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外へ出ろと言って、喧嘩をし始めるのは昭和の時代の話だ

遅くなりました!


読んでくれると嬉しいです!

「……で? 外へ出てきたけど、一体何が始まるのかな?」


 俺の家の天井を突き破って突如として来た金髪の青年が何の悪びれもない表情で聞いてくる。

 しかし、俺はそんなことは耳に届いてすらいなかった。


「おいおい。マジかよ……」


 先ほど、天井を突き破ってきたと言ったが、それは語弊を生むかも知れない。事実、語弊であった。

 天井を突き破ってきたのではなく、天井を溶かして来たようだ。

 よって、俺の家の天井は板が折られたのではなく、板が溶かされている。つまり、所々燃え始めているのだ。


「……ん? どうしたんだい? おーい、聞いてるかな?」

「……うるせぇ」

「はい?」

「うるせぇんだよ、この隕石野郎! 消化器で消化するぞ!」

「……ねえ、プロメテウス。この人はなんで怒っているんだ?」

「お前の頭で考えるがいい。普通、怒ると思うぞ」


 金髪の青年と青年から飛び出してきたプロメテウスとかいう変な奴の会話は俺の怒りを加速させた。

 わからない? あれほどのことをして、知らぬ存ぜずだと?

 ぶっ飛ばすぞ、こら。


「う~ん。わっかんないなぁ。ほら、俺って、頭いいから」

「やっべ。マジで殺したくなってきた」

「あははは、たかが人間が俺に敵うわけないじゃん」

「……」


 俺はこういう時のことを考えてポケットの中に入れておいた最強の人間のメダルを手にとった。

 そして、親指でメダルを空中に弾き、頭に流れてくる言葉を詠唱し始める。


「俺、御門恭介が願い乞う。理念を貫き、世界を否定し、自身の力を夢の為に、仲間の為に使い、全てを圧倒し続ける最強の力を。今、俺のもとに来い、最強の人間神谷信五の力!」


 全身にありえないほどの力が流れ込んでくる。

 その上で、俺は完全に目の前の金髪の青年をぶっ飛ばすために、全力を解放する。


「俺、御門恭介が願い奪う。信念を突き通し、偽善を破壊し、自身の力を困難という名の壁を破壊し続ける最強の力を。今、俺のもとに来い、真実を貫く拳!」


 筋肉が、骨が、内蔵が、体の全てが悲鳴を上げる。

 しかし、その痛みの深くに完全に掌握した最強の力が眠っている。

 その扉を今、こじ開けた。

 俺の体に若干の痛みを残して、先程までとは比べ物にならない力が流れ始める。

 その力は既に俺の体の中では収まりきらず、外に漏れ出し俺の周りをクレーターのように抉っていく。


「ひゅ~。なんか強くなったね。まあ、俺より下だけど」


 そう言って、青年は右手を払った。すると、炎が腕のように延長してきて、俺の右腕をもぎ取った。

 大量の血液と、感じきれない痛みが体を蝕んでいく。ただでさえ、最強の力で体が悲鳴を上げているのに、こんな攻撃を受けてしまうと流石に体は立っていられない。

 とでも思ったか?


「残念だったな。お前はさっき、俺のことをたかが人間と言ったが、それは違う。俺は、お前と同じ――」


 俺は片腕が戻らないまま疾走し、青年の前に飛ぶ。そして、青年の丁寧に整った美顔を冷静に蹴り飛ばした。


「――戻りようのない化け物なんだよ」


 青年はガードもなしで蹴り飛ばされ民家を三件ほど吹き飛ばしてやっと止まった。

 ……やりすぎたとは思ってないぞ! 民家の皆さんには大変ご迷惑だと思うけど!

 俺は内心若干焦りながらも、青年の反撃を待つ。


「いやぁ。流石にそこまで強いとは思ってなかったなぁ。仕方ない、本気を出そう」

「いや、ただ殴られてくれれば俺的に穏便に済ませそうだ」

「ダメだね。だって、それって俺が痛いじゃん?」

「安心しろ。俺は痛くない」

「あははは、君のジョークは案外面白くないね」


 なら笑うなよ。

 青年は宣言通り本気を出すみたいだ。全身を紅の炎がまとわりついていく。

 あれは……なんだか暑そうだな。

 そんなことを考えていたら、俺はもう戦闘意識を無に近い状態になってしまっていた。

 さて、あんな本物の化け物とどうやって戦おうか。いや、無理だな。あれは死ぬとかの問題じゃない。灰になる。

 流石にゾンビ体質でも灰になったら生き返られ……るのか?

 少し試したい気がしないでもないが、痛いのは変わらないのでやる気は失せた。

 つまり、


「負けた。俺の負けだ」

「……何を言ってるのかな?」

「だから、俺の負けだ。でもってその炎を戻してくれると嬉しいんだけど」

「……まあ、いいか」


 そう言って青年は炎を消し去った。

 ふぅ。これで俺への被害はなくなっ――――たわけではなかった。

 俺はカバンを取りに家の方を見た。すると、そこには燃え盛る元家らしきものがあったんだ。


「……って、何を俺は現実逃避してんだよ! これは紛れもなく俺の家だろうが!」


 そう。燃えているのは俺の家だった。しかも、既に全焼済みというメラゾーマもびっくりの燃え方だった。


「せ、先輩……?」

「どうした、神崎?」

「め、目から涙が――」

「安心しろ。これは心の涙だ」

「あ、涙なんですね」

「そ、そうだとも」


 俺としたことが咄嗟に考えた、人生で一回は言ってみたいセリフ集を検索したら、心の汗と女の涙が被って、心の涙とかいう変なセリフが出来上がってしまった。

 そんなことはいいんだよ。まずは、この家だ。

 真っ白だ。真っ白になっちまったよ。真っ白に燃え尽きちまってるよ。

 ここで困ったことがあるんだ。

 まず、俺には家族がいる。当然だな、うん。しかし、問題はここからだ。親はたまにしか帰ってこないとは言え、確実に帰ってくる。つまり、この家をそれまでに修復しなくてはいけない。そして、こないだ帰ってきた時と、いつも帰ってくる時期を逆算した結果、次回親たちが帰ってくる日付は、来月だ。

 お分かりいただけだろうか、この現状を。

 家は、基本的に一月では出来上がることはない。よって、親が帰ってくるときに家がない。

 つまりだ。おやじに殺される。


「あーあ。焼けちゃってるねぇ~」


 俺が絶望の中にいるとき、犯人である青年はすまし顔で元俺の家を見上げていた。

 あー。もう怒る気にもならん。どうにでもなりやがれって感じだ。

 俺は空を見上げ、晴れ渡る空に向かって、


「リア充よ。砕け散れ」


 壮絶な八つ当たりを繰り広げていた。

ネタがね? うん。

ネタがねぇ~ うん?

ネタがねえ! う、うん


何なんだこれは

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