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死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
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俺に可愛い許嫁ができました

読んでくれると嬉しいです

 物静かなリビング。それもその筈、いつもいない親父がリビングで真剣な表情で顔の前で手を組んでいるのだから。その姿、まさしく碇ゲン●ウだ。

 そして、重い口が開かれる。


「恭介」

「な、なんだよ……?」

「お前……いつの間にハーレムなんぞ作っていたんだ?」

「……は?」


 姿、シチュエーション、空気、その全てをぶち壊す言葉に俺は危なく椅子から転げ落ちるところだった。

 だって、と親父が言葉を続ける。


「おま! 綺羅ちゃんは仕方ないとして、なんだよそのかっわいい子は!! しかも、気が付けば子供もちらほら!! お前、死に晒せ!!」

「何か勘違いしてません!? 別に一緒に住んでるだけでそういう関係じゃ――」

「住んでる!? 死んでるの間違いじゃ――」

「誰が!?」


 我ながら、なぜこんな親父のところに生まれたのか不思議なくらいだ。

 しかしだ。皆驚くな? 俺の親父、御門流星はこう見えてSPだ。

 SPとは、総理大臣とかその他諸々を文字通り命懸けで守る仕事だ。

 つまり、何が言いたいかというとだ。俺の親父はチョー強い。


「ふむ……ふむ。まあ、大人の話をしよう」

「その長い間はなんだ?」

「そのだな……ひとりでいい、女の子を俺にくれ――ああ、待て! ケータイ美緒ちゃん呼ばないで!! ドントタッチ、テレホン! ホントに、真面目な話するから!!」


 俺は取り出す寸前だったケータイをしまい、ため息混じりの姿勢で話を聞く態勢に入った。

 ちなみに、美緒ちゃんとは俺の母さんである。

 元軍の医療担当で、常に研究室に引きこもってモルモットにワケのわからない薬を投与しているどうしようもない母親だ。


「さて、だ。実はな。今日俺が帰ってきたのはほかでもない。恭介、お前に用があるからだ」

「何? 改まって。とうとう頭までどうにかなった?」

「ふふふ。驚くなよ? 実はな! お前に可愛い許嫁をもらってきた!!」


 ……は? え? 何言ってんのこのバカ親父。

 俺は親父の言ったことが分からず、表情を固める。

 許嫁。うん。結婚相手ということか。そうかそうか……。


「……はぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?」


 一拍遅れて俺の咆哮が家を震わせる。

 何? 何言ってんの? 許嫁? いやいやいや、今時そんな事を認めるところなんて……


――ピーンポーン


 その、透き通るようなインターホンに全員の視線が玄関に向かう。

 まさか。まさかまさかまさか!


「は、はーい」


 震える手で玄関を開けると、そこには茶髪のセミショートの髪を靡かせて、身なりを整えている可愛らしい女の子が一人。

 その少女は、俺の顔を見ると、すぐに微笑み、


「あ、あの、ここは御門流星さんのお宅ですか?」


 それを聞いて、俺は静かにドアを閉める。

 そして、


「親父ぃぃぃぃぃいいいいいい!!!! マジでグッジョブ!!」


 素晴らしいまでの大ジャンプをしてから、ドアを再び開ける。


「さあ、お嬢さん。こちらへ」

「え? あ、はい」

「長旅で疲れたでしょう? ささ、中に」

「わ、分かりました。えっと、御門恭介くん、だよね?」

「もちろんですとも! ようこそ、御門家へ!」

「あ、わ、私、野々宮春ののみや はるって言います。その……恭介くんの許嫁、です」

「ああ、こちらこそよろ――」


 笑顔で返事をしようとする俺に、無慈悲な斬撃打撃金的が襲いかかる。

 一瞬にして無効力かされた俺はせっかく可愛い女の子が目の前にいるのに、何故か床を見なくてはいけない状況になってしまった。


「私は、仲根綺羅って言うの。恭ちゃんの『幼馴染』だから。よろしくね?」

「私は神崎真理亜です。先輩には『よく世話』になってまして。よろしくお願いしますね?」

「アタシ、クロエ。恭介の『契約者』だから。よろしく」

「え? あ、はい。よろしくお願いします」


 綺羅、真理亜、クロエはそれぞれ重要単語にのみ強調をつけて、まるで威嚇するように挨拶する。

 それを春は笑顔で答え、にっこり笑顔が眩しいのか、三人とも顔をしかめていた。


「おーおー、恭介。修羅場だねぇ」

「恭介様、大丈夫ですか?」

「お前だけだよ、俺を慰めてくれるのは」


 俺はというと下の息子を抱えながら未だに悶えていた。

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