すれ違いはほどほどに……
読んでくれると嬉しいです
如何わしい手紙に書いてあった通り公園に向かうと、そこには俺が探していた少女、春がブランコに座っていた。
「ここにいたのか」
「……恭介くん。どうしてわかったの?」
「手紙に書いてあった……いや、何でもない」
「? ……でも、不思議だね。流星さん、お義父さんにあった時もこんなところだったんだよ?」
そう言って、春はブランコの椅子を撫でる。
そして、俺に向き直り、微笑む。
「許嫁でも、フラれることあるんだね」
「いや、フるとかそんなことはしてないんだけど。いや、そもそもの話――」
「私のこと、好きじゃない?」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
駄目だ。女の子相手だとなぜか優勢が取れない。一歩引いてしまう。
これが男の性というべきか、俺は言い切れぬ意見に歯を食い縛る。
そうじゃない。そうじゃないよな、俺。今、俺がここに来た理由はそんなんじゃない。
言いたいことはある。でも、それを言っていいほどの仲なのか? それが心に不安とかその他を持たせ、足踏みを強制する。
「いいんだよ。わかってたもん。私は不幸。だから、きっとこうなるってわかってた」
「いや、だから――」
「恭介くんは、それできっといいと思うよ」
一方的に言われ、俺は言い返せない。
何も悪いことはしていない。なのに、なぜか心が、鼓動が激しく、熱くなる。
「ごめんね。私、馬鹿だから。こういうのに慣れてなくて、取られるってことに慣れてなくて……好きな人を取られるのに、慣れてないから……」
「……」
「あーあ。私は、どうしてこうも不幸なんだろうね。好きなった人とでさえ一緒になれないなんて、不幸すぎるよ」
春はそう言って、こちらに顔も見せない。
だが、俺は振り返る一瞬、見てしまった。春の目に涙があったことを。彼女の心が泣き叫んでいるということを。
それを、どうして無視できようか。いやできない。不器用な俺に、そんな器用なことはできない。
だから、俺は必死に手を伸ばす。伸ばせばそこにいるのだから、届くのだから。
しかし、
「触らないで」
「……っ」
「もう少しだけ、一人でいさせて」
その言葉が、完全な拒絶だと理解してしまった。
引くべきではない。わかっている。それができれば、彼女いない歴=年齢にはなっていない。
俺は振り返り、その場を立ち去った。
心では、何をしているんだと、何回も叫びながら……。