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死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
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すれ違いはほどほどに……

読んでくれると嬉しいです

 如何わしい手紙に書いてあった通り公園に向かうと、そこには俺が探していた少女、春がブランコに座っていた。


「ここにいたのか」

「……恭介くん。どうしてわかったの?」

「手紙に書いてあった……いや、何でもない」

「? ……でも、不思議だね。流星さん、お義父さんにあった時もこんなところだったんだよ?」


 そう言って、春はブランコの椅子を撫でる。

 そして、俺に向き直り、微笑む。


「許嫁でも、フラれることあるんだね」

「いや、フるとかそんなことはしてないんだけど。いや、そもそもの話――」

「私のこと、好きじゃない?」

「そ、そういうわけじゃないけど……」


 駄目だ。女の子相手だとなぜか優勢が取れない。一歩引いてしまう。

 これが男の性というべきか、俺は言い切れぬ意見に歯を食い縛る。

 そうじゃない。そうじゃないよな、俺。今、俺がここに来た理由はそんなんじゃない。

 言いたいことはある。でも、それを言っていいほどの仲なのか? それが心に不安とかその他を持たせ、足踏みを強制する。


「いいんだよ。わかってたもん。私は不幸。だから、きっとこうなるってわかってた」

「いや、だから――」

「恭介くんは、それできっといいと思うよ」


 一方的に言われ、俺は言い返せない。

 何も悪いことはしていない。なのに、なぜか心が、鼓動が激しく、熱くなる。


「ごめんね。私、馬鹿だから。こういうのに慣れてなくて、取られるってことに慣れてなくて……好きな人を取られるのに、慣れてないから……」

「……」

「あーあ。私は、どうしてこうも不幸なんだろうね。好きなった人とでさえ一緒になれないなんて、不幸すぎるよ」


 春はそう言って、こちらに顔も見せない。

 だが、俺は振り返る一瞬、見てしまった。春の目に涙があったことを。彼女の心が泣き叫んでいるということを。

 それを、どうして無視できようか。いやできない。不器用な俺に、そんな器用なことはできない。

 だから、俺は必死に手を伸ばす。伸ばせばそこにいるのだから、届くのだから。

 しかし、


「触らないで」

「……っ」

「もう少しだけ、一人でいさせて」


 その言葉が、完全な拒絶だと理解してしまった。

 引くべきではない。わかっている。それができれば、彼女いない歴=年齢にはなっていない。

 俺は振り返り、その場を立ち去った。

 心では、何をしているんだと、何回も叫びながら……。

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