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初心に帰ってコメディーしよう

気がついたらPV100000突破! ありがとうございますm(_)m


嬉しすぎて、今日は2本上げます! 2本目は14時の予定です!


読んでくれると嬉しいです

 さて、皆さんお忘れのようですが、今は十月。つまり、通常の学生ならば二学期が当然始まっている時期なわけですよ。

 そして俺、御門恭介はいろいろあって、ええいろいろありましたよ。夏休みが始まったと思ったら山の奥に連れて行かれるわ、山賊に襲われるわ、未来の俺に出会うわ、昔のことを思い出すわでそりゃあもうたくさんのことがありましたよ。そんなわけでいろいろあった俺たちは英気を養おうと数日家にいたわけだ。

 そして、みんなが全開したから学校に行こうって久々に家を出て学校に来てみたわけですよ。

 そこで思い出したんですよ。時間というのは無情にも進んでいくってことに。つまり何が言いたいかって言いますとね。


「……この授業、全くわからないんだけど……」


 騒がしい昼飯を終え、四時間目が始まってから、俺は青い顔で黒板を見ながら言った。いや、朝来てから授業を受ける過程でこの言葉を既に四回ほど言っている。

 それもその筈だ。何せ、俺は三ヶ月も学校に行っていなかったのだから。授業の一つや二つや三つわからないのが普通なのだ。

 しかしだ。それは非常にまずい状況でもある。

 そう、高校には進級という制度がある。ある一定に達した生徒のみが上に行け、到達できなかった生徒はおいていかれる。そんな地獄の制度が存在するのだ。

 俺は、この年は進級させてくれるらしいが、来年は乗り越えられないだろう。どうしよう。俺、留年しちゃうよ?


「やあやあ、御門恭介くん! 三ヶ月も夏休みを堪能してたのか!!」

「……ちっ」

「あははは。出会い頭のその態度! 君は変わることがないな!」


 超ハイテンションに声をかけてくるのはフレア・フレイ。俺と同じ神に力を与えられた異常者だ。そして、イケメンという体質のフレイは俺にとっての究極の敵だ。

 俺はフレイの言葉をガン無視してやると、フレイがニヤッと笑って俺の顔を覗き込みながら声をかける。


「君、負けたんだって? 未来の君に」

「……っ! それをどこで聞いた?」

「ん? 君の彼女?」

「……えっと、誰? 心当たりがありすぎて分からなんだけど……」

「ああ、タナトスさ」


 少なくともあいつは彼女じゃないけどな!? てか、あいつは男性神だろ!?

 ツッコミたい衝動に駆られながら、なんとか抑えてフレイの言葉に返事をする。


「ああ、そうだよ。だからなんだって言うんだ?」

「当然、そいつは強かったんだろ?」

「当たり前だ。少なくとも俺よりは強かった」

「~~~~っ! 最高じゃないか! やっぱり、いい逸材だ、君は!!」


 そう言って、俺に抱きついてくるフレイ。おい、やめろよ。ホモホモしいだろうが。てか、ここ教室。今、授業中。ほら見てみろ、ロリコンが俺の方を見て青筋立ててるだろうが!

 俺は抱きついているフレイをどうにか引き剥がすと、授業中の教師に「大丈夫だ問題ない」とジェスチャーすると「ダメだ、廊下に立ってろ。ただし、幼女だけはおいていけ」と言われました。うーん。これって犯罪じゃない? この藤林、大丈夫?

 だが、教師の命令のため仕方なく廊下に立っていると、またしてもフレイが騒ぎ出す。


「そうかー。君が倒されたのかー。くくく……なんだか面白くなりそうだね!」

「俺は平穏をくれればどうでもいいんだけどなー」

「なんてことを言ってるんだ! 男子として、スリルとエロスは必要だろう!? まあ、僕は前者だけしかいらないけどな!」

「俺は後者のほうがいいんだけど……」


 スリルはいらない。いやマジで。あんな殺伐とした世界の何がいいんだ?

 俺が天井を見上げながらどうやって勉強を追いつこうかと考えていると、フレイが何かを思い出したように俺に言ってきた。


「そうだ。僕は君を殺しに来たんだった」

「ふーん……は?」


 こ、ころ……なんだって?


「いやー。ゼウスが君たちを許さないとか言っていたことを今思い出したよー」


 あははは、と笑うフレイ。いやいやいや、どう考えても笑い事じゃないから。それ最も重要だから。

 だが、他神話の神を怒らせた記憶がない俺にとって、ゼウスの怒りがなんなのかわからなかった。

 すると、フレイがそれを語った。


「君の相棒がゼウスの(めかけ)を寝とったとかなんとかで、随分と前に派遣されたんだけど、すっかり忘れてた」

「随分と怖いもの知らずだな、あいつは!」


 ったく、またあいつの仕業かよ! てか、それを忘れてたのかよ!?

 俺はトラブルメーカーのことを思い出しながら、目の前のアホを見ていた。

 そして、はあっとため息をついて、笑った。


「ん? どうしたんだ?」

「いや、お前らしいと思ったんだよ。そんなんだから、プロメテウスの苦労が絶えないんだろうな」

「え? プロメテウス、苦労してるのか?」

「あ、わかってすらいなかったのか」


 心底かわいそうなプロメテウス。相棒に認識すらされていないぞ。

 しかし、困ったぞ。俺は死なない。つまり、フレイの任務は一生をかけても終わることはない。もしかしたら、任務が完遂できないフレイをゼウスが殺してしまうかもしれない。

 フレイが死なないことを知っていても、一応仲間なので殺されるのは耐え難い。ふむ、どうしよう。

 俺が悩んでいると、能天気なフレイはありえないことを口にする。


「よし、今から決闘しよう」

「……わかっちゃいたが、お前アホだろ」

「? 何を言ってるんだ。僕は君を殺さなくちゃいけない。君は死なない。じゃあすることは一つだ」

「だから決闘か!? お前の頭は戦いしかないのか!?」

「うん」

「こんの脳筋が!」


 俺の叫びも虚しく、フレイは俺の手を掴んで玄関に歩いていこうとする。

 俺は必死にそれを止めようとするが、神の力を使用しているのか、圧倒的な力量差で引っ張られていく。


「お、おい! まずいから! それはまずいから!!」

「大丈夫さ!」

「うるせんだよ! 殺るなら外でやれ!!」

「さ、教師の許可も出たよ」


 やめろ。やめてくれ。やめてぇぇぇぇええええ!!


「誰か、俺に平穏をくれぇぇぇぇぇえええええ!!!!」

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