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フラグメント(3)



銀色の線が虚空を切り裂く。


描かれる無数のシルエット。流星の舞、飛び散る火花。

鉄が大地を削り刃が鋼を叩く鋭い音。

暗闇の中、騎士は一人両手に構えた両刃剣を振るっていた。

深い闇に包まれた深夜のポートアイランド市街地。

無数の吟示がただ一人踊るように剣を振るう騎士に襲い掛かる。

吟示の数は5体。しかし、元々は8体による襲撃だった。

騎士は遭遇と同時に三体をすばやく処理し、反転し襲い掛かってくる残りに剣を振り上げた。

月明かりだけでは乏しい幻想の領域。足元すら覚束ない漆黒のステージ。

騎士は理論武装つるぎを振るう。領域すら開かぬまま女は地を駆ける。

眉ひとつ動かさない冷徹な瞳。その影を踏む背後には彼女が守るべき主の姿がある。

長髪が月明かりに照らされて揺れていた。

騎士の一挙一動が生み出す無数の突風に吹かれ、しかし主は目を背けない。

悲鳴とも取れる吟示の金切り声。主は不快感を露にした目でそれを見つめた。


「手伝いましょうか?ルクレツィア」


「心配ない、そこで見ていろ」


剣が瞬時に無数の軌跡を描く。


「もう、終わった」


指先でくるりと刃を回し逆手につかむと腰にぶら下げた鞘に押し込んだ。

小気味いい金属音が響くと同時に全ての吟示は光の粒になって空に消えていった。

黒いスーツに身を纏った女騎士は緩んだネクタイを締めなおして振り返る。


「お怪我は?」


「大丈夫よ。それより吟示が統率された動きで襲ってくるなんてね」


「イゾルデ様も言っていただろう、おそらく救世示の差し金だ。吟示を自在に操れるというのはどうにも腑に落ちないところだが、まあ賞味問題ない。このレベルの敵ならぼく一人で十分対処可能だ」


ルクレツィアが空間を指先でなぞる。

まるで空間のほつれを探すようにしばらくそうした後、空を切ると何かが開けたように風が吹いた。


「妙な心理領域だったな・・・なんというか、『個性』がない」


特になんの効果も意味も発揮しない心理領域。

心理領域とは本来それぞれの個性そのものでもある。個性そのものであるはずの心理領域になんの効果も異常もないというのはむしろ奇妙なことだった。


「それでも間違いなく心理領域でしょう?あなたの剣が意味を持っていたもの」


「これは現実こっちでもナマクラではないが、もちろんそうだったのだろう。まあどちらにせよあの程度ならば他の番号入ナンバーズもやられるとは到底思えない」


「やっぱり狙いは私かしら?」


コートの下に見え隠れする白いドレス。主は腕を組んでため息をついた。


「むしろ狙いはぼくだったのだろう。あなたの情報はまだ誰にも知られていないはずだ」


「そうでしょうね・・・そもそも、私が組織のリーダーになる、っていうのもいまいち信憑性のない話よ」


「イゾルデ様の推薦だ。誰も文句は言うまい・・・自信を持て、伊織」


伊吹伊織。

ルクレツィアが主と呼ぶ少女は少しだけ不安そうにしかし微笑みで応えた。


「ルクレツィア、他のナンバーズとも定期的な連絡を怠らないでね」


「承知しているよ」


歩き始めた伊織の三歩後ろを騎士は目を閉じたまま歩く。

それがなんだか騎士というよりは侍のようで妙におかしくなった。


「・・・・・何だ?」


「なんでもないわ」


片目を開いて無表情に問う騎士。

その足音を聞きながら少女は一歩一歩、前に歩いていた。




⇒フラグメント(3)





「まったくけしからん状況だ!なんとかしろっ!」


「と、言われてもね・・・・」


冬空の下、銀髪の少女が叫んだ。

少女を見下ろすように立つ学生服の少女、伊吹伊織は唇に手を当て、


「とりあえず道端で話すのもあれだし、どこか入らない?」


シュズヴェリイの頭を撫でて微笑んだ。

冬のポートアイランド。道行く人々は皆何かにせかされるように歩いていた。

そうした人の流れの中、首に巻いた白いマフラーをはためかせながら颯爽と伊織は歩く。

隣で人ごみに流されそうになりながら歩くシュズヴェリイの手を引いて。

二人が入ったのはかつてジャスティスなども訪れたハンバーガーショップだった。

シュズヴェリイにとっては馴染み深い場所だったが、伊織にとってはそうでもない。

結局シュズヴェリイに言われるがままに注文を済ませると席についた。


「それにしても久しぶりね、シュズヴェリイ。元気にしてたかしら?」


「見ればわかるだろう?元気すぎて嫌になるくらいだ」


コーンポタージュスープに口をつけながら少女は笑った。

頬杖をついた伊織は微笑みながらその様子を伺う。

プラント暴走事件後、二人の仲は急速に進展した。当時一緒にいたということもあるが、お互いに苦労の耐えない立場であったことが調和の理由とも言えるだろう。

実際に伊織がシュズヴェリイとかかわるようになったのは事件が終了して半年近くが経過した頃。


プラントの暴走事件はポートアイランド市民に強い不安を与えた。

完全に管理管制されているからこそこの町は成り立っているとも言える。

あらゆるものが機械仕掛けに動き、島そのものが機械であるといえるこの町でトラブルやシステムエラーなどはあってはならないものに他ならない。

市民の安全性を考慮すればひとつのトラブルでも大騒ぎになって当然といえる。

その中でも最も大規模な施設であるプラントの暴走事件は市民に強いショックを与えた。

その結果がある意味彼女、伊吹伊織を組織に組み込む理由となったのかもしれない。

コーヒーの注がれた紙コップに口をつけ、顔を顰める。

普段高級品を飲みなれているせいかさすがにインスタントは口に合わない。


「そっちはどうだ?組織には馴れたか?」


「ええ、そうね。ただやっぱり、自分がリーダーというのはまだなじまないけれど」


はにかみながら微笑む。

組織レクイエムのリーダーは発足から常にイゾルデが務めて来た。

そのリーダーが代替わりしたと言うのは組織にとっては大事件である。

それは組織そのものの体制が変化し始めたという事に所以する。


まずここで組織レクイエムというものがなんであるのかを説明する必要があるだろう。

組織=レクイエムは文字通り吟示を宥め鎮める者として組織された私設部隊である。

その発足理由などはおいておくとして、まずレクイエムが組織として運用される以上、そこには大本・・・つまり資金の出所が必要だ。

組織的に軍事活動に近い行動を行わねばならないレクイエムにとって出資者スポンサーは必須であるし、そもそも誰かがその組織を企画しなければ実際に発足することは出来なかったであろう。

レクイエムの前組織となるものが発足したのは五十年以上前の事だが、レクイエムとして対吟示組織がきちんと出来上がったのはここ十年ほどの話である。

そもそもレクイエムという組織を発足したのは『佐伯コーポレーション』と呼ばれる巨大企業である。

つまりレクイエムは佐伯コーポレーションの私設部隊、ということになる。

もちろん表だっては複合企業である佐伯社が裏で化物退治をしていることは公表されていない。

佐伯社はポートアイランドの開発計画当初から大きく関与し、地下にレクイエムのための空間を作り、プラントと直結させることで様々な資金的問題を補ったわけである。

それはおいておくとして、つまり組織の構成員は佐伯社の社員だと言える。

ポートアイランドの中央に位置するムーンドロップタワーには地下から出入りする事も出来る。

つまり佐伯社とレクイエムには密接な関係がある、ということである。

それが何故伊織がレクイエムのリーダーとして抜擢されたのかというと、少々ややこしい事情になる。


ポートアイランドには共同学園アイランドスクールと呼ばれる学園が存在する。

その生徒たちの多くは推薦などで各地から集められた秀才たちだ。

しかしながら中には特別成績がよいわけでもなく集められた生徒も存在する。

そうした生徒は『候補者』と呼ばれレクイエムの監視下理論武装に覚醒することを期待されている子供たちであり、その中の一人が響でありまた伊織であったというわけである。

つまるところ、この島そのものが最初から戦場として設定されている場所なのである。

プロジェクトレクイエムと呼ばれた佐伯社の所有者セイヴァー育成計画。その中枢には伊織の父である伊吹宗佑いぶきそうすけも含まれており、彼自身吟示関連の事件について詳しいわけではなかったが関係者の娘として当然伊織もマークされていた。

そしてジャスティス、秋風響との接触により理論武装に目覚めた伊織はプラント暴走事件が起ころうが起こるまいがどちらにせよ近いうちに組織に編入される予定であった。

と、彼女が知っているのはそこまでである。

自分が何故突然リーダーに大抜擢されたのか、などはさっぱりわからないままだった。

だからこそいまいち現実味がなく、そして会社を信用できないでいるのかもしれない。

そんな不安な状況でしばらく支えてくれたのがシュズヴェリイだった。

シュズヴェリイが響について回るようになる近日まで二人はよく時間を共有する関係だったのである。


上層部うえにも考えがあるんだろう。まああの会社そのものがあまりわたしとしては信用ならんからこそ組織に執着しないわけだが」


「そうね・・・・まさかパパの会社が大本だとは思わなかったもの。でも、誰がそんなことを始めたのかしら」


「さあな。どちらにせよ会社としてはこの自分たちだけが今のところ独占できているであろう吟示、所有者の情報を他に流したくはないんだろうな。なんでもビジネスにするのがうちの会社の方針だ」


「他にも吟示のことに気づいている大人たちはいると思うけれど」


「いたところでどうしようもあるまい・・・・そうだ、本題をすっかり忘れるところだった」


小さい口でハンバーガーを齧りながら少女は身を乗り出す。


「組織はどうするつもりなんだ?救世示はとっくに動き出していて仲間を増やしているんだぞ?」


「それどころかこっちは構成員が何人か襲撃されているし・・・特にナンバーズは」


「私もどこからともなく現れる吟示やら所有者に襲われる始末だ。これでは安心して旅も出来ん」


勢いよくハンバーガーを齧りながら少女はぼやく。

それを眺めながら伊織は苦笑した。

リーダーとは言え現状ではその指揮権などは先代のイゾルデにある。

まだ伊織は所属構成員全員に的確な指示を出せるほど経験が深いわけでもない。

故に直訴されたところで出来ることなどは限られているわけだが。


「そういえば小耳に挟んだ噂話だが」


指先についたケチャップをなめながら少女は顔を上げる。


「貴様らの友人の・・・・近藤、とか言ったか?吟示についてかぎまわってるそうだな」


「ああ・・・・まだ諦めてなかったのね、やっぱり」


「やっぱりって・・・・じゃああいつが危険な目にあってるってことは?」


「想定の範囲内ね・・・・仕方ないから御堂さんにさりげなく護衛してくれるように頼んであるから、今頃東京で遭遇しているんじゃないかしら」


「御堂・・・鶴来か。まああいつが一緒ならそうそう妙な事態にはなっていないだろう」


「・・・・・・だといいんだけど」



組織のリーダーが苦笑いしながら無事を祈る一方・・・。


「今日こそあの蛇をやっつけるわよ!」


明け方の都内某所、地下鉄のホームに伊佐美の気合たっぷりな叫び声が響いていた。

異常にハイテンションの伊佐美の背後、眠い目をこすりながら鶴来がついて歩いていく。

何度も止める鶴来の話を無視し、伊佐美は数日前吟示に遭遇したホームにやってきていた。

妙に気合の入った鼻息の荒い少女を止める術を無口な青年は知らない。


「どうやってだ・・・・?そもそも、罠じゃないのか・・・・」


「どうやってって・・・あんたが倒すんでしょ?」


「ボクか・・・・」


「当然でしょ?あたしは言っておくけど戦いになんか最初からならないわよ!」


何を自信満々に叫んでいるのか。

腕を組んでその場に根を生やしたように立ち一歩も動く気配のない伊佐美。

先日ルルイエに危険だと警告されたばかりだというのに・・・。

鶴来に頭を抱えて悩む暇はない。もうすぐ地下鉄がホームにやってくるだろう。

あの地下鉄の車両そのものに根を張り領域を展開しているとすれば車両がやってきて始めてその存在を感知する事が出来る。

しかし逆に言えばその車内にさえ入ってしまえば向こうの心理領域への侵入は容易いだろう。

だが、先日の大怪我のせいで今も鶴来は満足に動く事が出来ない。

心理領域に入れば文字通り気力である程度はカバー出来るが・・・。


「君は・・・・どうして自ら危険な道を選ぶ?」


「どうして、って・・・・あんたは何も教える気はないんでしょ?」


「当然だ・・・・知っているというだけで危険な目に会うのは間違いない」


「あのね、こっちだって何も知らないわけじゃないんだよ?あんたらが『組織』ってところに所属してるってことも、あんたたちなら響の行く先を知っているかもしれないってこともわかってんだから」


ずんずん歩み寄りながら人差し指を鶴来の額の前に突きつける。


「でも、いえないってのもわかってるつもり」


「・・・・それがどうしてこうなる?」


「うん、まあ、あんたとしてはあたしを死なせたらまずいわけでしょ?」


「当然だ」


「だったら利用させてもらうだけよ。多少の危険だったらあんたがいれば乗り切れそうな気がするのよね、あたし。結構冴えてるでしょ?」


それはどうだろうか。

確かに伊佐美の言うとおり、鶴来は彼女を守らなければならない義務がある。

一度下された命令はそうそう謀反に出来ない鶴来だからこそ、投げ出す選択はありえない。

彼はナンバーズ、ある意味において最強とされるものたちの一人である。ゆえに並大抵の出来事であれば彼女を守ることも可能であろう。しかしこう立て続けに危険に足を踏み込まれてはさすがに確実にとは行かなくなる。

それでも彼女にしてみれば待ってくれた方なのだろう。毎日看病を続けてくれたし、彼女はその間にも自分に出来ることをと努力していた。

出来れば応援したい。しかし彼女はひとつ勘違いをしている。

秋風響についてはもはや組織も手が出せない状況であるということである。

既にそれすら話すことも出来ないが、どちらにせよ自分に何かしてやれることは多くないのだ。


「でもさ・・・・あんた」


「ん?」


「またこの間みたいにすごい大怪我しちゃいそうになったら・・・あたしのことは見捨てて逃げちゃってもいいよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「頭悪い作戦だってのはわかってんのよ。でも正直、なりふりかまってらんないから」


後ろで手を組むその指先が少しだけ強く結ばれる。

やがてホームに滑り込んできた人気のない地下鉄に二人は足を踏み込んだ。



心理領域というものは、発生源を中心に発生する。

吟示、あるいは所有者が心理領域を展開する時点で位置していた場所から周囲に球状に発生するのである。つまり上下左右どこにでも均等に空間は広がるが、一度発生したら発生源が移動しようが空間は固定される。

そのため本来移動し続ける電車というものに心理領域を固定することは非常に難しい。

そうする必要性があまりない上にこうして常時領域を発生させておくことは消耗が激しいからである。

つまり所有者が電車に限らず何かの空間に領域を固定し篭城している場合、それは十中八九敵がテリトリーとして居を構えているということに他ならない。

前回同様、人っ子一人存在しない閑散とした車内。

ゆっくりと動き始めた車両の中、伊佐美は強く拳を握り締めた。


「さて、どこから来るのかしら」


鶴来は黙って周囲を観察する。

特に吟示の気配は伺えないが既に何らかの『心理領域のようなもの』の中であることは間違いない。

前回から違和感を覚えていた事だったが、心理領域にしては何もなさ過ぎる。

ただ人がいないというだけで限りなくそれは通常空間に近い。


「じっとしててもしょうがないわね。前の車両に進みましょう」


二人は慎重に前の車両へと移動していく。

しかし何事もなく先頭車両へとたどり着いてしまい拍子抜け。


「何よ!何にもないじゃない!」


シートをブーツで蹴りまくる伊佐美。鶴来は腕を組み耳を澄ませる。


「・・・・・・・・何もないな・・・吟示の気配すら・・・」


「いくら気配を探っても無駄だぜ?あの吟示はもう回収しちまったからな」


二人が同時に振り返った。

自分たちが先ほど歩いてきたはずの後方車両からゆっくりと足音が聞こえてくる。

車両が線路の上を駆け抜ける轟音の中、その音は妙にはっきりと聞き取る事が出来る。

現れたのは少年だった。ダークスーツに身を包んだ長髪の少年。

ポケットに手を突っ込んだまま少年はにやりと微笑む。


「てめえが近藤伊佐美、だよな・・・写真の方が可愛い気がするが」


ポケットから取り出した伊佐美の写真と実物を見比べて首を傾げた。

まあ、写真の伊佐美は自然体だが今の伊佐美は正体不明の少年を前にし敵意と警戒心を丸出しの状態である。お世辞にも可愛いとは確かに言えないであろう。


「余計なお世話よ!それよりあんた何者?」


「率直だな・・・・まあ話の展開が速くなってこっちとしては大助かりだけどよ」


一歩前に出た少年は何かを見透かすように伊佐美を見つめ、


「ジョシュア・ハーベンハイトだ。所属は救世示メサイア・・・・鶴来そいつの敵さ」


鶴来は渋い顔をしたまま全く動く気配がない。

表面上は冷静を装っているものの、鶴来はジョシュアの登場に衝撃を隠しきれなかった。


「・・・・・・どうして君が・・・」


「どうしてもこうしても・・・・・てめえが一番分かってんだろ?」


二人の間に流れるただならぬ空気に置いてけぼりをくらう伊佐美。

首をかしげながら視線をいったりきたりさせしろもどろ。


「えーと・・・あんた、知り合い?」


「知り合いも知り合い、古い付き合いさ。まあこっちとしちゃとりあえずは伊佐美ちゃんにご同行願いたいところなんだけどな」


「あたしに?言っておくけどあたしは何の力もないし頭も悪いけど?」


「自分で言うなよ。てめえの価値は能力じゃねえ・・・関係性さ」


「関係性?」


「そう、あんた・・・秋風響と仲がいいんだってな?」


その名前に伊佐美の目の色が変わった。


「・・・・・どういうこと?」


「俺様たちはあの女にいろいろと用事があってな。だが捕まえようにもなかなかうまくいかない。だから向こうからおいでいただけるように手を打ちたいってわけだ」


「人質ってことじゃない」


「そうだな。だが、一緒にくれば響に会えるかもしれないぜ?少なくともこんなところでくすぶっているよりはよほどいい選択だと思うがな」


それは本人が一番よくわかっていることだった。

響のことだ。本人がどんなにそっけない態度を取ったとしても、黙っていなくなってしまうような白状者を気取ったとしても、彼女という人格の根本にあるものは偽りようがない。

自分が人質になれば響は絶対に助けにくるだろう。助けに来てくれるだろう。助けに来てしまうだろう。

こうして意味があるのかないのか答えにたどり着けるのかどうかもわからない毎日よりもそうした手段をとってしまうほうが近道であることは間違いない。

そもそも、もはやなりふりかまっていられないのだ。拳を強く握り締める。


「・・・・・・確かに、その方が響にすぐ会えるでしょうね」


「おっ、話が早いな。こっちだって悪いようにはしねえ、大人しくしていてくれれば・・・・」


「だが、断るッ!!!」


人差し指でジョシュアをびしっと指差し、叫んだ。


「あたしはもうあの子の足は引っ張らないって決めたのよ!なりふりかまってらんないのは確かだけどね、そういう再会はあたしが望むシチュエーションじゃないわっ!」


叫び声が反響する。隣に立っていた鶴来は目を丸くして伊佐美を見た。

本人は『やっちゃったかなあ』という顔をしつつ、しかし清清しそうに腕を組んでいた。


「・・・・・・・っはははは!!そうかいそうかい、ま、確かに情けない姿ではあるわな」


「情けないもなにも最高に情けない姿よ。あたしはかっこよく再会したいの」


「そうかい・・・そいじゃまあ、仕方ねえな・・・・」


言葉と同時に空間に波紋が流れた気がした。

大気が、心理領域が鼓動するように揺らめいた次の瞬間、ジョシュアの手には金属製の籠が握られていた。

形状は鳥籠に近い。しかしそれよりも網目の細かい籠はどこか虫篭を連想させた。

すぐさま動いたのは鶴来だった。一瞬で伊佐美を抱きかかえると後方に跳躍する。

胸に手が当たってしまったことにより伊佐美がキレて鶴来の頬をしたたかに打ち付けるよりも、彼女は悲鳴を上げるよりもさらに早く、次の瞬間には何かが目の前の空間を破壊していた。

飛んでくる無数の破片を払いながら鶴来は伊佐美を床に降ろす。


「な、何今の」


「・・・・・やつの理論武装だ。よく見ればわかる・・・」


「いやいや、わかんないから」


いつの間にか虫篭は開かれ、そこからはどす黒い霧のようなものがあふれ出している。


「流石に能力がバレてるとやりづれえな・・・・なあ、鶴来っ!!」


また何かが来る。伊佐美は今度こそはと目を凝らしてみるが、一行に何も見えないまま再び鶴来に抱えられて宙を待っていた。


「ちょ、何されてんのあたしら!?」


「攻撃されている・・・・」


「それはわかるけどっ!」


ジョシュアは最初の立ち位置から一歩も動いていないというのに。

何かをかわした鶴来は窓から飛び出し高速で移動する車両の上へと一瞬で移動した。

凄まじい風の中、吹き飛ばされそうになる伊佐美を残し、再び車両に飛び込んでいく。


「ちょ、ちょっとおーーー!!こんなところにおいていくなあああーーーっ!!!」


割れた窓から吹き込んでくる無数の大気の流れ。

飛び込んだ列車の中、長髪を靡かせながら鶴来が何者かに蹴りかかる。

そこにいたのはつい先ほどまで存在しないはずだった蛇の吟示だった。

ただの蹴りだというのに凄まじい勢いで吹っ飛んでいく蛇を無視し、ジョシュアを見据える。


「アレ?女はどうした?まさか捨ててきたのか?」


「そんなわけがあるか・・・・彼女を傷つけるつもりがないのならば手を出さないでくれよ」


「フン、別にあんな女、いつでも捕まえられるさ」


虫篭がゆれる。

霧から飛び出す何者かの腕。それは人のものではなく獣のそれに近い。

鋭利な爪と牙を持つ巨大な獣。

列車に入りきっているのが不思議なほどの巨体が繰り出す爪は車両を破壊しかねない勢いであらゆるものを引き裂いていく。


バジリスクの次はマンティコアか・・・・・」


「よけないと死ぬぜ?」


無数に繰り出される爪の嵐の中を鶴来は壁や天井すら足場にし回避していく。

椅子や窓や扉や天井、床などが次々と破壊され既に原型をとどめていられない。

中でそうした凄まじい戦いが起こっている事を伊佐美も感じていた。

なにせ車両事態が凄まじい勢いで揺れているのだ。このままでは脱線しかねない。


「というか、時々足元から爪みたいなのが出てくるんですけど!」


超スピードで移動する車両の上というのはかなりおっかない。

アクション映画で見た事はあるものの、実際にこんなところに放り出されると誰が想像したか。

だからといってこんなところで大人しくしているわけにもいかない。

恐る恐るはいつくばって移動し、ひとつ後ろの車両にたどり着く。

辿り着いたところでどうやって中に入ったものか。窓は割れていないし他に出入り口が存在しない。

そもそもこんなところに人が乗ることは誰も想定していないのだ。

それこそアクション映画でもない限りは。


「うわっ!ちょっ、あれ、これやばくない!?」


いよいよマンティコアの攻撃に耐え切れなくなった車両が分断され、鶴来のいる先頭車両とジョシュア、伊佐美のいる後部車両が切り離されようとしていた。

このままいくと伊佐美はジョシュアと二人きりになってしまう。そうなったら流石に逃げ切る自信はない。

つかまればもちろん先ほどの話の通り人質になってしまうのだろう。


「それだけは嫌ね・・・・」


高鳴る心臓と恐怖に震える足に喝を入れて汗を拭って立ち上がった。

既に天井が穴だらけになり鶴来と獣が戦う姿が伺える。

ゆっくりと車両と車両の間が離されていく。鶴来は狭い車両という空間と大きすぎるマンティコアのせいで後部車両に移動出来ないでいた。

移動しようとする一瞬の隙を突いて獣は彼の体を両断するであろうことは嫌でも理解できる。

こうなったらもう誰かが助けに来るのを待っている場合ではないのだ。


「足手まといにならないって決めたろ・・・・!」


クラウチングスタートの姿勢を取る。

自分は結局世界一になれたわけでもなんでもないが、陸上選手だ。

ここから反対側の車両までどうせ2、3メートルくらいの距離だろう。飛べない距離ではない。


「・・・・アレ?なんだかいまものすごく嫌な予感がしたような」


半笑いのまま強く足を踏み込み、まっすぐに目標を見据えた。

駆け出す。呼吸をすることさえ忘れてしまいそうな凄まじい暴風の中、足を踏み込む。

恐怖はある。戸惑いもある。不安もある。しかしそれでもやらねばならないのである。

何故ならば、


「こんなところでっ!終わってたまるかっ!!」


かつての感覚を思い出す。

ただ早く走る事だけを追求しいつしかそれに没頭していた時代。

自分は短距離走選手だ。幅跳びではない。

しかしだがそれでもこんな状況ではそう、文字通り・・・・なりふりかまってなどいられない。

飛んでどうする?着地はどうする?その後どうする?様々な疑問が脳裏をよぎっていく。

しかしそれらは全て流れる景色の一部のように彼女の頭に残る事はない。

無心で走る。全力で集中するしかない。世界記録でさえ塗り替えてしまえる気になれ。


「いっけえええええーーーーーっ!!!」


跳んだ。いや、飛んだ。

ジョシュアと鶴来とマンティコアの視線が自分たちの頭上に注がれる。

ジョシュアは口をぽかんとあけたままあっけにとられていた。

マンティコアも主が呆けているのでやはり呆けている。

鶴来はとんでもなくあわてていた。戦闘中であることも忘れ、必死に伊佐美をキャッチする。


「きゃあっ!おおっ・・・・や、やってみるもんね」


「馬鹿か君はっ!?死ぬ気か!?」


普段無口であるはずの鶴来の怒号に思わずきょとんと目を丸くする。

しかし実際彼女が飛ばねば状況は悪化していた。車両はどんどんその間を開き、マンティコアの腕も届かないほどの間が空いてしまった。

肩をすくめたジョシュアは切り離され遠くなっていく車両から彼女が落とした帽子を投げ込んだ。


「鶴来!次に会う時までその女を大事に守っておけよ!」


「・・・・・・・・」


車両が遠ざかっていく。

マンティコアであれば列車と同じスピードで走ることも可能であっただろう。

だとするとこれは伊佐美の勇気に免じて引いてくれた、と考えるべきか。

いまさらになってあまりの恐怖に足を振るわせる伊佐美を抱きかかえたまま、鶴来は立ち上がる。


「・・・・・・・・・・・あまり無茶な事をするな」


「あ・・・うん・・・・ごめん」


「ふう・・・・・」


帽子を伊佐美の頭の上に載せると鶴来もまた車両から飛び降りたのだった。





「結局進展はなしかあ」


深夜の町を二人は肩を並べて歩いていた。

頭の後ろで手を組んで歩く伊佐美はちらちらと鶴来の様子を伺っている。


「・・・・・ん?」


「あんたさ・・・・・変わってるわよね」


「・・・・・・・・・・・・・そうか?」


「変わってる変わってる」


「かも、しれないな・・・・」


「あ、思い出した」


立ち止まった伊佐美は思いっきり手を振り上げ鶴来の頬を打ちつけた。

乾いた快音が響き、にやりと笑ってその手を振ってみせる。


「胸触ったでしょ」


「・・・・・・・・あれは仕方なかった・・・・」


「うっさいうっさい!そもそもあんた女の子の扱い方がなってないのよ」


「・・・・・・・・・」


「黙るな!」


「す、すまない・・・」


夜の街に二人の姿が溶けて行く。

無数に降り注ぐ人口の星明りの中、少女の笑い声と青年のため息が響いていた。


それが二人の始まり。これから始まる様々な道程の起点。



パソコンの修理やらでえらい間隔あいてしまいましたが更新再開です。

様々なデータが吹っ飛びものすごくショックですががんばりますのでこれからもお付き合いください。

かしこ。


以下おまけです。




はじめましてこんにちは。メイドのフランベルジュです。

今日は特に意味もなくひびきの行動を観察したいと思います。

決して更新の時間がないからとか続きを書くのに詰まったからではありません。

そこを重々ご承知いただけますようお願い申し上げます。



おまけ


響観察日記




PM 2:00 起床



「ふわあ〜〜〜う・・・・よく寝たぁ」


さて、既に最初からおかしいところですがマスターの起床です。

昨晩の宿は都内某所の人気のない公園のベンチでした。

ゆえに起床もベンチです。わたくしは先に隣で目を覚まし主に挨拶します。


「うーん、寝すぎちゃった」


頭をぽりぽり掻きながらマスターの起床です。

目を覚ますとマスターはそのまましばらくぼんやりします。

しばらく、つまり二十分〜四十分くらいはぼんやりします。

眠そうに目をしぱしぱさせながら空を見上げます。


「やきとおもろこし・・・」


時々何かいけないものが見えます。

眠そうにふらふらしている主の手を引き公園を出ることで一日が開始されます。




PM 3:00 入浴



二人で一緒に銭湯に入ります。

今回は銭湯があったのでよい方で、場合によっては何日も湯浴みが出来ないこともありました。

そうなるとちょっと女の子、いえ、主人公としてどうなのかという状況が出来上がります。

ほうっておくと響はお風呂に入ることすらしないほどの適当さんなので強引に入れます。

大抵湯船につけておくと転寝を始めるのでおぼれて死んでしまわないように見張ります。


「ふやけるわ〜」


お風呂に入れば目が覚めるかと思いきやいまだに寝ぼけ気味です。

こういう場合、強引な手に出ましょう。

頬をひっぱたいてバスタオルで首を絞めます。


「みゃーーー!」


鳴いたらギブアップの証です。

命がけで眠ろうとするほど主は無謀ではないのでここでようやく本格的に起床します。


「コーヒー牛乳飲みたいなあ・・・・・?」


雨にぬれた子犬のような目で見つめてきます。

わたくしたちの金銭状況は常に火の車です。響にそれを任せていたら大変なことになるので何をするにもまず彼女はわたくしの許可を求めます。

もちろん無駄遣いは出来ません。飲み物など公園の水道水でも飲めばよいのです。


「どうしてもだめ・・・・?」


だめなものはだめです。甘やかすと付け上がるので首を絞めましょう。


「みゃーーーーー!!!」


鳴いたらギブアップの証です。

落ち込みながら長い髪を乾かす主を手伝います。

首からタオルをかけたまま一緒に銭湯を出ます。

このときタオルセットをどこに格納しているのかはご想像にお任せいたします。



PM 4:00~5:00 吟示探索



大体このあたりの時間は学校帰りの学生たちが多くなる時間帯です。

吟示は十代の若者に多く覚醒します。マスターも町を歩き回りそれを探します。


「ドーナッツ・・・・」


どんだけ食い意地が張ってるんでしょうかウチの主は。

全く持ってけしからんので頭をぐりぐりします。


「ナーーーーッ!」


鳴いたらギブアップの証です。

しかしそうそう吟示がうろうろしているわけではありません。

場合によってはとても暇な事もあります。

マスターはどこでも寝ることが出来る特技の持ち主です。五分目を逸らせば寝ています。

たたき起こしましょう。


「おなかすいたよ・・・・フランベルジュ」


また捨てられた子猫のような目で見てきます。

この懇願の目だけは日々上達していると考えて問題ないでしょう。

仕方がないのでドーナッツが買えるだけの金額をわたします。

喜んで買いにいくので見守りましょう。

そろそろ通りに人が多くなってくるので視線がわたくしに集中しはじめますが気にしません。

やがて主が帰ってきます。


「もぐもぐ・・・・おいしいー!」


頭の悪そうな顔で頬を緩ませます。

半分に割ったドーナッツをわたくしに突き出します。


「はい、フランさんもどうぞ」


本来わたくしは何も食べなくても特に問題がありません。

しかしこの主は自分だけ食べるということをしない人間です。

断ったところでまたあの目をされるだけなので受け取ります。

なんだかんだで微笑みながらドーナッツを食べる妹・・・いえ、主の姿は可愛いです。

こうして町を歩き回り、大抵時間が過ぎていきます。



PM 6:00~9:00 吟示探索〜シュズヴェリイ襲来〜



しばらくふらついているとシュズヴェリイがやってきます。

小さいくせに偉そうな小娘ですがおおらかに対処しましょう。

主は仕事をさぼっているとしかられています。

サボっているのは事実なのでなんともいえないところです。

何かと突っかかってくる小娘ですがわたくしとはいまいちそりがあいません。

シュズヴェリイと一緒に吟時を探すことになったようです。

しかし主がしばらくふらふらしているうちにシュズヴェリイが仕事を終えてしまったようです。

また怒られています。一人で済むのなら最初から一人でやればいいものを。

へこんだ主が戻ってくるので適当に相槌を打って慰めます。


「おなかすいたなあ・・・・」


なみだ目になりながらおなかの虫をならしてきます。

いよいよはらぺこで死んでしまうようなのでガード下のラーメン屋台に向かいます。

食べているときが最も幸せそうな主です。ほっぺが落ちそうなほど満面の笑顔。

そして半分食べるとわたくしにどんぶりを突き出します。

一緒に飲むスープはどこか格別です。一日一食。それが彼女の食生活。



PM 10:00~12:00 警察襲来



しばらく夜中の町を歩き回っていると警官に職務質問されることが多々あります。

格好が格好な上にもちろん堅気でもないので当然です。


「え、ええと、学生で・・・・」


主はウソをつくのが猛烈にへたくそです。ビック○イトの帰りです、のほうがまだ信憑性があります。

常時コスプレ状態のわたくしたちを呼び止める警官はいつもどこか気まずそうです。

時々セクハラな警官もいますが心理領域に引きずり込んで精神的にクラッシュします。

一週間前後で回復するので心配は無用です。

みんなのためにがんばっているのにと落ち込む主。

肩を叩き、その頭を抱き寄せてあげるとなみだ目になりながらすがりついてきます。

なんともみっともない姿なので足を踏みつけましょう。


「ナーーーッ!!」


鳴いたらギブアップの合図です。

それにしてもいちいち可愛いやつです。今ちょっと鼻血が出そうになりました。

しかし表面上はクールに。それこそメイドの本分です。



PM 13:00~14:00 寝床探し



基本的にわたくしたちは宿無しです。

しかしいちいち宿泊施設を利用すると金銭的に厳しいので大概は野宿です。

人気もなくなる深夜・・・もっともこの大都会では人気がなくなる時間などありませんが・・・になると、主は寝床を探して鉄橋の下や公園などをうろうろし始めます。

しかしときには先客の方々が住み着いていらしたりするので要注意です。

時々テリトリーを侵し、追い回されてしまうこともあるのです。

今日はどうやらそのケースに該当したようです。ボロ布を纏った老人に主が追われています。


「はあはあ・・・・おじいさん怖い・・・・」


こういったケースになるとこのままでは眠りにつけないまま一日が終わってしまいます。

それはなんとか避けたいところです。仕方がないので主は心理領域を発動します。

この間、主とわたくしの存在は外部の人間には認識できなくなります。

身体能力も上がるので高層ビルを駆け上がります。

今日は天気もよいので誰も来ないであろうビルの屋上で眠ることにしたようです。

ロングコートを抱きしめるようにして主はフェンスを背に眠ります。

寝付くのは以上に早い主です。のび○君と拮抗できるスピードだと言えるでしょう。


「むにゃむにゃ・・・・・」


主が寝付いてもわたくしは眠らないこともあります。

いろいろと考えたいお年頃だとお察しください。

いもう・・・主の寝顔を眺めていると一日の疲れも吹き飛んでいくようです。

しかしこの寒空の下、平然と野外で眠りにつける主のサバイバル精神には感服するばかりです。


「ジャスティス・・・・さん・・・・・」


主はよく寝言を呟きます。

眠りが浅い、ということなのでしょう。尤もこれから十二時間は眠りにつくので問題ありませんが。

丸くなって眠っている主の髪を撫でて隣に腰掛けます。

腕を肩に回し、寄り添うことで主が寒空の下少しでも暖かく眠れるようにするのも大事なメイドの務めです。

やがてまた訪れるであろう朝まで、わたくしの一日の楽しみが始まります。


出来る事ならば、僅かでも彼女の傍で・・・・。





追記。




わたくし、体温は結構低いほうなので、どちらかというとこちらがあったかいです。


「フランベルジュ・・・・なんか風邪引いたかも・・・」


「左様ですか」



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