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死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
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偽りの平穏は生暖かい

読んでくれると嬉しいです

 俺はいつものように学校に登校していた。

 ただ、一つだけ違うのは、朝親父が言った一言、


「おう、恭介。今日楽しいことが起こるぞ?」


 というものによる不安だ。

 親の言葉に不安を覚えるなど普通ありえないことだろうが、俺の親だ。絶対に何かくだらない事を考えているに違いない。

 そして、それは的中したことになる。


「あ、あの……わ、私、今日からこのクラスになりました、野々宮春って言います」


 おいおい。マジかよ……。

 俺は驚き、同時に呆れてモノも言えない。

 何? 許嫁は同じ学校っていうオチですか? いつの時代ですか? ええ、そうですとも。俺の親父がそんじゃそこらのくだらないことで納得するとは思ってませんでしたよ。

 でもね!? 限度ってものがあるでしょう!? きっと、転校させるのだって結構な手間が掛かったはずだ。それを通して、こんな面倒くさいことをやる親などいるだろうか。いやいない!


「席は……御門のとなりでいいか?」

「あ、はい」

「え? ホントにいいの?」

「おいゴラ。自分で言っておいて聞き返すなよ」

「だって、あの御門だぞ? ほら、中二病とか中二病とか、あと中二病とか患ってる御門だぞ? 転校そうそうだが、お前頭大丈夫か?」

「転校生でそれを知っている人はいないだろ!?」

「え?」

「え、じゃねぇよ! いねぇんだよ!」


 俺は馬鹿な教師の相手に疲れ、机に突っ伏す。

 すると、言われた通りに春が俺の隣に来て、ニコッと笑って、


「よ、よろしくね」

「……お、おう」


 不覚にも赤くなったのは内緒だ。

 いやね? こんな可愛い子によろしくねって言われたら赤くなるでしょ? どこぞのイケメンはそうでもないらしいけど、彼女いない歴=年齢の青少年はきっとそうなんだよ!

 その後、つまらない話を聞き流し、俺は授業まで何もせずに過ごした。

 過ごそうと、したんだよなぁ。


「ねえ、恭介くん」

「何?」

「学校の事、よくわからないんだけど……案内とか、してくれないかなぁって、思って……ダメ?」

「いいけど、放課後な? 今したら、流石にダメだろ?」

「う、うん。わかってるよ。じゃあ、放課後ね」


 さすが許嫁というべきか。こう言い寄られると意識してしまう。

 そう、今隣にいる美少女が俺の許嫁。それだけで飛び跳ねるくらいの嬉しさなのに、こう、ね? 可愛すぎんだろ、チクショウ!

 そういったイベントを交えて、俺は半日ウキウキとした気分で、授業を寝ていた。


「なあ、どうしてこうなった?」


 ウキウキしながら寝ていたら、昼休み。つまり昼ご飯。俺は一気にテンションを下げられた。

 隣には綺羅と、真理亜。両足にはクロエと薙。前には笑顔の春がいた。

 場所は教室。他者の痛い痛い視線を浴びせられつつ、俺は疑問を放つ。

 しかし、


「はい、先輩。お昼ですよ」

「はい、恭ちゃん」

「恭介、お昼!」

「恭介様、お茶はいかがですか?」

「みんなで食べるのって楽しいね」


 俺の言葉誰ひとり気にせず、無視される。

 なので、


「真理亜。お前はそもそも教室棟が違うだろ? 中等部がここにいていいのかよ?」

「はい? いいんじゃないですか? 皆さん、反論はなさそうですよ?」

「くっ……クロエ、薙。お前らどうしてここにいるんだ? 家で親父と一緒にいろって言ったよな?」

「だって、つまんないだもん」

「流星さんが学校に行けと言うので、ついでに手続きは済ませておいたとも言われましたので、来てみました」

「あんの、バカ親父。どうしてこう、面倒事を次から次へと……」


 俺は握り拳を作り、そして解いた。

 怒ったところで何も起きない。それに、これはお昼だ。だから、家族が揃った。そう考えれば少しは……うん。ダメ。周りの視線がマジ痛いっす。


「と、とにかくさ。一回離れよ? 息苦し――」

「早くごーはーん!」

「ちょ、クロエさん? 食べさせてもらう気マンマンですか!? 薙も、そんな物欲しそうな目で見ないでくれるかな!? お兄さん困っちまいますよ!?」


 箸を持たされ、口を開けてスタンバッているクロエ。狙いはどうやら綺羅の唐揚げらしい。

 というか、なんで俺はクロエの好物を把握して――ああ違う違う! なんで俺はこんな状況に適応してんですか!?

 そんな、仲睦まじく昼食をしていると、


「「「「「「「御門恭介。今日の放課後、体育館裏な」」」」」」」

「いや、男子の告白はちょっと……」

「「「「「じゃあ、女子ならオッケー?」」」」」

「マジ勘弁」


 お怒りの男子諸君と笑顔で箸を折りかけている女子たち。

 うん。いつから俺とこの人たちとの間にこんな関係が生まれたんだろう。

 ちなみに、フレイはまだ学校に来てはいない。あいつはあいつで、楽しく神様と戦っていることだろう。

 

「あーん♪ ん~、おいし~」

「そうですか……そろそろ一人で食べようね?」


 俺は泣く泣くクロエにご飯を食べさせてやり、周りの視線に耐えながら、素晴らしく辛いハーレム生活を謳歌していた。いや、謳歌はしてないか? まあ、いいか。

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