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死後も現世でゾンビやってます  ―三種の神器をもらってハイスペックゾンビな俺―  作者: 七詩のなめ
ハーレムって嬉しいものじゃないの? めっちゃ悲しいよ?編
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平穏じゃない平穏とは何か……?

読んでくれると嬉しいです

 俺は、今世紀誰もが体験しないだろう経験をして、息を上げながら帰り道を帰っていた。

 その経験とは、幼女二人を膝に乗せ、授業を受けるというものだった。

 なぜ、そんなことになったか? あの馬鹿なババァに聞いてくれ。なんでも、神崎の婆さんに一緒に授業を受けてくればいいとか言われて俺の教室に来たらしいのだが。

 俺の担任は変態――大の幼女好きで、なんでも目の保養――安全を考えた上で俺と一緒に授業を受けることを許可しやがったのだ。

 つまり、俺は幼女二人を抱えたまま、寝ることも許されずに授業を三時間もさせられたというわけだ。

 そのほかにも、周りの視線がな? ……まあ、そのことは置いておこう。

 まずは、だ。


「なあ、ひとつ聞いていい?」

「何ですか?」

「何?」

「なによ?」

「なんでしょう?」


 俺の声に反応する四人の女の子たち。

 俺はすっと息を吸って、


「幼女組は仕方ないとして、なんで綺羅と真理亜が一緒にいるわけ? 少なくとも真理亜は俺の家による必要性も意味もないよな?」

「なっ……こ、これは! なんというか、その……」

「おいおい。口ごもるなら帰れよな」

「だ、だから! こ、これは……そう、しつけですよ!」

「……は?」


 何をこのバカ巫女は言っているのだ?

 躾? 誰の? え、もしかして俺? 待て待て待て、俺はそんな趣味は――!


「あ、えっと、そ、その……と、とにかく私も行くんですっ!」

「え~」

「な、何ですか、そのいかにも嫌な言い方は!」


 うん。実際嫌なんだもん。確かに真理亜は今世紀最大級の美しさを持った中学生だ。大人になればもっと綺麗になってエロい体にもなるだろう。

 だが! こんな世界遺産級の美少女でも、たった一つ欠点がある! それは何か。すぐに人を刺すというところだ。しかも、俺にのみ過激に反応する! マジであれは痛い!

 ということもあって、俺はため息をついて、


「だって、お前怖いんだもん」


 そう言うと……。

 案の定、斬撃が巻き起こる。


「ウホッ! おま、何してんだよ!」

「ちっ」

「舌打ち!?」


 俺は真理亜の斬撃を避けてはいない。だが、当たってもいないんだ。

 なぜなら、肩車していたクロエがすぐさま魔法障壁らしいものを作って斬撃をカバーしたからだ。

 ホント、魔法ってすごいなぁ。クロエのおっちょこちょいさえなければ。


「なあクロエ?」

「何?」

「障壁を作るところまでは頭がいいと思ったよ。でもな? なんで周りにあったはずの壁がなくなってんだ?」

「……ちょ、ちょっと範囲が大きすぎたかなぁ~?」


 障壁を作った影響なのか、家の壁や木が障壁によって押しつぶされ、または貫かれていたのを見逃せなかった。

 うん。ホント、クロエちゃんはお茶目だなぁ~。


「って、そういう程度じゃない! クロエ! お前のドジっ娘アピールは度合いがおかしいんだよ!」

「だ、だって、こういう細かい制御って苦手なんだもん!」

「だったら、せめて小さく発動しよう!? こう被害が大きいと、お兄ちゃん言い訳ができないんだけど!?」

「お兄ちゃんって……せめて、犬とか言えないわけ?」

「いきなりSかよ!!」

「え? ……だって、男の子ってこういうのが好きだってテレビで――」

「真に受けすぎ! ていうか、そんなテレビ見ちゃダメ!」


 俺の必死な弁解にクロエは何言ってんのこいつみたいな目で見てくる。

 あー。マジで疲れる。まあ、クロエに悪気があるわけじゃないのは知っているんだけど、それにしても度合いがなぁ。

 俺は長らく忘れていた事をいやでも思い出させられる。

 そう、今俺に肩車されている幼女、クロエは世界の始まりを作った神、カオスのパートナーなのだ。

 つまり、何が言いたいかというと、この幼女は非常に危険なのだ。


「ぶー。恭介のバカ」

「なんで俺が馬鹿呼ばわりされてるのか疑問だが、そろそろ降りないか?」

「や!」


 クロエは肩車されたまま、不貞腐れているのか俺の頭に前屈みで顎をおいてくる。

 その様子を見て、綺羅は笑い、真理亜は微笑んでいた。

 薙はというと……何故か羨ましそうな目線をしていた。

 しばらく歩いて、やっとの思いで俺は自宅についた。

 だが、だがしかしだ。家の前に、厳密には玄関の前に変な男がいる。いや、男の大人がいる。

 俺は、そいつを知っている。だが、敢えて無視した。


「さあ、みんな家に入ろう」

「え? でも――」

「何か見えるのか? そりゃあ見間違いってやつだ」

「あ、あれ? そ、そうなんですか?」

「ああ、そうだ。間違いない。真理亜はいつもそう言う奴だった!!」

「な、なんかひどい見解をされている気がするんですかけど……」


 俺は言葉の暴力で押し切り、変な大人を無視して玄関を開けようとすると、


「おう、恭介! ちょうど鍵がなくて家には入れなかったんだ、いいところに来てくれたぞ!」

「……」

「ん? どうした? もしかして、久々過ぎて感動の再会的なシチュエーションもできないのか?」

「……」

「それなら心配するな! 今日は父さんが先導して――」

「ちょっと黙ってくれませんかね、親父殿!?」


 そう、俺の家の玄関の前で変なことをしていたのは俺の親父、御門流星だ。


「え? 先輩のお父様?」

「そう、俺が恭介のお父さん、御門流星だ! よろしくな!」


 ニッと笑った大人らしからぬ顔を見て、俺は深い深いため息を吐いた。

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