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死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
70/167

俺の許嫁(モンスター)は手に負えない

読んでくれると嬉しいです

 部屋に戻ると、ケータイにメールが来ていることに気がつき急いで内容を確認した。


「げっ……」


 メールしてきたのは綺羅だった。

 しかも、メール内容は綺羅の言葉だけではない。ほかの三人も入っていた。

 しかし、この内容は何だ? 街に怪物がいる? え? 俺のこと?

 だが、俺はあいつらに会っていない。つまり、俺ではない。


「俺以外に怪物って……雷電?」


 雷電はドラゴンだ。怪物といっていいだろう。だが、あいつが街をうろつくとは思えない。

 じゃあ、何だ? う~ん。これって、もしかして面倒事?

 え~。じゃあ、引き受けたくないなぁ。

 そんなことをしていると、ケータイに着信が入った。


「……なんだよ、綺羅」

『メール見た!? 街がすごいことになってるんだけど!』

「あ~、うん。そうなんだー」

『棒読みはいいから! このままだと死んじゃうよ! 早く助けに来てよ!』

「……いやいや、お前らがそう簡単に死ぬわけないだろ? ほら、荒っぽいけどクロエとか真理亜とかいるわけだし? あいつらに勝てない奴はいないって」

『だから! その二人が押されてるの!!』


 なんと。あのふたりが? 能力的に俺より数段上のあのふたりが? それはもう、俺の領分じゃないな。うん。


「すまん。それは俺が倒せる相手じゃないわ。じゃ」

『あ、ちょっと待って! 暴れてるのは、春――』


 途中で電話を切って、ケータイを放り投げる。

 そして、俺はベッドに寝転がり、一息入れて、


「さて、どうする御門恭介。相手の強さも分かっていない。敵がどんなやつなのかもわからない。わかっているのは、クロエや真理亜より強いやつで、しかもあいつらがピンチに陥っているってことだけだ」


 目を瞑り、ニヤッと笑う。

 ああ、いいぜ。そういうの。そういう奴がいるなら、諦めもつくだろう。

 あいつらを見捨てるだけの諦めが……。


「でも、それを了承できないのが俺だ。じゃあどうする? こうするだろ?」


 立ち上がり、ため息混じりに首を振りながら部屋のドアノブに手をかける。

 そして、


「タナトス」

「何かなぁ~?」

「綺羅たちは、どこにいる?」

「商店街だよ」

「……そうか」


 全力で走り出す。

 あいつらを見捨てられるほど、俺は馬鹿じゃない。

 あいつらを諦めるなんて、怪物の俺には出来はしない。

 ならどうする。意地でも助け出す。たとえ、自分を犠牲にしたとしても。


「とは言ったけど……これは、本物の怪物の仕業だろ……」


 目的地、商店街はすでに商店街みたいなものに変わっていた。

 アスファルトには亀裂が生じ、建物はところどころ崩れている。

 何? 台風でも来たんですか? 

 そう言いたくなるほどに、荒れているのだ。


「……えっと、今更だけど、帰っていいかな?」


 俺は誰にともなくそう言って、振り返ろうとすると、


「恭ちゃん!」


 おっと、見つかった。

 

「……人違いじゃ――ああ、ごめん! 謝るから包丁下げて――!!」


 包丁を向けてニコニコと笑っている綺羅は、大変恐怖でございました。


「んで、みんなは?」

「いるよ。なんとかここまで逃げてきたんだけど……」

「そうだ。お前、敵を見たんだろ? どういうやつだった?」

「どういうって……聞いてなかったの? 今暴れてるのは春ちゃん、野々宮春だよ」


 ……ワッツ? それって……どゆこと?

 首をかしげている俺に、現実は襲ってくる。

 目の前に、尻尾を生やした露出度の高い服のまま荒廃した街を歩く春がいた。

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