各々の想いは交差し、曲がり、面倒事の余興を引き起こそうと闊歩する
今回は短めです……
読んでくれると嬉しいです
時間は遡って今朝。
少女、クロエは燃え盛る家を見て、ぼんやりとしていた。
自信を助けてくれた青年と女性は時間だと言ってどこかへ行ってしまったが、どうやら火を消すモノたちを呼んだらしい。
現に、変な服を来た大人たちがホースを使って車から水を放射している。
クロエは何を考えるでもなく現状を見ていた。
ただ、目の前にある現実を、仮想の世界から見るかのごとく、クロエは存在しないかのようにそこに立ち、そこで笑った。
すると、あたりにいた大人たちは消え去った。
家の火は消えている。大人たちはまるで自身の仕事が無くなったから帰った後のように一瞬にして消え去った。
クロエは、その場に立ち、何もいない場所に話しかける。
「やっぱり、アタシは生きちゃいけないのかな?」
話をすると、何もなかった空間から真っ黒な靄のように何かが出てきて、返事をする。
「それは違う。貴様こそ、生きるに相応しい。誰よりも辛さを知っている、誰よりも孤独な貴様だからこそ、生きるに値する命なのだ」
「……そう、かな? アタシは、他人を傷つけるだけ。アタシは、不幸な子」
「クロエよ……。未だに、貴様の心は孤独なのだな」
その言葉に答える言葉はない。
ただ一人、晴れ渡る空のした、暗い顔をした少女が歩くという物語の始まりを告げる行為だけが行われるだけ。
少女はこうして――――人を食う。
朝の一件で不完全燃焼な戦いをして、モヤモヤする心を晴らすため、青年はバカみたいにホットドックを食べていた。
「……おい。おい、大丈夫なのか? 何やら、腹がすごいことになっているのだが」
「はん! これくらいなんともないさ。それより、なんだよあの男は! あんなに強い力を発動しておいて戦いを放棄するなんて! こっちは全力で戦うっていうのに!!」
「お前の戦闘狂にはいつも驚かされ、同時に呆れる。しかし、確かにあれは無いだろうな。戦いとはどちらかが倒れるまでというのが、いつの時代でもたった一つのルールだからな」
「そうさ! 今度会ったら、嫌でも戦ってやる!!」
「ふむ……それより、我々がここに来ている理由、覚えているのだろうな?」
「……なにそれ?」
青年の後ろで、炎を纏う神、プロメテウスは頭を抱えていた。
それもその筈だ。彼らは目的があってここ、日本に来ている。それを忘れて戦いのことしか頭にないとあっては一大事であり、問題なのだ。
しかし、だ。プロメテウスはそんな青年が嬉しくてたまらない。
いつも戦いという自信をアピールできる場を求め、常に強い者を求めている青年を、自身の願いに全くの濁りのない青年を、プロメテウスは賞賛していた。
だからこそ、プロメテウスはそれに見合う力を与え、青年はそれを使って自身の願いを叶えるという一種のパートナーができているのだが。青年は力をもらうための代償を払っている。
それは、神々の命令を果たすということだ。
そして、その命令というのが、今回日本に来ている目的でもある。
「我々は、死の神タナトスの捕獲、もしくは殺害を命令されているのだぞ?」
空気が重くなる。
気温も少し下がったかのように感じる。だが、青年は一層笑みを深くさせ笑う。
「ああ。思いだした。そうだったそうだった。俺たちは、神殺しを再現するんだった」
「否、我々は既に神殺しだ。いくつもの神を殺めてきたのだからな」
「あはは。さて、タナトスは俺たちを楽しませられるかな?」
青年は不敵な笑みを浮かべながら空を見上げ片手を挙げると、これから起こるであろう事件を楽しみにするように空の虚空を掴んだ。