表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/256

第52話 親の悩み (ラノルド視点)

公都の中心に位置する公爵邸。


その中でも中心的位置にある大きな書斎に、金髪の髪をオールバックしたちょび髭の生えた男が頭を抱えていた。


男の名はラノルド・デ・ブルボン。

今代のブルボン家の当主だ。


彼は七年前、ルイが四歳手前の時に当主となった若当主である。先代で彼の父、ルイの祖父に当たる人は、早々に息子に隠居して帝都で優雅な暮らしを送っている。


根は真面目なラノルドは若いながらもここまで領地を発展させてきた。


多くの問題を抱えながらも父から受け継いだ領地を頑張って守ってきた。


そんな彼に新たな問題が出来てしまった。



「どうしてあんな子に育ってしまった・・・」


自分の子でブルボン家嫡男、ルイのことで頭を抱えていた。


幼い頃は利発的で将来を期待できる子だった。


もちろん、今も同年代よりも明らかに大人びている。だが、


「思想が強すぎる」


椅子の背もたれに倒れかかり、天井を見つめる。



 貴族絶対!家柄一番!



そんなことを常日頃から言っている息子。


仮にも弟であるアルスに対しても、元貴族であるレーナにもあくまで主人と主従としての関係をしている。


奴隷だって一人で買ってきて、貴族を潰すまで痛めつけ、屋敷を焼いて・・・


極めつけは数ヶ月前の十歳の人が集められたパーティー。


何でも、複数の貴族の子息やあの第三皇子にまで喧嘩を売ったとか。


問い詰めても知らん顔。


「もっと優しい子に育ってほしかった」


力を弱い人々に使う、平等で優しい子に育てたかった。


でも、自分の思いに反して、どんどん家柄第一主義が強くなってくる。


セバスの報告だと賄賂まで貰ったとか・・・



俺は流石に考え方を正そうとして呼び出したのだ。


つい先程、孤児院の件も絡めて叱ろうと思った。


だが、だが脅された!


あいつは親を脅したのだ!


アルスの実母について隠し事があり、俺がヨーハナに頭が上がらないことを良いことに!


本当はガツンと叱ってやりたい。


親の威厳を見せたい。



でも、叱る理由が見つからない。


ルイがこれまでやってきたのは、別に悪いことじゃない。


困っている奴隷を悪から助け、領地経営で新たな改革をして、孤児たちの教育も行い、魔物から子供を助ける。


思想や言動には問題がある。


だが、してきた行動についてはあまり責めることが出来ない。


「どうすれば良いんだよ」


当主になって、最も悩んでいるかも知れない。


それぐらい困っている。


ヨーハナかアルス、セバスに何とか言ってもらいたいが・・・


ヨーハナは親馬鹿だし、アルスは忠誠心凄いし、セバスは当主として問題ないと言うし。


「俺の味方が誰もいない」


学園に来年入学するが、不安でしかない。


なにか問題を起こすかも、やらかすかもと自分の子ながら確信してしまう。


「もし何かをやらかしたらあれをするか〜」


親としては普通に学園で過ごして欲しい。


だが、あの子なら必ず何かをやらかす。信じてあげられない。


だから、もしなにかやらかせば苦肉の策を出すしかない。


「あれは本当に俺ら貴族にはキツイものだ。ルイ耐えれるだろうか?」


自分も若い時経験したあれ(・・)を思い出し、嫌な記憶が脳裏に流れる。


自分の子供にはやりたくなかった。


だが、当主としてやらなければいいけないかも知れない。


「親と当主を両立するのはキツイは!」


そう、ラノルドは叫ぶのだった。


少年編 3.5章終


時系列がぐちゃぐちゃですいません。


リリス視点全て →  51話 → 52話 → 47話、48話

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ