第256話 捜査
何だかんだでリリスと手を組む(?)ことになった僕達は、オールドを連れて森の奥へと進む。
本当はオールドを連れて行く気はなかったが、異変を察知したのかいつの間にか僕達を追ってきていたらしく、途中で合流した。
他の護衛たちは森の入口で待機をしているらしい。
森の奥へとどんどんと入っていくと、昼間とは思えないぐらいの暗さをしている。
この懐かしい雰囲気は、2年前と似ている気がする。
周囲を警戒しながら進んでいると、不意にリリスが一本の木の前で止まる。
何の変哲もないただの木。
しかしリリスは、しきりにその木を触る。
「何だお前、木に対して恋愛感情を持つのか?」
「違うわよ!この木から精霊術の痕跡が感じるの」
・・・なるほど、道理で僕達は感じられないわけだ。
何か腹が立つ。
「おい、精霊術は僕でも習得可能なのか?」
「多分無理だと思うよ。これは魔力がない人しか扱えないから」
チッ、まあ劣等種だけが扱えるならいらないか。
「え〜〜っと、ここら辺に・・・!!!あった!」
手探りに何かを探していたリリスは不意に何かを触る。
すると眩い光が僕たちを包む。
その光に当てられてしばらく目を瞑っていたが、少しして目を恐る恐る開いてみる。
すると、いつの間にか遺跡の前に着いていた。
見覚えのあるボロボロの遺跡。
小高い丘の上にあり、周辺は闇のような森に囲まれている。
「ここが目的の遺跡なのね!」
「ああ、そうだ。一回来たことあるから分かる」
少し緊張が全員に走る。
「それで、これからどうするんだ?」
来てはいいものの、そもそもリリスの師匠がここにいるとは限らない。
・・・まあ実際いるのは知っているんだけど。
「絶対に師匠はここにいるはずよ!」
「何でそう断言できる?」
「勘よ!」
・・・本当に主人公というのは馬鹿だな。
「後は、師匠の精霊術の気配がする」
それは残念ながら僕には分からない。
ただ・・・
「ルイ兄様、囲まれていますね」
「ああ、そうだな」
僅かな人の気配が周囲からする。
リリスはそれに気付いていないのか、遺跡によって地面に手を置く。
だが、特に何も反応がないので周囲を探し始めた。
僕は時間の無駄だと思い、地面に入口のレバーが埋まっていることを教える。
「わぁ、本当だ!確かに僅かな精霊術の気配がするわ!」
んなこと言われても、分かんないんだよ!
クソ、何となくさっきから癪に障る。
レバーを引くと、遺跡の中に行くための通路が開かれる。
オールドは警戒のためにその場に残って、僕達は中へと入っていく。
相変わらず不思議な雰囲気の場所であり、方向感覚や時間感覚が狂う。
「おい、リリス!」
「え、な、何?」
遺跡に入ってから、どうしてか少し青ざめているリリス。
そんなことはどうでも良くて、僕は質問する。
「さっきから、変な雰囲気がする。時間感覚とかおかしくなるし・・・」
「それはこの遺跡内にかけられている精霊術が原因だよ」
まあ、だろうな。
「精霊術を扱える人、つまり魔力がない人しか進めない仕組みになっているんんだよ、きっと」
リリスを先頭に進んでいく。
途中、分かれ道とかがあったが、リリスは全く迷わずにどちらかを選択する。
「おい、どうして道が分かるんだ!」
「え、勘だよ!」
・・・このクソ主人公!
そんな当たるかも分からない勘を、今は信じるしかない。
もしこのまま出れなくなったら真っ先に殺してやる!
どんどん奥へと進んでいくと、道が少しずつ広くなっていく。
下へと降りていっているため、蒸し暑くもなってくる。
段々と、今度は怪しい雰囲気が漂っている。
そして入ってから2時間。
不意に行き止まりにたどり着く。
僕はよし来たとばかりに、リリスを殺そうとした。
しかし、その前にリリスが壁に手をかざした。
すると、何と壁が開き始めたのだ。
どうやら隠し扉だったらしい。
僕は魔法を打つのを一旦やめて、中へと入っていく。
そこには巨大な空間が広がっていた。
所々に何か実験をしたあとがあるが、一番驚いたのは正面にある巨大なゲージ。
中には真っ黒な何かがいた。
そしてその横で拘束されている女性(おそらく。性別がいまいち分からない)。
もう一人、こちらに気付いて手を振ってくる女性がいた。
僕はそいつを知っている。
学園の女教師、イルナだった。




