星降る夜のクリスマス
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
かわいいファンタジーだと思って開いた方にはごめんなさい。コメディーです。
あのさ、サンタの爺ちゃん。
うん、そうだね。今年もクリスマス間近だね。
今年も僕たちトナカイ軍団には期待してるって?そうだね。頑張ろうね。
ところでさ、そのことなんだけどね。
一度言っておきたい事があってさ。
僕って赤鼻で、昔それが元で、仲間から馬鹿にされてたじゃん。
そんな時、爺ちゃんに
『暗い夜道はピカピカのお前の鼻が役に立つのじゃ!』
と言われたの 嬉しかったのね。それはホント。ただね…。
僕の鼻、【自発光】はしないんだよね…。
僕の鼻が光るのは、別の光を反射してるだけなの。
いわゆるただの反射板なの。
夜ランニングしている人が付けてるアレなの。
最近、爺ちゃん、よく配達中に接触事故多いじゃん?
『そろそろ齢かのぅ?』とか言って、確かにそれもあるけどね。
基本無灯火なの、今。
気が付いてなかった?
一応【伝統芸能】ってことで、今のところお目溢しされてるけどさ。
そろそろ警察も厳しいからね。
いつまでも無灯火運転を続けていると、ソリ免許、取り消しされるかもしれないよ?
それとさ、これは僕個人というよりトナカイ全員からの意見なんだけど。
9頭1編成体制で一日で数万km移動するのって、普通にヤバいと思うんだよね。
365日配送に切り替えるとか、
世界各地に中継点置いて、トナカイ配備して、リレー方式にするとかさ。
働き方改革…しようよ?
コスト削減も程度を考えないと。
世界中のお父さんお母さんからの集金額、少し上げても文句は言われないと思うよ?
それとさ。
そもそもさ?あのソリ、浮くじゃん?
僕たち、ただの哺乳類だから浮かないよ。
そうなると、浮上装置はソリの方にあるよね?
もしくは爺ちゃん本人?
とにかくオーバーテクノロジーの塊だよね?
だったらさ、そのテクノロジーでソリを自走させることも、できるよね?
僕たち、要らないよね?
ついでに話を戻すと、ちゃんとしたヘッドライトも付けられるよね?
うん。ちょっとね、怒ってるよ僕たち。
僕たちの頑張り、要らなかったんじゃん?って気がついた時、
皆で「マジかぁ〜〜」ってなった。
古風な出で立ちに僕たちも長年騙されてたけど、
爺ちゃん、超大富豪で超天才技術者だよね?
そう考えれば色々な謎にも全て説明がつくんだよね。
もう気がついたからね?
むしろ気がつくのが遅すぎて恥ずかしかったよ。
子供たちの夢のために、伝統とか様式美を大切にするのはもちろん大事だけど、
安全とか労働環境は、時代に合わせてアップデートしていくべきだと思うよ。
僕もそろそろ他のトナカイを抑えておけなくてさ。
ごめんね。
よろしく頼むね。
**********
「あ、サンタさんだ!」
「どれ…あー、サンタのソリだねぇ。
あれ?今年はソリにトナカイ達も載ってるよ。
なんでだろうねえ?」
「サンタもトナカイも楽しそうだね!」
その年、光る粒子を播きながらクリスマスの空を駆ける…
そんなサンタさんの新しいソリが、世界各地で見られたそうです。
おしまい




