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おかしい……女の背中に黒い羽が生えている、だと?

キャラ募集かけまーす。(さて、どれくらい集まるだろう?)


読んでくれると嬉しいです

 朝の襲撃から、一先ず目を背けて、俺たちは朝食を取った。


「どうかな? 今日は味噌を変えてみたんだけど……」

「ん? んー、そうだな。まず――――うまいです!! めちゃくちゃうまいですよ!?」


 朝の一件(タナトスが俺にパンツの話を持ちかけたあれ)のせいで、綺羅の黒化が予報から注意報を飛び越えて、警戒令を出していた。

 よって、何が起きるかというと、俺がちょっとした好奇心で出たお茶目な言葉でさえも黒化が起きやすくなり、包丁の投擲回数が増えるという地獄が起きた。

 まったく、なんでこんなことになってるんだよ! いや、俺も悪いんだけどさ!


「あっはっはっは! 君はつくづく僕を飽きさせないね! 君が刺されそうになるところなんて……最っ高だ!!」

「悪魔か! お前は!」

「いや! 寧ろ、神だ!!」

「はあああぁぁぁ……」


 俺は盛大なため息をつくと、綺羅が首を傾げて、聞いてくる。


「あはは、恭ちゃん面白ーい!」


 そういえば、綺羅にはタナトスは見えていないのか。

 つまり、今の会話は聞かれてはいないってことか。それはそれでなんだか盛大な独り言のようで恥ずかしいが、まあいい。


「でもいいのかい? こんなにトロトロやってると、遅刻……とかいうやつになるんじゃないかい?」

「は? ……もうこんな時間かよ!!」


 見ると、時計の針がどう見ても遅刻ギリギリのところを指していた。

 俺は食器などを片付け、急いで登校の支度をし始めた。


「もう! また朝に支度してるの? 前日にしなさいって言ってるでしょ?」

「……ごもっともで」


 俺はそんな綺羅の母親セリフを軽く無視し、さっさとカバンを背負う。

 勢いよく外に飛び出し、まず最初に右左を確認した。

 ……よし。今日はダンプは通っていないようだな。

 そう、何を隠そう俺は、昨日ダンプに轢かれて死んでいるのだ。つまり、昨日の二の舞にならぬよう確認をしているということだ。


「まあ、普通こんなところをダンプが通るわけがないんだけどな」

「うんうん。でも昨日は不思議だったよね~」

「は? 何が?」

「あ、そっか。恭ちゃんは知らなかったっけ? 昨日怪我したのは恭ちゃんだけで、ダンプの人はいなかったんだよ!」

「は? いなかった?」

「そうそう! ダンプに乗っている人がいなかったみたいなんだよね」


 どういうことだ? いなかった? 運転手が?

 不思議すぎる。ここは坂道。そして、ダンプは坂を上るように俺に向かってきた。つまり、誰かが運転していないといけなかったんだ。

 でも、運転手はいなかった。なら、どうやってダンプは動いたんだ?

 考えは深まるばかりだ。


「タナトス。もしかして、お前がしたのか?」

「断っておくけど、僕は人を殺せないよ。そういう神だ。それに、君を殺したところでメリットがない。デメリットはたくさんあるけどね。ほら、君の魂の解体とか、運送とか……抹消とか?」

「なんで最後が疑問形なのかは置いておくとして、まあそうだよな。お前は、そういうやつだ」


 ここでのそういうやつとは、マイナスの意味もプラスの意味も持ち合わせている。

 タナトスは、結局のところ俺になんて興味などない。俺というおもちゃを見て、観察して、実験して、どう生きるかという一つのゲームをしているものなのだろう。

 だけど、コイツはそんなことをするために仕事をするはずがない。

 つまり、コイツは俺にダンプをぶつけた犯人とはなりえないということになる。


「けど、一体誰がやったんだろうな。まあ、犯人がいるということ前提の話だが」

「そーだねー。不思議なこともあったものだねー」


 俺の独り言に、いつものように綺羅が返してくる。

 その調子で変な考えを浮かべながら登校していると、目の前に黒い羽を生やした美少女が……いなかった!! いなかったぞ!?


「お? 堕天使がいるね。ちょっかい出してみよっかな?」

「やめろよ! せっかく無視しようとしてたのに! 現実逃避してたのに!!」

「へ? どうしたの、恭ちゃん?」

「なんでもねぇよ!!」


 くそったれ! なんで通学路にあんな如何にも、私はあなたを不幸にしますオーラを出してる厄介なやつに出会っちまうんだよ!

 うわっ! しかも、タナトスと会話をしている俺に視線を向けてきてるよ! どーすんだよ、これ! いい天気ですねとか言えばいいのか? いや、それ言ったらダメだよね? そうだよね!?

 テンパっていると、とうとう堕天使の横を通る瞬間がやってきた。

 どどど、どうすんの!? めちゃくちゃこっち見てますけど! ウルった目でこっち睨んでるんですけど!?

 すると、堕天使の方から俺に近づいてきて、


「私と●●●●(バキューン!)しませんか!?」

「はあああぁぁぁ!?」


 ちょっ、何言ってんのこの堕天使! 放送禁止用語、それ!


「すみません。気急ぎました。まず、私と子作り――――」

「はいアウトー!! それアウトだから!」

「なら、挿入――――」

「変わってねぇよ! てか、俺の下半身に言うなよ!!」

「え? ……そ、そんな、あなたの息子と面と向かって話せるわけが――――」

「お前の頭の中はそれだけか!? 違うよな!? 違うと言ってくれ!!」

「自慢ですが! 私は、男性が夜に可愛がる息子が大好きなんですよ!」

「誇るなよ!」


 なんだよ、この頭悪そうな会話は! その中に俺も混じってるんですけど!

 俺は、朝早々にこんなハイテンションな変態ドエロ堕天使、もとい駄天使と出会ってしまった自分の不幸を呪った。

 タナトスはというと……笑ってやがる。この状況下で、俺の不幸を笑ってやがるよ。


「おい、タナトス。お前――――」

「あはははははははははははっはははははははははははは!!!!!!!!! 最高だ! 最高だよ、君たち! なんでそんな頭悪そうな会話を簡単にやってのけるんだい!! あははははっははははははっは!!!!!!!!」

「やっべー。めっちゃ殴りたくなってきたよ、はっはっはっは」


 無表情で笑う俺に、腹を抱えて大爆笑のタナトス。そして、なぜか俺の下半身を見て、ハアハアと息を上げながら頬を紅潮させている駄天使。

 何も見えていない綺羅は、随分と先に行ってしまった。ホント、この状況を見えなくて良かったよ。危うく血の雨が降るところだった。


「はっ! そうではありませんでした! ちょっとお尋ねしたいのですが、御門恭介という男子に聞き覚えは?」

「……は?」

「だから! 御門恭介という名前に聞き覚えはありますか?」

「……(どうしよう、モロに俺なんだけど)」

「どうしました? もしや、何か言えない理由でもお有りで!?」

「……いや、聞いたことはないけど、その人がどうかしたんですか?」

「いや、なかなかにいい息子をお持ちですと聞いたもので、ちょっとばかし子種を――――」

「いいから、精神科行ってこい!!」


 やっぱ、俺だと言わなくて良かったよ! 何か大事な用件か何かかな~? とか考えてたけど、どうしようもねぇことだったよ!

 俺は、世界という物の在り方を再度認識した。

 ホント、くだらねぇもんだなぁ。いやマジで。だってこの駄天使まだ俺の下半身見てハアハアしてるしよぉ~。

 俺はこうした自分の境遇に、なぜか涙しそうになっていた。いや、すでに泣いていたかもしれない。


「そうですか。聞いたことがありませんか。なら、仕方ないですね」

「やっと諦めたか。これで俺も学校に――――」

「じゃあ、出会った記念に●●●●(バキューン!)をしましょう!!」

「御門恭介は!? (まあ、俺なのだが)」

「それはそれ、これはこれですよ! さあ! 私と一緒にゴーテゥーへ――――ル!!」

「地獄かよ!」


 叫びながら、駄天使が俺に向かって(実のところ俺の下半身を目掛けて)突進してくる。

 俺は、陸上選手を泣いて逃げるくらいのスタートダッシュをして、宙を浮きながら追いかけてくる駄天使に泣きながら学校まで走った。

 その間、タナトスは終始大爆笑だった。

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