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第73話 魔法とは?


「間違っているだと?君は・・・ふっ。奴隷に落ちぶれた元伯爵令嬢のレーナくんではないか。で、そんな君が私に文句を?」

「文句ではありません。あくまで指摘です」


明らかに見下した態度を取るアリオスに対して、特に気にした様子のないレーナ。


「指摘、だと?たかだか一学生に過ぎない君が、私のような魔法を追求してきたものに意見を言うなど馬鹿だろ。何?私の考えが本当に間違っていると言いたいのかね?」

「ええ、そうです」


アリオスはレーナの返答に顔を顰める。


「本当に言っているのか?だったら本物の馬鹿だな。いいか、魔法学会においても魔法詠唱派が支持されている。魔法は詠唱が長いほどより強い魔法を放てるそれが常識だ。まあ、君には分からないだろうけどね」

「では、教えてください。どうして長い詠唱が必要なのか?」


レーナは表情を変えずに聞く。


「さっきから言っているだろう!詠唱は魔力から魔法に変える神聖なもの。どんな魔法でも長ければ長いほど威力が上がるのは普通のことだろう」

「ですから、その原理を聞いているのですよ」

「何!」


なるほど。


確かに、さっきから当たり前当たり前と言っているが、詳しいことは言っていない。


「そ、それはだな・・・君たちには難しいんだ!」

「いいえ、そうではありませんよ」


レーナは淡々と答える。


「貴方方、詠唱派の言い分は長ければ長いほど魔力が集まりやすい。魔力がより変換されやすいと仰っているのですよね」

「!あ、そうだ」


レーナは続ける。


「ですが、それだと説明が付かないことがあるんですよ」

「何だ?」

「簡単なことです。どうして変換されるのかと?」

「は???」


アリオスが首を傾げた。


「詠唱の始まり方は全てが同じということは無いです。にも関わらず魔力が魔法へと変換します」


確かにそうなる。


詠唱とは詠文と詠発に分けられる。


詠文は魔力を物質化するものだが、それは一定ではない。


別々の詠文にも関わらず変化する物質が同じ場合もあるし。逆に同じ詠文の始まりにも関わらず別々の物質が作り出されるときもある。


具体的言うと、『我が元に集い』という始まり方をする魔法がある。

この魔法はいくつか詠発が存在する。


水魔法の【ウォール・ホリー・グラン】や火魔法の【ファイレス・ホリー・クロス】など。


「これについて、どう説明されます?」

「そ、それは・・・」


レーナが詰める。


「確かに詠唱は大事かもしれません。でも、先生の考えは間違っています。先生は何級まで使えますか」

「上級と一部の聖級だ!君はどんぐらいなんだ。どうせ中級か―」

「全属性の聖級です」


「「「はぁぁぁ!!!!!」」」


講義室全ての生徒が声を上げる。


アリオスも驚きのあまり口をあんぐり開けてしまう。


「あ、ありえない!君はいくつだ!」

「十三です」

「だとしても、あり得ないではないか」

「試しても構いませんよ」


レーナの言葉を疑うアリオスだが、レーナの自身たっぷりな言葉に追求ができない。


「だ、誰に教わったんだ!」

「私の主人です」


!!!


おいおい、勝手に人の名前を出すな!


「いや、そんなことより。君が聖級を使えるからって何だって言うんだ!」

「私はほとんど全ての詠唱を知っています。その中には上級より短い詠唱にも関わらず威力が五倍ある魔法もあります」

「・・・・・・」

「恐らくですが、詠唱派の方々の大半は聖級以下では無いのでしょうか?」

「うっ」


図星をつかれたのか顔を顰める。


「聖級では短い詠唱のものがよくあります。ですから、貴方の考えは間違っていると思います」


アリオスは何も言えずに押し黙る。


「ですから、私が思うに一番重要なのはイメージです」

「イメージだと。まさか君は想像派なのかね!」


想像派とは魔法学会にある派閥の一つ。


魔法学会の2大派閥が詠唱派と魔法陣派。


詠唱派は、魔法詠唱こそが最も重要だと考える派閥。


魔法陣派が、魔法を発動させたときに出る魔法陣の形こそ重要であると考える派閥だ。


そしてその他にも色々小さな派閥があり、その中に想像派がある。


まあ、小規模でほとんど相手にされていない派閥だ。


「想像派とは少し違いますが似たような考えです」

「はっ、何を言い出すかと思えば、あんな馬鹿共と同じ考えなのか」


想像派は、所謂魔法は想像で作り出すという考えだ。


魔法というものを想像するという抽象的な考えのためあまり支持されていない。


だが、僕はこの考えに同意をする。


なにせ、


「そうでしょうか?魔法イメージするだけで無詠唱で魔法を出せるのですから」


「「「は!?!?!?」」」


・・・なんで言うんだよ!


「ですよね、ルイ様」


なんでそんなドヤ顔をするんだよ!


こちらを見て笑いかけるレーナ。


ああ、もう仕方ない。


僕は立ち上がった。


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