1.勇者の弟として生まれた俺の始まり
世界には五人の勇者がいる。
剣の士、盾の士、法の士、療の士、拳の士。
今日はその勇者たちの授賞式だ。
もちろん俺も壇上に立っている。
そして俺が立っているのは――剣の士の位置。
「俺が誰かって?」
もちろん俺は剣の士……の弟だ。
二十一年前、一組の双子が生まれた。
二人は容姿も身長もそっくりで、ただ一つ違ったのは髪の色。
兄の名は 雪助・ヴェリ。
弟の名は 雪誠・ヴェリ。
雪助は両親と同じ金髪を受け継ぎ、
一方の俺は銀髪だった。
ヴェリアス領主の息子でありながら、両親と違う髪色を持つ俺は“不吉”と見なされた。
与えられるものはすべて雪助へ。
俺は存在ごと無視された。
それでも俺は努力した。
いつか父に認められたくて。
五歳になり、俺たちは学校へ通い始めた。
教師たちは雪助の金髪を見ると目を輝かせ、
俺のことはまたしても見向きもしない。
俺は気にせず、本を読み続けた。
やがて試験の日が来た。
俺は自信があったし、結果も予想通り――満点。
だが褒められるどころか、扱いは以前よりひどくなった。
俺は透明人間と変わらない。
満点を取ったところで意味はない。
彼らの中では、二位の雪助こそが一位なのだ。
物心ついた頃から、俺を大切にしてくれたのは兄だけだった。
父は冷たく、母は沈黙し、
教師は俺を見ず、村人は避けて通る。
この世界で、俺はまるで 忘れ去られた影 のようだった。
でも雪助だけは違った。
こっそりお菓子を半分分けてくれたり、
俺がいじめられれば真っ先に駆けつけてくれたり、
夜の訓練が終わったあと、隣に座って将来の夢を語ってくれたりした。
「雪誠、そんなに頑張らなくていいよ。俺がいるからさ。」
いつも優しく笑いながらそう言う兄。
だけど俺は知っていた。
兄の光はあまりにも眩しい。
そして俺は――いつまでもその背中に隠れていたくなかった。
嫉妬なんかじゃない。
ただ、いつか兄の隣に立ちたかった。
背後ではなく。
成長するほど、現実は残酷だった。
兄が輝けば輝くほど、俺は透明になり、
兄が強くなればなるほど、俺の存在価値は薄れていった。
それでも雪助は一度も俺を見捨てなかった。
頭を撫でながら、あの優しい声で言うのだ。
「雪誠、お前は俺の大事な弟だよ。
誰がどう思おうと、俺はずっとお前の味方だ。」




