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死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
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駄天使美少女は婚活に走る

読んでくれると嬉しいです

 俺は春と別々に帰り、その帰り道、おかしいやつに出会った。


「……」


 背中には黒い翼。確か、ずっと前に出会って、追いかけられ、ひどい目にあった時の張本人だったように思える。

 いや、間違いない。あいつだ。俺の子種がどうのこうの言ってたやつだ。

 俺は気がつかなかったかのように忍び足かつ、素早い足取りでそいつの横を通り過ぎようとすると、


「おや! これは、この間の!!」

「……」

「ふっふっふっふ。無視してもダメですよ~? 私にはわかってるんです」

「……」

「じゃあ、早速子種をいただきに――」

「チクショウ! お前一体何なんだよ!!」


 服を掴まれ、逃げることができなくなった俺は大声で叫んだ。

 何? どういうこと? 何が起こっているんです? 


「ぐへへへ、ちょっと気持ちいいだけですよ~」

「嫌だよ! しかもちょっとかよ!」

「へ? じゃ、じゃあ、かなりでもいいですか!? マジですか。じゃあ、行っきますよ~?」

「来るなよ! いや、むしろ行くなよ! 待て待て待て! こんな公衆の面前で下を脱ごうとするな!!!!」


 ただでさえ露出度が高い服着ているのに、それを脱ごうとしているおかしなやつに、俺はダメ元で叫ぶ。

 だが、やはり……


「おや? そういえば、この匂い。どこかで……そうです。これはタナトスの――」

「あ、呼んだ? ……あれ? もしかしてお邪魔だった?」

「た、タナトス!? いいところに来た! こいつをどうにかしてくれ!」

「嫌だ」

「即答かよ!!」


 突如現れたタナトス。それを見て、懐かしいと言いたそうなおかしな奴。それに公衆の面前で跨がれている俺というなんとも泣きたい情景が出来上がった。

 しかし、タナトスの登場でおかしい奴は明らかに行動を否めた。


「ああ、タナトスではありませんか」

「んん~。僕は君と話したことはない気がするんだけど、記憶違いかな?」

「いえいえ、私たちは今日初会いましたよ。まあ、タナトスというと我々の業界では有名ですし。知っていても不思議じゃないでしょう?」

「そっか~。君、もしかして魂運び? それじゃあ知っていてもおかしくはないねぇ」


 と、なんだか襲われている俺を置いて話が進んでいる模様。

 まあ、俺はそれに紛れて脱出してはいたのだが、何せんいい気がしない。

 それを察したのか、タナトスはニヤニヤと笑いながら紹介してきた。


「こちら、魂運びを生業とする堕天使さんだよ。名前は……」

「私はアル・グリード・ブルームです」

「アル・グリード・ブルームか、ちょっと長――」


 俺は、今言ったことを後悔した。

 なぜなら、本名を言ったことにより、絶対服従の言霊が発動し、目の前の堕天使を縛り上げたからだ。

 一応言っておく、俺はこいつを仲間にしようとは一切思ってない。一切だ。


「これはこれは。縛りプレイがお好きで?」

「待て。どうしてそうなった?」

「それを解きたかったら頷くといいよ。そうすると、面白いことが起こる」

「おい、タナトス――」


 余計なことを言うな、と言おうとしたが遅い。

 堕天使は頷き、鎖は契られ、契約が完了する。

 ああ、俺の人生に福あれ。もう無理だけどな。


「なんでしょう。別に外傷はありませんね。これは何なのですか?」

「それは絶対服従の言霊っていってね。この御門恭介に本名を呼ばれて頷くと強制的に彼の奴隷になるんだよ」

「奴隷……ぐへへ……おっと、本音が。って、え? 御門恭介?」


 やばっ。確かこいつ、俺のことを探してこの街に来てたんだっけ。しかも、目の前にいるのが御門恭介だということすら知らなかったんだっけ。

 ああ、これはあれだ。タナトスの野郎全て知っていてやりやがった。

 俺はタナトスに文句の一つでも言ってやろうとすると、そこには虚空が広がっていた。

 あいつ……逃げやがった!!


「あ、あなた様が御門恭介でありましたか……そ、その失礼をしてすみませんでした」


 そう言って、堕天使、もはや駄天使が申し訳なさそうに頭を下げる。

 え? ええ!? 何!? どういうこと!?

 ワケのわからないという顔でいると、駄天使は頭を上げ手紙らしきものを渡してきた。


「こ、これは?」

「冥界の神からの手紙です。そ、それと……」


 手紙を開けると、もう一枚紙が入っていた。

 そして、同封されていた紙にはこう書かれていた。『婚姻届』と――。


「冥界の神からの言伝ですか……その、わ、私と結婚しろと、いうことです」

「おっおう。なぜにそうなった……」


 さっきまでいやらしい顔をしていた駄天使はどこにもおらず、可愛らしい、もしくは美しい美女がそこにはいた。

 待って待って待ってくれ! 何? 許嫁の次は婚約者? 馬鹿にしてんの? 

 駄天使は八枚の羽をシュンとたたみ、俺の答えを待っているようだった。


「あ、えっと……」


 どう収拾つけんだよ、これぇ……。

 どうやら、春からの不幸は死ではなく、こう言った面倒事を運ぶようになってしまったらしい……。

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