第三王子とその側近は頭が足りない
リミサ王国の第三王子には婚約者いるが、彼はそれを気に入らないでいた。
なぜなら、その婚約者は田舎の産まれで、さらに父親は公爵の次男ながら、花屋の娘と一緒になり、公爵家から追い出されたから。だが、彼らが亡くなると、何故か現公爵は彼女を養女に迎い入れる。
だからこそ、この卒業式で宣言したければならなかった。
「リュミサ、私はお前に婚約破棄を宣言する」
リュミサと呼ばれた藍色の髪の毛の彼女は首を捻った。
「あなたが、私に婚約破棄を宣言するってですか」
「そうだ。お前みたいな、田舎者が王族であるこの私が本来なら婚約できない筈だろ」
その言葉に、彼の周りにいた数人は頷いたが、その他の者達は呆れ顔になる。
「殿下、私が生まれ育った場所は田舎ではありません」
リュミサは王子を静かに見つめた。
「なんだと」
王子がリュミサを睨みつけると、一人の男性の声がする。
「なにをしているのですか、ダスガサ殿下」
ダスガサと呼ばれた王子はその男性を睨みつけた。
「エリク、貴様、何故此処にいる、お前は俺から、二度と此処には来るなと言った筈だ」
「それは、陛下からお呼び出しをされたので」
エリクと呼ばれた男性はダスガサに静かに言う。
「なんだって、親父にか」
「はい、それと殿下、此処では、陛下ですよ」
ダスガサの言葉にエリクは注意をした。
「たしかに、そうだが、どうして、お前が、親父から直接、声がかかる」
「それは、私の母親が陛下の双子の妹だからですよ」
その言葉にダスガサをエリクを凝視する。
「なんだと、お前が、俺の従兄弟だというのか」
「そうだよ。それに、彼女の生まれ故郷は田舎ではありません、彼女はカリナテ領のテリス地区の出身ですよ」
ダスガサはそのことを聞いて首を捻る。
「なんだ。それは何処だ」
「適度なことを言うな」
ダスガサ達がそんなことを言っていると、エリクは頭を抱えた。
「適度ではありません、テリス地区はサクダム王国とラダグン王国の二カ国の輸出入の中継地点として栄えています」
「なんだって、サクダムとラダグンといったら大国ではないか」
ダスガサの周りにいた一人が呟く。
「知らなくても当然か、ダスガサが何も言っていなかったからね」
エリクがダスガサを呆れて見つめた。
「お前、急に殿下を呼び捨てしやがって」
ダスガサの周りの一人がエリクを睨む。
「ダスガサは昨日、廃嫡が決まり言い渡されることを招集されて知らされた筈だったけど、本人が来なかったからね」
エリクは淡々と言った。
「そんな、俺が廃嫡だと」
ダスガサは呆然となった。
「そうだよ。婚約者をどれだけ、無視していたか、それに、もう一ヶ月前に、婚約は白紙になっているのを知らないし」
エリクのその言葉にダスガサは呆然とする。
「いきなり、婚約を白紙にするってひどすぎるのでは」
周りの一人が言うと、クリスは静かに言った。
「これは、いきなりではないよ。これも、何回も招集がかけられているのを無視した結果だよ」
ダスガサはそのことを聞いて、思い出す。
「まさか、あの呼び出しは、そのことを知らせる為だったのか」
そのことを聞いたエリクは呆れてしまった。
「お前な、何だと思っていたのか」
「だってよ。その田舎者と結婚するとは、降格ってことだろ」
ダスガサはリュミサを睨みつける。
「なにを当たり前のことを言っている。お前は第三王子だし、お前の王位継承は五番目だから簡単に王様にはなれない」
エリクは当たり前の様に言った。
「そんな筈はない、第三王子殿下だぞ、それが継承権が五番目だと」
「我が国にも、女系にも継承権があるからね」
ダスガサの周りにいた者達の一人が文句を言うと、エリクの傍にいた男性が言う。
「それでは、第一王女と第二王女にも継承権があるのか」
「当たり前だろ、第一王女は第一子、第二王女はダスガサの上にいるから継承権は五番目なのさ」
エリクが答えた。
「たしかに、姉貴達がいるけど、他の国は男性上位の所があるぞ」
ダスガサの周りの者が言う。
「それは、少数だよ。女系にも継承権があるのは多数だよ」
それは周知の事実、学校で学ぶべきことであるが、彼らはサボりがちだったので覚えていなかった。
「いくら、王位継承がうすい第三王子の側近といえ、一般常識を覚えていないと大変ですよ」
エリクの言葉を聞いたダスガサとその側近は彼を睨みつける。




