそれを胸に抱いた。
姉は言う。
「もしも自分を見失ったら、それを開いて過去の自分に答えを求めるの。もしもあなたがこれから先、さびしかったり悲しかったり、どうしようもない気持ちに囚われてしまったとき、きっと力をくれるのは過去のあなた自身だとわたしは思うから」
だから、自分と向き合ってがんばってと、彼女は継げた。
それが、まだ幼い響には理解出来なかった。
だから、その日記もいつの間にかどこか押し入れの奥にでもしまってしまったのだろう。
だというのに、何故だろうか。
「こんなにも、大事だって、今ならわかるんだね」
ジャスティスが騎士を破壊する。
あとはお前の問題だと、突きつける。
だから出来る限り、やったことはないけれど、自分と向き合ってみる。
右目は世界とつながっていた。
目に映る景色は彩りに囲まれた蒼。
左目は自分とつながっていた。
目に映る景色は忘れ去ってしまった灰。
だから言う。
「ジャスティス・・・・さん・・・・・」
そして告げる。
「こわ・・・・して・・・・・・・」
そして告げる。
「壊して・・・・・・・ください」
「GiveMeMySword」
それは厳密には楽器ですらない。
本来のギターとはかけ離れたほど、長大なフォルム。
そして何より、そのギターには弦がなかった。
あるのは光と蒼だけ。
けれどそこは心理領域。
無いのなら作ればいい。
欲しければ求めればいい。
「音楽は好きか?」
答えは無い。
だがそれは他人に向けた言葉ではない。
それは呪文。彼が自分自身に向けて放つ問いかけ。
「Connection」
現れたのは光の弦だった。
ギターの上から下までピンと張り巡らされ、その存在を誇示するように、しかし静かに輝いている。
それがギターである限り、その本来の用途は殴るものではない。
謳い、ただ、他者の心に呼びかけるための手段。
瞬間、世界は蒼く燃え上がった。
大気が、空が、大地が、すべてが蒼く燃え上がっている。
響が作り上げた心理領域を書き換えていく。
ジャスティスもこの心の世界に足を踏み入れる者である以上、
その世界を書き換える権利と力を持つ。
「蒼穹演舞」
燃え上がる炎全てが蒼く、ただ蒼く。
それら一つ一つが微弱な光によって構成されている事を示している。
そして彼がただ弦を弾く、それだけの動作に反応し、光は舞い踊る。
絶対音叉、とでも呼ぼうか。
それは、世界全てを浄化する、蒼穹の演奏会。
ただギターを演奏する、それだけの動作で。
音が、空が、大地が、世界が、それぞれ勝手に踊りだす。
湧き上がる胸の熱さに耐える事が出来ない。
誰も彼もが一切合切彼の音楽に逆らえない。
それは詩でも演奏でもなんでもない。ただ楽器をかき鳴らす。
けれどそれは他人に向けて放たれた、繋がる気持ちだから。
だからきっと、届かない人なんていない。
ジャスティスは謳う。大声で。己の存在をかき鳴らすように。
それがきっと、秋風響に届くのだと、彼は確信しているのだから。
世界が蒼く燃え上がる。
騎士と、それに奪われた灰ノ王城は、一瞬で染め上げられた。
それが、ひとつの世界の終焉だった。
「・・・・ふえっ?」
秋風響が目を覚まして最初に見たのは、傾いていく太陽と、自分を抱きかかえた男の顔だった。
ジャスティスにいわゆるお姫様抱っこをされていたのだ。
「よお、ちゃんと目が覚めたか?」
「ジャスティスさん・・・・・わ、私・・・・・あれ?なんだっけ?」
「出たよ記憶混乱・・・・・なんにせよあとは君が再発しないように気をつけることだ。またああいうことになったら、今度こそ俺は知らないからな」
「・・・・・・・・・・助けてくれたんですか?」
「感謝しろよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・私、なんであんなことしちゃったのかな・・・」
すっかり落ち込んだ様子でうつむく響。
ジャスティスは苦笑しながら、河川敷を歩いていく。
「誰だってたまにはイライラが爆発したりするんじゃねえの?つーか、お前は我慢しすぎ」
「そんなつもりは、ないんですけど・・・・」
「なくても、だよ。もっと素直に我侭に生きて見たらどうだい」
「我侭に、ですか・・・・・」
「いいじゃん、迷惑かけたってさ。人に迷惑かけて、面倒見てもらって、んで、いつかは自分が迷惑かけられたり面倒見る側になってくんだよ。だから、頼ったり頼られたり、自分を取り巻く環境と繋がりたいと思う気持ちが大事なんだ」
「・・・・・・・・・・」
「んで、いちいち変わることにあせる必要はねえよ」
「でも・・・・・・」
不安そうに言葉を遮る響に、ジャスティスはあきれたように言う。
「少なくともお前には、何があってもいなくならねえ友達が一人いるじゃない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・ですよね・・・・えへ、そうですよねっ!」
「・・・・・それにしても大変だったんだぞ・・・降りてくれよ」
二人は横に並んで歩いていく。
ジャスティスはだいぶ疲労しているのか、ぐったりしたまま続けた。
「お前も見たろ?いろいろやらかしちまったからあわてて逃げてきたい」
「はあ・・・・・」
笑いながら歩くジャスティスの姿に少しだけ胸がドキリとした。
彼はなんというか、変わっている。普通ではないしまともでもない。
けれどきっと、根はいい人なのだろうと思った。
こうして自分が彼とかかわることで、確かにきっかけは与えられたのかもしれない。
だから、黙って歩こう。
そのきっかけを、いつか自分の手でつかみとったのだといえる日が来るから。
とまあきれいにオチをつけたいところだったが、やはり気になることがひとつだけ。
「あの〜・・・・・?」
「なんだ」
「どうしてその・・・・ギターなんですかねえ・・・・」
「ギターはいいぞ、コイツは誰かに想いを伝えたくてこの世に生まれたものだ」
「は、はあ・・・・」
「想いを伝えるということがどれだけ大事であるか、今のお前ならわかるだろうよ」
「ええ、まあ・・・・」
正直よくわからなかったがうなずいておいた。
ジャスティスはとても楽しそうに見えたから。
一方そのころ、市街地では。
「マスター・・・・わたくしを置いていくなんて・・・ううっ・・・ひどい・・・・」
演奏後、ジャスティスはギターをほっぽりなげる悪癖があった。
毎度投げ飛ばされるのはフランベルジュとしてはまあ、まだ納得できたが、今回は市街地が破壊されたのであわてて逃げ去ったジャスティスにおいていかれてしまったのだ。
「なんだか、いまいち納得がいかないわ・・・・」
腕を組んで目を閉じているフランベルジュに声が聞こえてくる。
夕日をバックに、ジャスティスが響を担いで走ってくる。
恐らく響の走る速さが遅すぎたのだろうと彼女は推測した。
そして歩き出す。
ジャスティスは事件が解決した後も響の部屋に居座る気満々だ。
そんなわけで、三人の妙な共同生活はこれからも続くだろう。
夕日を背に三人の影が並んで、それから重なった。
さて、では始めよう。
それはほんの少し未来の、少し不思議な町で起こった、不思議な物語。
ギターと夕日と青春ダッシュな物語。
つづく!
プロローグとして作った『その名はジャスティス』、『オルタナティブ』です。
プロローグどころかなんの説明も無いような気がします。
そのへんは追々やってけばいいです。
主人公は誰なのか、いまいち見ていてわからないと思います。
とりあえずは共通して響なんですが、彼女の一人称ではない上に登場しないシーンも多いので厳密には主人公的な位置ということですが。
出てない登場人物とか多すぎな上、かなり長く続く予定なので前作と比べるとかなり長期連載になりそうな気がします。
作者の気合が続けば、ですが。
ギターで戦うヒーローというものが果たして読者に受け入れられるのか些か疑問です。
最初は剣で戦おうかとも考えましたが、なんだかありきたりな気がしたのでギターに変更。
そもそも俺ギター好きですから。
メイドがギターになるというのは自分でもどうかと思いますが、反省はしていません。
序盤は吟示との戦い、それに連なる登場人物の紹介に費やしたいと思います。
しばらくはそんな展開です。




