表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
66/167

個人のすれ違い

読んでくれると嬉しいです

 ベタベタと俺の腕にまとわりつく様に抱きついてくる駄天使に呆れながら、家のドアを潜る。

 すると、待ってましたと言わんばかりに家族が全員集合して、表情が固まる。

 ああ、うん。これは考えてなかったわ。


「恭ちゃん……誰、そいつ」

「先輩……」

「恭介、言い訳を聞いてあげるから死ぬ?」

「また、女の人が増えましたね」


 四人の、いや、四匹の悪魔がニコリと笑いながら、俺に問いかける。

 デッドオアアライブ。どちらをとってもこのあといいことは起こりそうもない。

 なら、どうするか。こうするのだ。


「こ、これには深い事情があってだな! 詳しくはこの女に聞いてくれ!」


 何度も刺され、蹴られ、金的をされてきた俺は学んだ。

 こういう場合、他人に押し付けるのがベストだと。

 だがしかし、


「「「「それが通ったら、警察はいらないんだよね」」」」


 うん。流石にこれはどうにもできないでしょ。

 俺は深く肩を落とし、自分自身に落胆する。

 おい。御門恭介よ。お前さ、どうしたらこんなことできるわけ? 馬鹿なの? ああううん。やめよう。時間の無駄だ。


「さあ、奥の部屋でじっくりざっくりまるっと全て教えてもらおうかな」

「ごめん。奥の部屋って、リビングだよね? その奥は何もない気が――」

「反論、ダメですよ。恭介様」

「はい……」


 幼女に叱られる俺って一体……。

 だが大丈夫だ! まだ焦る時間じゃない! まだ、行ける!!


「しかしだな。帰ってきてそうそうだし、ほら汗臭いから風呂とか――」

「「「「むしろそのほうが好都合!」」」」

「駄目だこいつら、早く何とかしないと……」


 俺の渾身の逃げの体制も無残に壊され、尚且つおかしかった奴らがもっとおかしくなった瞬間を垣間見てしまったことによる気落ちが激しい。

 何? 俺の人生どこで間違ったの? 最初から? アッハー、そりゃどうしようもないわー。

 泣く泣く引っ張られ、リビングの奥、トイレに五人でギュウギュウ詰めになる。

 ああ、ホントモテるって辛いよね! うん。この体制も辛いけど!


「あ、あの皆様。私の夫に何をしているんですか?」


 駄天使が口走った。口走ってしまった。禁句を、禁忌を、禁則事項を!!

 表情が固まり、ギギギと音が鳴りそうなくらいの動き方で四人の首が駄天使に向く。

 そして、なぜか俺の方に戻ってくる。

 やだ、何このホラゲー。リアルホラゲーとか誰得だよ。


「「「「さあ、お仕置きを始めようか」」」」

「待って! 何かおかしい! 俺の弁論は!? 俺の言い訳は――!?」

「「「「デッドオアデッド?」」」」

「どっちも死じゃねぇか……」


 諦め切った俺は、されるがままトイレの中でやられ放題だった。

 ああ、この生活もういや。

 そんな中、家のドアが閉められる音が聞こえた。


「あ、あの、先ほど私を見て女の人が外に飛び出していったのですが……」


 トイレのドアの向こうから駄天使の声が聞こえ、俺はかろうじて声を上げた。


「だ、誰だった?」

「名前は存じ上げませんが、可愛らしい女の子でしたよ?」

「……もしかして黒髪だった?」

「ええ」

「Oh.....それ、まずいわ」


 俺がまずいというと、なぜか綺羅たちが俺を解放してくれた。

 理由は知らないが、目が行けと言っている。

 俺は言われていないことに頷き、走る。


「恭介さん!?」


 俺の名を叫ぶ駄天使の方にガシッと手が置かれる。

 その後ろにはニコニコと目が笑っていない笑顔で佇む四匹の悪魔たち。

 駄天使はそれを見て、ガクガクと膝を震わせていた。駄天使を怖がらせる人間ってなんだよ。人間かよ……。

 家を出る瞬間、俺はそんなことを考えていた。


「おっと……なんだこれ?」


 家を出ると、カラスが飛び上がり黒い羽と一緒に一通の封筒が置いてあった。

 また手紙かよ。さっきの手紙せいで手紙には嫌な思いでしかないんだけど、まあ、開けてみるか。

 封筒を開け、中に入っている手紙を取り読む、そこには……


『残念ハズレ』


 ……舐め腐ってるだろ、これ。

 俺はその手紙を破り捨て、目的地に行こうとすると、封筒の中にもう一通入っていることに気がつき、そちらを取り出す。


『目的の者、公園に居たり』


 どうやらこっちが本物か? でも、目的の者って……まさか。

 俺は手紙を握りつぶし、走った。

 ここから近い公園は……あそこか!

 俺は春がいると思われる場所の公園に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ