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目の前に美幼女が倒れているのだが、誰か説明してくれないか?

そろそろネタが切れてきた……


読んでくれると嬉しいです

「た、助けてください」

「……は?」


 何だろう。目の錯覚であってほしいのだが、目の前に助けてと言って行き倒れている幼女が居るようだ。

 うん。目の錯覚だ。こんなことが現実にあっていいはずがない。いいはずがないんだよ。

 俺はそう自分に言い聞かせ、幼女のようなものの幻影の横を素通りしようとしたら、


「先輩! 目の前に女の子が倒れてます!」

「無視してくれ! これは悪い夢だと言ってくれ!」

「で、でも!」

「うるせぇ! 俺は学校行くんだよ! 学校で可愛い女の子と手とか繋いだりするリア充野郎の生活を見に行くんだよ! チクショー! リア充死にやがれ!」

「そんな、先輩の恨みなんてどうでもいいですよ! それよりも、この子が――」


 神崎が何かを言いかけたとき、辺りに鈍い音が鳴った。

 当然、音源は目の前の幼女。そして、その幼女の腹からだ。

 つまり、目の前の幼女は腹が減っていると、声も上げずに宣言したことになる。

 よって、


「そうだ。学校に行こう」

「待ってくださいよ! なにかご飯をあげたりとかしないんですか!?」

「え~。だって、ご飯ないし~。そもそも、知らない人にモノあげちゃいけないって言われてるし~」

「もう! 先輩のバカ! ……大丈夫ですか?」


 あ、神崎のやろう話しかけやがった。

 幼女は顔を上げ、如何にも作っていますという顔でご飯を強請り始めた。


「アタシ、お腹減ってるのぉ。昨日から何も食べてなくて……」

「ああ、それはかわいそうに。何か食べていきます? お粗末なものしかないですけど」

「おい。人んちのもの食わせる気か? それと、お粗末言うなや」

「うるさいですよ! 大丈夫ですか? 立てます? 抱っこしましょうか?」

「ううん。大丈夫」


 そう言って、神崎はまるで自分の家のように俺んちに幼女を招き入れ、幼女はそれを嬉々として入り込んでいった。

 俺は、そんな現状に、既にため息しか出ていない。

 俺の家は、いつからそんなグローバルな家になりました? いいえ、むしろ勝手に使われる貸家になりました。

 そんなことはいいんだよ! 何勝手に上がり込ませてるんだよ! そもそも、あの幼女は人の家に勝手に上がり込んじゃダメだって教わらなかったの!? まったく、親の顔が見てみたいものだよ!

 俺が腹の中で怒りを滾らせていると、横からうざいやつがやってきた。


「んん? 今君、僕のことかっこいいと思ったでしょ?」

「どうしたら、そこまで自意識過剰になれるのか俺は不思議でならないよ。タナトス」

「あっはっは。褒めるなよぉ。照れるなぁ」

「はあ……」


 一応言っておく。褒めてはいない。

 タナトスと話していてもただ疲れるだけだ。それなら、今の状況をまとめる方が先決だろう。

 まず。俺の家の前に幼女が倒れていた。そもそもだ。ここがおかしい。

 次に。神崎が勝手に俺の家に幼女を招き入れた。ここもだ。ここもおかしい。

 そして今。背後で怒りに燃えている綺羅が俺の肩を叩いている。マジで怖い。

 ここから求められる結論。俺に平穏をください。


「ねえ、恭ちゃん。なんで恭ちゃんの周りには女の子がいっぱいなのかな?」

「……俺がイケメンだから?」

「投げるよ?」

「すみません。包丁下ろしてください」


 いつから幼馴染に包丁がメインウェポンになったのだろう? マジで相性抜群すぎるだろ。怖すぎるよ。

 俺は支度したカバンを玄関に置き、家に入った。

 リビングに行くと、そこには飯を食らう幼女がいた。その姿はまさに大食いの決勝戦のラストスパートだ。

 幼女が食べ終わると同時に、俺の家の食料庫も終わった。すっからかんだ。

 おい。今日の夜飯どうすんだよ。綺羅んちで美味い飯を食べなきゃいけないだろうが。まあ、うまいから許すけど。

 一服している幼女に俺は声を掛ける。


「おい、幼女。お前、名前は?」

「幼女言うな! アタシはクロエ。魔法使いだよ」

「……」


 誰か、この中にお医者さんはいらっしゃいませんか!?

 いやいや。これはイっちゃってるよ! 頭がポーンだよ! もしくはチーン! なんだよ、魔法使いって!

 俺が如何にも触れてはいけないものに触れてしまったことに後悔していると神崎が、


「そうなんですか! 魔法使いって本当にいたんですね」

「こいつもこいつで頭がポーンしてやがる!? なんで信じちゃうの!?」

「え? いや、だって先輩はゾンビじゃないですか」

「それを言われると痛いけどね!」


 そうでした! 魔法使いより不思議でおかしい存在がここにいました! 俺ですね! 紛れもない死を超越した存在な俺ですね!

 幼女、クロエは神崎の言葉に驚いき、椅子を思いっきり立ち上がった。

 足まで届きそうな、いや届いている髪をそのままにクロエは俺のそばまで来て、真剣な視線でこう言った。


「不老不死をどこで手に入れたの!?」

「は? いや、手に入れたというより……あ、えっと、その……」


 事情を知らない綺羅がいる手前、状況の説明に困る。全てを話すのは簡単だ。でも、それで綺羅との関係が壊れるのは困る。なぜか。美味いメシが明日から食えなくなるからだ。

 しかし、幼女は方法はどうやっただの、体への違和感など詳しく聞いてくる。

 綺羅は、怒りのためか下を向いてプルプルと震えていた。

 仕方ない。小さい声で教えるか。


「実はな……」

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! タナトスだよ!」

「マジで空気読めよ……」

「あっはっはっは。実に面白い冗談だね!」


 なあ、殴っていいよな? いいよな!?

 俺はヘラヘラと笑うタナトスを殴りたい気持ちを爆発させようかと思って、やめた。やめる他なかった。

 突如として、目の前に黒い何かが出来上がり、一同思考が停止した。


「やめるがいい。人の子よ。あまり、不老不死にこだわるな。今のままでも人の一生は過ごせるのだ」

「でもでも! 一生を越えた先に何かがあるような気がするんだよ!」

「だとしてもだ」


 黒い何かとクロエが親しそうに話しているのを見て、俺と神崎が驚きを隠せなかった。

 確かに、さっきこの幼女さんは魔法少女と言った。しかし、これは一体なんだ? 黒い何かは幼女の使い魔か? それはおかしいだろう。だって、使い魔ってのはまず主に、やめろとは言わないだろう?

 なら、この状況はなんだ? まるで親子の話のように見えるが……。

 俺は考えていると、タナトスが面白そうに笑って、


「やあ、おじいちゃん。久々に会ったね。お年玉ちょーだい」

「タナトスか。これはまた久しいな。そのお年玉とは何だ?」

「知らないの? 古いなぁ。お年玉ってのはね? 一年に一度、親や親族が子供に世界を与える行為のことだよ」

「待て待て待て! それスケール大きいから! どうやったら親が子供に世界をあげられるんだよ! じゃなくて、おじいちゃんってどういうことだよ!」

「え? ああ、紹介するね。原初の神にして無限、空からの空間にして空隙。僕のおじいちゃん、カオスだよ」


 その日。俺の平穏は確実にぶっ壊れた。

次回遅れるかも……

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