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そして、俺は事件に介入する

読んでくれると嬉しいです

 放課後、俺は神崎を撒き、一人静かに綺羅の家に向かっていた。

 それにしても、神崎のやつ、今日はヤケに俺への監視が酷かったな。ちっとも俺を離そうとしないんだぞ? あり得るか? あいつ、俺のことどんだけ好きすぎなんだよ。惚れちまうぞ、ああ?

 俺は、妙な怒りを覚え、誰もいない道を歩きながら何もないところを睨んでいた。


「先輩。そっちは危険です」

「……あの、なんであなたがここに?」

「とにかく、そっちには行かないでください」

「いやいや、だからなんでここにいるんだよ、神崎」


 俺を呼び止めたのは撒いたはずの神崎本人だった。

 しかし、なんで服装が濡れてんだ? 前にもこんなことがあったが……どういうことだ?


「で? なんで俺がこの先に行っちゃいけないんだ?」

「それは……答えられません」

「なんで?」

「どうしても、なんです」

「……ふーん」


 何も話そうとしない神崎の横を俺は鼻を鳴らして通り過ぎる。

 すると、神崎の手元が素早く槍を展開させ、俺の首元に刃が突きつけられる。

 これは……どういうことだ?


「なにかの間違いなら、早くしまってくれないか?」

「間違いじゃ、ありません。先輩。お願いしますから、その先には行かないでください」

「無理」

「どうして!」

「だって、俺はこの先に用があるから」

「その用は私が済ませます! だから、今日は帰ってください!!」

「嫌だね。いいからそこどけ、神崎もどきさん?」

「もどきじゃ、ないですよ」


 神崎はそう言いながらも槍を下ろし、道を開ける。

 俺はそのまま横を通り過ぎ、振り返りざま、こう言った。


「そうか。じゃあ聞くけど、神崎。お前は誰だ?」

「……ッ! わ、私は……」

「言い訳も、何もいらない。お前は神崎だ。それだけはわかってる。でも、『この世界』の神崎は今ここにいない。そうだろ?」

「……」

「答えられないのか? ならいい。お前が何を考えているのか、何を目的にしているのかは知ったこっちゃない。でもな、邪魔だけはするな。俺の目的を邪魔するなら、神崎。たとえお前でも倒すぞ?」

「殺さ、ないんですね」

「当たり前だ。俺は人殺しじゃない。俺は――」

「怪物、ですよね」


 俺が言おうとしたことを先に言われたため、俺は驚愕を隠せなかった。

 いつもの神崎なら、先輩は怪物なんかじゃないです、と大声を張り上げて弁解するのだが、目の前の神崎はそれを承知していた。

 どうなっていやがる? 綺羅といい、神崎といい。俺の仲間には不可解なやつばっかだな。

 俺はやるせなくなり、頭を掻く。


「ったく。調子狂うよな。まあ、そういうこった。邪魔はするなよ?」

「はい。分かりました。……本当に、昔も未来も変わりませんね、先輩は」

「あ? 何か言ったか?」

「いえ、でも気をつけてくださいね。その先には……」

「ああ、言うな。そういうのは面倒だからいい。フラグを立てるな」


 神崎が言おうとしたことを遮って、俺は強引に歩き出した。

 分かってんだよ。この先に面倒があることくらい。それでも、行かなきゃいけないだろうが。あいつは、腐っても幼馴染なんだからよ。

 俺は再び足を進めて、気が付けば何事もなく綺羅の家。いや、ここから何かがある可能性は十分に高い。というよりも、ここが本命だろう。

 息を吸って、深く吐く。それを二回ほど繰り返し、腹を決める。

 さて、行くか。

 意を決して、俺は綺羅の家のインターホンを押す。


『……はい』

「俺だ」

『き、恭ちゃん!? ゴホッ。ご、ごめんね。私風邪で――』

「嘘はいい。わかるんだよ、幼馴染のことは。兄妹みたいに育ったからな」

『……今、開けるね』


 綺羅は観念したのか、家のドアを開けると言って返事が切れた。

 それから数秒後、ドアは重く開かれた。

 そこに現れたのは、見るからに元気そうな綺羅と見知らぬ青年だった。

 ――――ああ、俺ってもしかして場違い?

 そう思うのも間違いじゃないだろう。だって、若い女性と同じ家、同じ屋根の下で若い男性が出てくる。これはもう、ねえ?

 俺は回れ右をして、帰る準備をし始めた。


「ま、待って!」

「すまん、邪魔したな!」

「ち、違うんだってば!! 待ってよ!」

「何が違うの!? 営み中だったんでしょ!? 新しい生命の誕生だったんでしょ!?」

「だ、だから、ちがうの!!」


 頑なに違うと言い張る綺羅。しかし、その言葉を信じられるはずもない。

 俺は、俄には信じられない光景を見てしまい、取り乱してしまった。

 俺がそんなことをしていると、綺羅は顔を真っ赤にして、


「この人は、神様! スサノオなの!!」


 またしても、驚愕な事実を突きつけられ、


「……は?」


 そう、素っ頓狂な声を上げてしまった。

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