表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/256

第72話 初授業


色々会った翌日。


遂に本格的な授業が行われることになる。


馬車で登校してきた僕は、昨日と同じ席に座る。


しばらくしていると。ナータリがヒソヒソよ寄って話しかけてくる。


「ねえ、あんた」

「ルイ様と呼べ」

「嫌よ。それで、あの腰巾着君はどこにいるの?」


無礼な呼び方をやめず、聞いてくる。


「腰巾着?ああ、アルスか。アルスは今僕の仕事をしてくれているよ」


本来であればアルスはこの場にいるはずであるが、今隣にいるのはレーナだけ。


実はリーダーという役目は結構雑事が多く、面倒くさいものだ。


当然副リーダーに指名したアルスに、僕の分の仕事をしてもらっている。


「あんた、彼は弟でしょ」

「その前に従者だ」

「はぁ!?イカれた考えだね。レーナ、あんたもそう思うでしょ」


隣で静かに読書するレーナに話をふる。


話を振られたレーナはしばし考え込み、答える。


「まあ、それがルイ様なんで」

「そうだとも」


その答えに呆れたのか、ナータリは何も言わずに席に戻っていった。


「あ、そろそろ時間ですよルイ様」

「教室移動のか」


入学初授業が、まさにピッタリの魔法の授業。


複数クラス合同で大きな講義室で行われるらしい。


僕ら(アルス抜き)は時間に間に合うように教室を出た。



集められた講義室は、黒板を下に階段状となっている作りをしていた。


既に十数人の人々が来ていて、友達同士でおしゃべりをしていた。


僕らは中腹あたりの机に腰掛け、始まるのを待った。



アルスが入室したと同時にチャイムが鳴り、授業が始まる。


「お疲れ様です」

「ええ、まあ大変だったよ」


レーナに答えながらアルスはチラチラとこちらを見てくる。


鬱陶しい!


僕がアルスに一言言おうとした時、教壇の前に立った教師が話し始める。


「え〜諸君。魔法の授業を務める事になったアンドレだ。よろしく」


クラスの担任、アリオスとは違うネッチこそうな陰湿顔の教師。七三分けの髪型で、目の下には隈ができている。


「この授業を受けていいのは本来魔法の心得のある高貴な者だけなのだ。遥か昔からある魔法と呼ばれる特別なもの。そう、歴史は―」


話を切り出したかと思うと、何故か魔法史の事を語りだしてきた。


魔法の授業と言っても三つある。


魔法、魔法史、魔法研究。


魔法は実戦などをすることを想定した授業。


魔法史は魔法の歴史を勉強する座学だ。


魔法研究も座学に近く、魔法陣の仕組みなどを理解すると言ったものだ。


なので、本来魔法史をここで語る必要は無いのだが・・・


「―――だから、平民や下級貴族がこの授業を受けるだけでありがたいと思うように。では、本題に入っていく」


なるほど、この教師は平民反対派と呼ばれる貴族主義者の人だな。


気が合いそうだから授業が楽しみだ。


「新入生には難しい問題だが、一つ問う。魔法を発動させるにおいて一番大事なものは何だと思う?おい、そこの平民」

「へぇ?」


最前列にいたリリスが差される。


「え、え〜っと魔力?」

「そんな事ではない。それは当たり前の話だろ。これだから平民は」


そう罵倒されてリリスはしゅんとなる。


まあ、精霊術士に分かるわけがない。


「他に、誰かいないか?・・・はぁ〜では答えを言うぞ」


僕?もちろん知っているよ。


ここはリーダーとして手をあげようかな〜―――


「魔法に大事なのはずばり、詠唱の長さだ!」


・・・・・・え!?!?!?


「へぇ〜そうなんだ」「言われてみれば、長いほど威力高いよな!」「為に成るな」


周囲の驚きのざわめきを聞いて、満足そうにうなずくアリオス。


いやいや、ちょっと待て。どういうことだ?


「詠唱は魔力を魔法へと変える、言わば神聖なることなのだ。遥か昔に神が我々に与えてくださったことだ。これは、長ければ長いほどより魔法陣が組み立てることができる。だから、級が上がれば上がるほど長い詠文と詠発が必要になってくるのだ」


「なるほど!」「分かりやすい!」「為になった!」


そんな声が飛び交う。


だが、僕はツッコみたくなる。


それを本当に言っているのかと。


どう考えても違うだろ。馬鹿なのか?嘘を教えようとしているのか?


そんな僕の苛立ちを感じ取ってか、はたまたただ単純に指摘したいのか、正義感からか、レーナが手を上げた。


「すいません、それって間違っていませんか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ