いつも、不安なのは校長室
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生徒会長を介して呼ばれたってことはそれほどのことではないとは思うのだが、どうも校長室に呼ばれることが多くなった俺はどこかで校長室に行くことが日常になりつつあることを不安に思っていた。
何が言いたいかっていうと、校長室に呼ばれることに慣れてしまっている俺は、普通なら緊張することをまるで緊張していないということだ。
そういうこともあって、俺は毎度のごとく校長室のドアを開けると、
「……わぁお」
そこは幼女用の下着を付けたヨハネとクロエが絶賛お着替え中だった。
俺が突如入ってきたため、何が起きたのかわからないと言った顔をしていたクロエもすぐに状況を判断し、顔を真っ赤にしてしゃがみこんだ。
それを俺の後ろで見ていた美少女ら四人は振り向かなくても怒りが感じ取れるくらいの殺気をまき散らしながら近づいてくる。
いやいやいや、これはこいつらが悪いでしょ。確かに、ノックして入らなかった俺も悪いけどさ。ここは校長室であって更衣室ではないんだぞ?
もちろんそんなことお構いなしに根絶やしにされた俺は、心の中で静かにつぶやいていた。
「お主もなかなかに不幸じゃのぅ」
「そう思うならこうなる前にどうにかして欲しいもんだがな……」
俺の体が復活したのを見て、婆さんが俺に声をかけてきた。
ホント、なんだよ。まあ、嬉しかったけどさ。幼女の下着姿、嬉しかったけどさ。でも、こんな仕打ちされるなら、見たくなかったよ。
着替え終わったヨハネとクロエを加えた九人で話は再開された。
「で? 今日はなんだよ」
「おお、そうじゃった。ちょいとお主、そろそろ真理亜を嫁にもらってくれないかのぅ」
「お、おばあさま!?」
「わかった。式はいつ頃がいいんだ?」
「せ、先輩!!」
俺が悪乗りしていると真理亜があわわと顔を真っ赤にしながらあたふたし始めたので冗談だと言ってやると、思いっきりビンタされた。
ちょ、なんでビンタ!?
「バカ……」
「え? なんだって? もうちょっと大きな声で――」
「死んでください」
「がぅっ」
グサッと、真理亜から極太の槍を腹に突き立てられ、文字通り風穴が出来上がった。
きょ、今日は皆さん飛ばしすぎじゃないでしょうか? 大丈夫ですか? ちなみに、俺は大丈夫じゃないです。
俺が殺されるばかりで全然話が進まない状況に、流石に俺もこれ以上死ぬのは嫌なので話を進めて欲しく、腹が痛いのを我慢しつつ会話を続ける。
「ほ、本当はどういった御用でしょうか?」
「ふむ。実はそれが呼び立てた理由なのじゃ」
「マジで?」
「マジで」
「oh……」
マジか。ホントにこんなことを話すために俺たち呼ばれたわけ? ……おい待て。結婚って、俺まだ十七なんだけど。
突拍子もない話だったため少し考えてしまったが、よく考えると俺はまだ十七。つまり、結婚できる年齢じゃない。まさか婆さんがボケて言っているわけではなさそうなので、単に俺の年齢を間違えているのだろう。
だが、
「おい。俺は十七だぞ?」
「じゃから?」
「じゃからって……結婚できる歳じゃないだろ。よく考えてくれよ……」
「おお、そんなことか。大丈夫じゃ、今すぐ結婚しろというわけではない。それに、そんな気はサラサラないのじゃろう?」
「……まあ、な」
真意を見抜かれたことに俺は少し視線をずらした。ここまで適当に受け答えしてきたが、正直なところ俺は誰とも結婚しようとは思っていなかった。その理由は……今はいいだろう。
婆さんは一番重要なところを確実に見抜いていた。それにより、少しだけビクビクしていた美少女たちも落ち着きを取り戻し、安堵の表情を見せている。
ただ、その中で一人だけ、ヨハネだけはつまらなさそうに校長室の椅子に腰掛けお茶をすすっている。
「つまらぬのぅ。貴様の考えることは理解できぬぞ、主よ」
「よ、ヨハネ様! 一応配下なのですから、口を慎んでください!」
「黙れ、666の獣。貴様こそ妾の配下じゃろうが」
ヨハネが言うと、それに反論する半透明なもうひとりのヨハネが出てきて口論になっている。実は、この半透明なヨハネは666の獣であり、元々の体の所有者だ。死期が近づいていた命を長引かせるのと引き換えに霊体化していたヨハネを受け入れると言う条件でヨハネを受け入れたが、どうもヨハネが体を返してくれないみたいだ。
ちなみに、666の獣の本名は鵲夜羽。世間では死んだことになっているがこうして生きている。まあ、家族に会えないのは悲しいが今はもっと会いたい人ができたと先日聞いたことがある。その会いたい人物が誰かは分からないが。
口論をしていた二人(一方的に夜羽が押し切られているが)を見て俺がため息を着くと、ヨハネが俺を見て指をさしてきた。
「そもそもじゃ! コヤツは何も分かってはおらん! 妾という存在を手に入れたのじゃぞ? もっと胸を張ればいいものを。一向に妾を使おうとはしない!」
「そ、それは恭介さんがいい人だからです!」
「いい人? ふんっ! そんな奴がいていいものか! 人とは強欲な生き物ぞ! 666の獣、貴様も然りじゃ」
「ろ、666の獣じゃないもん! 夜羽だもん!」
とうとう言い負かされてしまった夜羽が俺の体の後ろに隠れて最後の文句を言っていた。
おいおい。相手はマジで幼女だぞ? 長年生きた奴が言い負かすなよ。こいつには情ってものが……ないのが神様か。まあ、こいつは神様じゃないけどな。
夜羽が俺の後ろでしくしくと泣き出してしまうと、流石にヨハネも悪いと思ったのか体を夜羽に返し自分は引っ込んでしまった。
そこまでは良かった。良かったのだが……。
「お兄ちゃーん!」
「「「「「「お兄ちゃん?」」」」」」
あちゃー。夜羽ちゃんやってくれましたね。ちなみに俺が言わせたわけじゃないからな? 勝手にそう呼ばれてるだけだから。
だが、それを可愛い美少女たちは了承してくれない。即座に俺はレンコンのように穴だらけにされ、その上で夜羽がしくしくと泣いていた。
うーん。今日は何回殺されればいいんだろう。そろそろ泣いちゃいそう。
「ふむ。今日は話ができそうではないな。仕方ない、日を改めるとしよう」
「で、できるとそうしてくれるとありがたい……」
婆さんが気を遣って日を改めてくれると言ってくれた。俺も正直体がキツいので一刻も早く帰って寝たかったのでその申し出に賛成し、立ち上がると生徒会長が何かを思い出したかのように発言した。
「あっ、そうそう。えーっと、フレイくんだったかな。グラウンドをめちゃくちゃにしてくれた相方くん。彼が、強くなっているから待ってろファッキンって言って――」
「ないだろ?」
「あははっ。冗談だよ。勝ちをくれてやる、でも今から修行行ってくる。ってどこかに飛んで行っちゃったよ。それだけさ」
「ああ、わかった。ありがとう、牙獣さん」
「下の名前でもいいんだよ?」
「遠慮しておく……ほら、後ろのかわい子ちゃんたちがキレそうだから」
フレイの修行とか正直どうでもよかった。あいつが強くなろうがならまいが俺にはなんの支障もない。勝てるからとかそういうんじゃない。なんか、あいつだったらそういうんだろうなとか思っていたからかもしれないが、向かってくるなら全力で相手するだけだ。
しかし、疲れ果てた俺は手でみんなに挨拶して校長室を出ようとすると、
「御門恭介」
神崎の婆さんが疲れ果てている俺を呼び止めた。
「んだよ。もうヘトヘトなんだけど」
「真理亜を泣かせるようなことだけはするでないぞ?」
んだよ。そんなことかよ。
俺は少しだけ心配な顔をしている婆さんに向かって、さも当たり前のように胸を張って言ってやった。
「……馬鹿言うなよ。俺は誰も泣かせねぇよ。みんな大好きなんだから」
言って、俺は校長室を出て行った。ちらっとだけ見えた、真理亜たちの紅潮した顔を思い出して、俺は廊下で微笑んでいた。
次回は少しだけシリアスが入るかも……
薫たちのベッドシーンもある予定