プロローグ
初投稿作品です。楽しめるかどうかわかりませんが最後までお付き合い下さると嬉しいです。
因みに題名は「ツヴァイバイフォー」とお読みくださいませ。
遠い遠い過去を見た。
――なんでこんなことができないの!?
小さい小さい俺は叩かれ、泣いていた。
――お前はそれでも大鳥家の人間か!
辛くて辛くて泣いていた。
――兄さん、僕は弟として恥ずかしいよ。
悔しくて悔しくて、それでも敵わなくて俺は逃げ出した。
家の裏には竹林があった。泣く時は決まっていつもそこで泣いていた。
そこには決まって俺より先に泣いている女の子がいた。着物姿の年下の女の子だった。名前は……忘れてしまった。
なんでも俺と全く同じで、その女の子の家では当たり前のことが出来ないらしい。
二人して泣いた。
その後で二人して特訓した。
自分に出来ることを頑張って、家族に認めてもらおうって。
それ以来、ある時まで泣くことは無くなった。
いつしか、女の子は来なくなった。
仕方なく一人で練習して、女の子を待った。それでも女の子は来なかった。
後から聞いた話だとその女の子はどこかに引っ越したらしい。
久しぶりに泣いた。裏切られた気がしたから。
それ以来、二度と泣くことは無かった。
遠い遠い過去の話だった。
こんな夢を見るのは何故だろう。何かの兆候だったのだろうか?
俺をの名前を呼ぶ声が聞こえる
ああ、そろそろ起きないと学校に遅れてしまう。
いい加減起きるとしよう。
そう言えば今日から新学期だ。こんな日くらい早めに言っても罰はあたらない。
そうして俺は睡魔が重くのしかかる目蓋をこじ開けて夢を記憶から消し去った。