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第237話 武闘大会② (マリー視点)

一つお詫びしなければならないことがあります。

リリスの妹であるマリーが、途中でマリーアという名前になってしまっていまいました。正しくはマリーです。


ご指摘を受けてすぐに訂正しましたが、まだ訂正できていない部分があるかも知れません。もし見つけましたら、報告していただけるとありがたいです。



今頃兄さんは、驚いているんだろうな。


そう思いながら客席の方を見ると、何やら騒がしい1団が目に入る


私が武闘大会に参加できた理由。


それは単純で、前のクラスに頼まれていたから。


2年の最初に3年のクラスへと上がったため、一応は制度的に行けるらしい。


1年間とは言え、過ごしてきた仲だから断るわけにも行かない。


何よりも、兄さんを驚かせることが出来た。


どうして私が出場者に詳しかったのか、などを考察して結論に辿り着くんだろうな。


兄さんは昔からそういう人だ。


少し抜けているところがあり、小さな疑問をあまり深く考えない。


ただ、その問題が大きくなった瞬間に急に考え出す。そして結論へと辿り着く。


兄さんは決して頭は悪くない。


私もそこそこ名門の大学に行けたのだから、同じ血を持っているから頭は悪くないはず。


でも、兄さんは慢心をしてしまっていた。


勉強を小さなことだと捉えてしまい、何も対策をしていなかった。


どこから私達の関係は崩れたのだろうか?


あの日なのか?、それともあの日なのか?


後悔のような寂しさのような、複雑な気持ちが蠢く。



「フフフ、貴方がマリーですか?」


目の前のローブを身に纏う金髪のイケメンが話しかけてくる。


対戦相手のスタールだ。


「ええ、そうよ。先輩に知られているとは光栄です」

「まあ、な。色々と有名だから」


私が無詠唱を使えることかな?


それとも主人公であるリリスに負けたことかな?


または兄さんの取り巻きとしてかな?


「僕はあまり女性を傷つけたくないんだよ。あのルイ・デ・ブルボンのような卑劣さは持ち合わせていない」


兄さんが1年の時にリリスをボコボコにしたことを言っているのだろう。


正直それを聞いた時は驚愕した。


でも、兄さんらしいかも知れない。


「女性は皆美しい!だから、傷つけるわけには行かないんだ。どうだ、降伏してくれるか?」


キザったらしいセリフを吐いて髪をかきあげる。


観客席の女性から声援が送られる。


私を気遣った発言だろうけど・・・・もの凄くムカつくわ。


女性だからと理由で私のしたいことを邪魔する、前世の両親みたい。


兄さんは確かに家柄を重視する差別主義をしているかもしれない。


でも、少なくとも男だろうと女だろうと、有能な人だったら平等にこき使う。


女性だから戦いに参加するななんて言わないし、これだけしてろなんて言わない。


まあ、家柄主義者だからプラマイゼロかも知れないけど。


思わず笑みがこぼれる。


「さあ、早く―――」

「嫌ですね、降伏なんて。やるわけ無いですよ」

「・・・僕は戦いになったら手加減は出来ないぞ」

「ふふふ、それはありがたいです。なるたけ抵抗していただけないとあっさりと倒してしまいますから」


何か気分が晴れていく。


私はやっぱり兄さんの妹なんだ。


「本当に傲慢だわ。まさか女性が男性よりも弱いと思ったのかしら?」


始まりの合図とともに、無詠唱で魔法を放つ。


「【ハイブレス】!」


渦巻いた突風がスタールへと襲いかかる。


それをバリアで防ぐと、モゴモゴと何かを唱えだす。


魔法を放とうとしているのを察知して、腰に挿していた剣を投げつける。


それを右に飛んで避けたが、唱えるのをやめない。


「【ワープ】」


私が小さく唱えると、一瞬でスタールの後ろへと移動する。


目の前から消えた事に驚くが、私が背後にいるのに気付いていない。


拳に力を入れて背中を思いっきり殴るど、うめき声を出しながら数メートル吹っ飛ぶ。


一瞬の出来事の後、大きな歓声が起きるが、一人だけこちらを睨みつけてくる人がいる。


「きっとどうして扱えるのか、兄さんは考えているのだろうな〜」


兄さんからは一切教わっていない。


ただ噂を聞いて、自分で開発しただけ。


これで私という存在に疑問を深めていく。


そしていつか転生者ということに気付くかも知れない。


・・・私からは正体を明かさない。


明かした時、何があるのか起こるのかが怖いから。


今はのびのびとして生きたいから。


落ちている剣を拾い上げると、そのまま痛そうに座り込むスタールの元へと歩く。


そして剣を相手の喉元へと突きつける。


「まさかこんなにあっさり終わるなんて、家の恥だ」


意外にもどこか清々しい。


「僕の降伏だ。君を舐めていたこと、謝るよ」


その言葉を聞いた審判が大きな声をあげる。


「勝者、マリー・デ・エヴルー!」



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