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プロローグ無きエピローグ

 すべてが終わるその瞬間、神崎邸にて、


「これでよかったのか? 牙獣芙美……いや、タナトス」

「ああ。これが良かったんだ。これで、彼は幸せな人生を送ることができた」


 生徒会長は、にやりと笑うとどこかで見たことがあるような少年の影を見せる。

 この生徒会長、もといタナトスはこの惨状を引き起こしておいて、高みの見物をしていたのだ。


「これで、貴様の目的は果たされたのか。どれ、もうここに居る必要はなくなったということか?」

「ああ、だからボクはここからいなくなるはずだった。でも、考え直したよ。ホント、神様っていうのは貪欲だよねー。目的を達成したら、今度は彼の未来を見たくなった。彼が、今後どう成長していくのかが気になって気になって仕方ない。それに、彼にはちゃんと謝らなくちゃいけないしねー。ホント、どうしようもないよねー」


 言って、タナトスは女の子の姿にも関わらず床にあぐらをかく。そうして、ひとしきり笑ったかと思うと、こう言った。


「これからもよろしくね。ボクは生徒会長の牙獣芙美としてこの高校にい続けることにするよ」

「よかろう。問題さえ起こさなければいてもいなくても同じじゃ」


 こんな密談をしていたなど、今の恭介たちはもちろん知らなかった。






 悲惨な戦いが終わって一週間。俺はいつものように忙しい日常を謳歌していた。


「恭ちゃん急いで! 遅刻するよ!!」

「わかってるよ! ていうか、薫はなんで俺の目覚まし止めたんだよ!」

「えー。だって一緒にいたかったんだもん」

「御門恭介! お弁当忘れているですよー!」


 そう、いつもと変わらない朝。


「おうおうやってるねぇ」

「若いとはいいものだな」

「あっ、私も行く準備しなくちゃ」

「マスター、そんな冷たいこと言うなよ。あっ、それロン。ピンフのみ」

「「「うっわ、絶対悪に似合わな!」」」


 い、いつもの日常、だよな?


「ケルおやつだよー」

「マスター、愛してるー」

『なぜ、我がパンを生成しなくてはいけないのだ……』


 あー、うん。現実逃避は諦めよう。


「先輩! 牙獣さん……タナトスさんが車を出してくれるって言ってましたよ!」

「嫌だよ! あいつはリムジンをレンタルカーだと間違えてる奴だぞ!?」


 こうして、俺の日常は過ぎていく。ほかの誰と比べても普通とは言い難い日常が。それでもいいと、俺がそう望んだ。違っていていいんだ。間違えなければ、この日常はそこそこ過ごしやすい。

 俺は忙しいにも関わらず、晴れ渡る青空を見上げて、一枚のメダルを弾き、パチンっとキャッチする。

 未来の俺が言った最後の言葉を、俺はきっと忘れない。託すと言われた子供を俺は絶対に守ると約束した。いつ来るかわからない。でも、あいつの、俺の子供のことだ。ちゃっかり現れることだろう。気長に待つとしよう。

 と、そんなことをしていると、みんなから罵声罵倒が響く。


「はいはい。今行くよ!」







――――また会おう。そう遠くない、そう、未来で――――







これまでありがとうございました。この作品はここで終わりとなります。最後まで見てくださった方、心から感謝します。

なお、この作品の世界の遠い未来の話を書いたものがありますので、よかったらそちらもよろしくお願いしますm(_)m

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