見ろ。目の前こそが楽園(エデン)だ
読んでくれると嬉しいです
朝、何かに拘束される感覚に陥り目が覚める。
これは……夢か? じゃなきゃ何かの罰ゲームか?
待ってくれ。この一文を見て、ああこいつダメだとか思ってタブを閉じるのはやめてくれ。
これには深い……深い? まあ、話があるんだ。
「こ、こいつら。いつから俺のベッドに?」
そう。目が覚めると、四人の魅力ある美幼女、美少女が俺に抱きついてきていたのだ。
一人。俺の腕に胸を押し付けてくる真理亜。
一人。俺の顔のすぐ傍で甘い香りを漂わせながら、無自覚の誘惑をしてくる綺羅。
一人。俺の腹の上でヨダレを垂らしながら可愛らしい、幼女らしい寝顔をしているクロエ。
一人。俺の腰辺りに顔をくっつけて俺の名前を呼ぶ草薙の剣、もとい薙。
この四人が、目が覚めると俺を抱き枕のようにしているのだ。こう言った変な行動の一つもしたくなる。
だがしかし、まあ、なんだ。
ここは楽園ですか!? こんなの一般ピープルな俺には刺激が強すぎると思うのですが!?
「せん、ぱい……」
「恭、ちゃぁん」
「恭介ぇ……」
「恭介……様」
「もう勘弁してくれ」
確かに嬉しい! 嬉しいよ!? 嬉しいけどさ! 俺まだ、十八歳未満なわけですよ! このあとの展開はダメな気がするんですよ! 頼むから理性が吹き飛ぶ前に起きてくださいよ、皆さん!?
俺の悲鳴じみた思いをこの四人は汲み取るどころか、弄ぶようにその後も俺の名前を連呼する。
ああ、どうしてこうなった? ああうん。わかってる。俺のせいなんですよね。
――――前日。
「は? 家がない?」
「うん」
「なんで? ……なるほど。俺のせいか」
「まあ、そうなるよね」
「なんだか、嬉しそうなんだけど。気のせいですか、綺羅さん?」
「ううん。全然! 嬉しくないよ!」
「にしては、テンション高いのな」
「てことで、恭ちゃんの家に住まわせて♪」
「ああ、わかった……は?」
「じゃあ、おっじゃましま~す」
「お、ちょ! ああもう!」
ということである。
ちなみに、その後真理亜も馳せ参じ、新たに仲間になった天叢雲劍またの名を草薙の剣。もとい、薙を加えた五人家族となった。
……ねえ? これでよかったの?
考えたら負けだ、負けなんだと言い聞かせてきたが今一度問おう。御門恭介、これで本当に良かったのか? 否! これだからこそ良かったのだ!
あそこで了承していなければ、こうやって美幼女、美少女たちに抱き枕にされることは一生なかっただろう! ゆえに、御門恭介よ。お主はよくやった。
俺は握りこぶしを作って、涙を流しながら自身の行動を高評価する。
ああ、俺は間違ってなかったんだ。可愛いに囲まれる。それすなわちこの世の真理。この世の正義ではないだろうか!
ダメだ。理性が吹き飛ぶとキャラまで吹き飛びそうだ。
「な、なあ皆さん? そろそろ起きて……」
「う~ん。恭介、うるしゃい」
「か、かわいい……だと!?」
クロエの寝言に似た言葉を聞いて俺の中の思考が揺さぶられた。
手は震え、さっきまでの考えは消え失せる。
これは……起こさないが正解か?
などと少し頭がどうかしたかもしれない事を考え始め、俺は自重する。
とにもかくにも、俺は自身の人格を守る為に、
「テメェら、さっさと起きろや!!!!」
自身で楽園を破壊した。
なぜだろう。頬に、熱いものを感じた。