表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
242/256

第242話 主人公 (リリス視点)

「おめでとう、リリス」

「凄かったわ!」

「あのルイに一泡吹かせたじゃないか!」

「かっこよかったぞ!」


アレックス君、ミナスちゃん、フレッド君、ハンネス君たちが私の事を褒めてくれる。


[いい友達ができて良かったじゃないか]


クロがいじるように言ってくるが、私は気にしていない。


見事総合優勝もできて、最優秀選手として表彰もされた。


クラスメートとの仲も深めることができて、充実した2日間となった。



表彰式後は打ち上げがあって、ルイ君達一行以外のクラスメートたちで近くの店まで行く。


楽しく充実した3時間を過ごして解散となり、私は家へと帰ろうとした時。


不意に後ろから肩を叩かれる。


びっくりして後ろを振り返ると、そこには久しぶりに会うナーレちゃんがいた。


どこか雰囲気は変わっていて、にっこりと笑みを浮かべている。


「久しぶりね、リリスちゃん」

「そうね!2、3ヶ月振りになるかもね!」


私は嬉しくて少し声が上ずる。


最近はあまり会えていなかった、数少ない友人の一人。


[本当に少ないよな!]


クロの言葉は無視してナーレと話をする。


「体育祭で見なかったけど・・・」

「少し体調不良で休んでいたの。私に比べて、リリスちゃんは大活躍だったじゃない」

「そんなこと無いわよ。クラスメートの支えがあったからなの」


自分一人だったらここまで成長できなかった。


クラスメート、そして友達がいたからこそ、今私はここにいれる。


「相変わらず優しいね」

「そう?ありがとう」


少し雰囲気は違い、友達になりたての時と似ている。


「リリスちゃんはさ、将来何になりたいの?」

「???急にどうしたの?」

「いや、少し気になってさ」


何かをはぐらかすように目を少し泳がせるナーレ。


「・・・やっぱ質問を変えるわ。リリスちゃんはアレックス殿下をどう思っているの?」

「え!?!?!」


いきなり変わった質問に私は口をあんぐりと開けてしまう。


一瞬質問が理解できずに、少しずつ顔が火照っていくのが分かる。


[ヒュ~ヒュ~!どう思っているんだ!?]


煽ってくるクロを本気で殴ろうかと思っていた時、私の返答を聞かないでナーレちゃんはにっこりと笑う。


「いいよ、無理に答えなくて」

「え、あ、いや、」

「大体の事はわかったから」


そう言ってまた、にっこりと笑う。


何処か大人びたナーレちゃんを見て、どうしてだか咄嗟にこれまで思っていたことを言ってしまう。


「ね、ねえ!ナーレちゃんって何者なの!」

「???それはどういう意味?」

「どうして・・・いや、今の質問は忘れてくれる?」


自分でもどうしてこんな質問をしたのかは分からない。


ナーレちゃんはナーレちゃんなのに。


「分かったわ。じゃあ、またね」


そう言って、私とは逆方向に去っていく。


その背を見つめていた私は、しばらくして自分も帰路についた。




家に着いた時にはもう夜遅くで、宿屋のナルガさんはすでに寝ていた。


ドアを音を立てずに開け、ゆっくりと中へと入る。


入ってすぐのテーブルには、2枚の紙が置いてあった。


まず一枚目を手に取ると、それはナルガさんから私宛のものだった。


中には今回の体育祭について書かれており、読んでいてむず痒くなるぐらい褒めてくれていた。


[凄く愛されているな]

「うん、そうだね」


日頃から良くしてくれているナルガさんには、いつか恩返しをしなくては。


次に2枚目の手紙を手に取る。


差出人は不明の手紙・・・だけど、ナルガさんが置いているということは!!!


「師匠!」


学園に入学して以降、私は何度も師匠に手紙を出した。


だが、出した手紙の返事は未だに帰ってきていなかった。


私は嬉しさのあまり、少し目頭が熱くなる。


震える手を何とか抑えて、手紙を読もうとする。


だが、そこには一行だけしか書かれていなかった。



『助けて。例の森で』



意味のわからない、端的な言葉。


ただ分かるのは、師匠が何かしらの危機に瀕しているということ。


[これ、本当なのか?]


クロは何かを疑っているけど、これを書いたのは師匠だということを私は確信している。


見間違えるしか無い。


だとしたら・・・一体師匠に何があったのだろうか????




帰国編 2章終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ