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第247話 襲撃


襲いかかってきた五人組は、何かを唱え始める。


僕とレーナは咄嗟に無詠唱で頭上にバリアを張る。


そして次の瞬間、大きな音とともに摩訶不思議な攻撃がバリアを襲った。


紫色の液体、青く輝く風、人間ぐらいのゴーレム・・・


それが瞬時に精霊術だと分かる。


「よし、やっ―――!!!」


バリアによって攻撃を防がれたことに驚く襲撃者たち。


僕らはまだ無傷。


全員が上を見上げてそれぞれの武器を構えた。


危険を察知したのか逃げようとする五人。


だが、彼らよりも先にオールドが先回りをして逃げ道を塞ぐ。


強い相手と感じたのか、反対方向に逃げようとする。


ちょうど追ってきたアルスに襲いかかる一人。


アルスを格下だと判断したのか、剣で襲いかかる。


だが、それをいとも簡単に防ぐと、切り返して軽く斜めに斬る。


体から血を流して気絶する一人を無視して、アルスは次のやつに襲いかかる。


四人となった襲撃者は一瞬の判断で散り散りになる。


北、南、東、西へと駆け出す。


南に逃げた奴は、何処からか現れたテラによって一瞬で捕まる。


そして麻痺の毒のついたナイフで切られてその場に崩れ落ちる。


東に逃げようとした奴は、オールドの一太刀で切り傷無く気絶した。


そして西に行こうとした襲撃者は、アルスを避けて僕へと襲いかかる。


剣の心得はあるので、一回二回打ち合った後、敵を戦闘不能にさせた。


そして最後に北へと逃げた襲撃者。


レーナは追おうとせず、何やら魔法を纏いながら片目をつぶる。


「何をやっている?」

「見ていてください」


そう言って弓のように、纏っていた魔法を逃げた奴に向けて放った。


魔法の線が襲撃者へと当たると、魔法が網のようになって体へと纏わりつく。


必死にもがくが、それも無駄で簡単に捕縛される。


「何なんだ、その魔法?」

「私が考えた新しい魔法です」


そう言ってニッコリと笑うレーナ。


「・・・その事については後で聞く。それよりも、こいつらをどうするか」


僕は気絶した襲撃者を見た。


この世界では貴重なはずの精霊術士が一気に五人出てきた。


つまり、この街には何かがあるということ。


「ルイ様、実は近くに前の調査隊が使っていた隠れ家があるのですが、そこで尋問しますか?」


オールドの提案を採用することにした。



二時間後。


隠れ家の地下にある拷問部屋の椅子に拘束していた一人が、目を覚ました。


猿轡をされていて、魔法で拘束されているため変な真似はできない。


僕が顔を見せると、こちらを睨みつけてくる。


「何も言いません」


すでに尋問をしていたアルスが少し残念そうに言う。


「拷問でもしろ」

「いいえ、この人は喋れないのです。正確には舌がありません。そして字も書けないみたいです」


元は、或いは今すでに奴隷なのか?


まあ、でも喋れないなら仕方がない。


確か、襲撃してきた時に叫んでいた奴もいるし、一人ぐらいは喋れるだろう。


そう考えて、他の奴らが起きるのを待った。



更に一時間後、唯一話すことのできた一人への尋問を開始した。


「なあ、何で襲ったんだ?」


僕の質問に答えない。


「盗んだ物は何処にある?」

「・・・・・・」

「お前らは誰だ?」

「・・・・・・」

「他に仲間はいるか?」


何も言わない。


ずーっと僕を睨んできて、口を噤んだまま。


いい加減疲れてきたので、まずは第一段階をすることにした。


「10秒お前が話さない毎に、仲間を一人ずつ殺る」


実際はやらないが、そう脅しをかける。


しかし、にやりと笑みを浮かべたまま40秒間口を噤んだ。


効果はなさそうなので、次の脅しをかける。


「次は、お前が10秒話さない事にお前たちの街を破壊するぞ」


待っている間に色々と調べて、こいつらのねぐらが街の中でも北西の場所であることがわかっている。


そこに他の精霊術士が住んでいる可能性がある。


しかしニヤニヤと笑みを浮かべたまま。


「はぁ〜〜〜何も言わないか・・・もしかして何かしらの手段で全てハッタリだと分かっているか」


聞こえるように言うと、一瞬反応を示す。


なるほど、後者の方が正しいか。


「仕方がない、ここでお前らを解放してやろう」

「え!?!?!?」


僕の言葉に、初めて口を開く。



さて、今度は僕が笑みを浮かべる番だ。



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