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許されざる所業

お待たせしてすみません。でも、今回は短いです・゜・(ノД`)・゜・


読んでくれると嬉しいです

 一戦交えたあとで、俺は疲れた体を休めるために家の中に入ると、玄関に血だらけのインドラが寝ていることを思い出した。

 正直、敵に捕まっていたことすら忘れていたくらいだったので、今も玄関に寝ていなければきっと気がつかなかっただろう。しかし、気がついてしまった以上、助けないわけにはいかないだろう。


「おい。大丈夫か?」

「ど、どうってことはないよ」

「そうか、じゃあ、俺は飯を食うから――」

「もう少し心配してくれてもいいんじゃないかな!?」


 いや、だって今、大丈夫だって言ったじゃん。神様でしょ? 英雄神だよね? それくらいの傷、名誉の負傷って言う奴だろ? むしろ、傷つけられて嬉しいんだろ?

 俺の中のインドラのイメージがどんどんマゾになっていくのは仕方のないことなのだろうか。まあ、前にインドラ自身が神様は死なないと言っていたような気がするので、放っておいても大丈夫だろう。

 ということで、俺は元々の目的の朝飯の続きをするため、リビングに足を運ぶのだが、その足をインドラが掴んで離さない。

 もうなんなの!? ホモなの!? ゲイなの? バイなの!? いつから俺はお前ルートに入ったよ! このままインドラエンドとか嫌だよ!?

 俺は傷ついているインドラの手を思いっきり踏んだり蹴ったりしてなんとか離させようとするが、握力が半端じゃない上に、無駄に俺の足の骨からミシミシと今にもへし折れそうな音がなっている。

 やめて!? このままポキは嫌だぞ!? 何が悲しくて、朝から足をへし折られにゃならん!

 だが、そんなことをどれほど思ったところで掴んでいる手は離れてはくれない。インドラの意思に負け、俺は仕方なくインドラの話を聞くことにした。


「一体何だよ。俺は忙しいんだけど」

「ぼ、僕の仲間が全滅した。僕もこの状態だ。復活には大分時間が必要だよ」

「だから?」

「君は本当に王様かい!? 部下の負傷に何も思うところがないのかい!?」

「だって、勝手に突っ込んでいったのお前たちじゃん。勝手に全滅しといて心遣いとか甚だしいよな」

「うっ……それもそうだけど。でも、君の仲間が傷ついて――」


 はあっとため息をついて、俺はその場にしゃがむ。そして、インドラの顔をしっかりと見て、俺はこう言った。


「それはわかってる。例え、お前たちが勝手に立ち向かって、勝手に傷ついたとしても、お前たちは俺の仲間だ。だから、俺はお前たちを傷つけた未来の俺を許さない。でもって、戦うのにそれなりの情報は必要だ。とりあえず、お前の回復を待ってから話を聞くとして、俺は飯を食いに行ってくるから、お前は回復に専念しろよ?」


 そう、俺は勝手な行動をしたこいつらを責めてはいない。むしろ、こいつらを傷つけた未来の俺を目の敵にしている。

 未来の俺にとって、こいつらは元仲間だ。未来で何があろうとも、その事実だけは変わらない。なのに、あいつは昔の仲間に手を出した。どんな理由があれ、それは許されない行為だ。だから、仲間である俺が、あいつの所業を罰してやる。

 俺が言うと、インドラは俺がそこまで考えているとは知らなかったという顔をして、そっと手を離した。自由になった足で、俺は今度こそ飯を食いに歩き出す。

 さて、いつ戦うかはわからないけど、むしろ戦いたくはなかったけど、こんなことされちゃなぁ。やり返さないと気が収まらねぇよな。

 ピリピリと、俺の中でどす黒い感情がスパークを起こすのがわかる。

 と、そんな時に、


『おーい。恭介ちゃん? こっちまで嫌な感情が流れ込んできてるんだけど~』

『落ち着いてください、恭介様。まだ能力を開放したままです。このまま怒りを爆発させると、家が吹き飛びます』


 と、我を忘れていた俺に、真里奈と剣と化している薙が俺の心に平安を取り戻させてくる。

 そういえば俺、今回は色々と進化したよな~。能力が三つ同時に発動できたし、薙を扱うこともできた。これも一様に真里奈のおかげなんだよな。

 そんなことを考えながら、俺は能力と薙を元に戻した。

 人型に戻った薙はふぅ、と息を吐いて俺にくっつく。


「どうかしたのか?」

「少し疲れました。ご命令であれば離れますが……」

「いや? 疲れさせたのは俺だからな。まあ、ここは俺が黙った抱っこしてやるよ」


 言って、俺は寄り添ってくるだけだった薙を抱っこする。すると、薙はそこまでされるとは思っていなかったようで、普段無表情なのが今日に限っては顔を真っ赤にしてアタフタとした顔になっている。

 それが面白くて、強く抱きしめていると、ヒュンっと目の前を光る切れ物が通過していった。


「朝から、何してるの? 恭ちゃん」

「ご、ご褒美をあげてました……」

「へぇ~?」


 確信に近い疑惑の目で、綺羅は俺をじっと見つめてくる。いや、これは本当だから! 一切嘘は入ってないから!

 一度疑ったら晴らすことを知らない綺羅に疑われ、俺は既に泣きそうです。


「どうでもいいけど。さっきのは何? なんか、恭ちゃんが違う人みたいになってたけど」

「え? ……ああ、あれか。あれは真里奈が俺に神降ろしで乗り移ってきて……て、これは言っていいことなのか?」

「言っちゃいけないことなの?」

「いや、そういう、ことでもなさそうだ。でも、これはみんなが揃った中で言いたいんだ。少しだけ待ってくれ。まずは、飯を食べよう」


 言って、俺は綺羅の頭を摩って、リビングに向かった。

 そう、話はみんなが揃ってから。この力も、これからのことも、未来のことも、全てはみんなが揃ってからだ。

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