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第202話 恒例の買い物

仕事を何とか終わらせた僕らは買い物へと出かけることになった。


恒例のアンナへのプレゼントのためだ。


公都と帝都では買い過ぎていて怒られたから、今回は自制しよう。



「アルス、ここの名産は何だ?あまり知らないのだが」


一年間ここで過ごしたが、正直この国のことは知らない。


あまり興味がなかったからな。


「そうですね、食べ物でしたらハンバーガーと呼ばれるものがあります」


な、何だと!


まさか、前世にも存在していたハンバーガーなのか?


「ど、どんな食べ物だ?」

「ひき肉に卵などを混ぜた物を円形に焼いたハンバーグを野菜と一緒にパンで挟んだものです」


まんまそうだな。


実はハンバーガーなる物を僕は前世でも食べたことがない。


だって、あれは庶民の食べ物だから僕は食べてこなかった。


まあ、数万はするハンバーグは何回も食べたことがあるが(自慢)。


だけど、一度ぐらいは食べてみたいな。


「よし、昼はそれにしよう」


本題のお土産はどうするか。


「・・・テラをお土産にするのはどうかな」


本人を含めた三人が驚いた表情をする。


「アンナは動物好きだからな」

「それで何でニャーなのよ!!!」


猫は人間の言葉を話さないぞ。


「ニャーは猫じゃない、獣人ニャ!」


・・・こんな凶暴性のある猫はあげられない。


耳と尻尾をピン立てて猫のように威嚇するテラを見て諦めることにした。


「ルイ様、動物をプレゼントするいう発想は良いと思いますよ」

「確かに、アンナならきっと喜びますよ」


レーナにアルスが続く。


この二人は僕よりもアンナに好かれている奴らだ。


その言葉に信頼感はあるが・・・僕は嫉妬するぞ!


「で、この国にしか生息していなくてペットにできる生き物はいるか?」


僕が聞くとしばらく考え込んでからアルスが答える。


「ホワイトキラーとかですかね?」

「何なんだ、その物騒な生き物は!」


白い殺し屋とか、どう考えてもやばい生き物だろ!


「近くにペット屋があるので行ってみますか」


アルスに連れられて僕らは数分歩いて向かった。



目的のペット屋に到着した僕らは早速中に入る。


店内は馬小屋のような臭い獣臭が漂う。


だけど本当に普通のペット屋だ。


変わったところもない、本当にホワイトキラーなる生き物がいるとは思えない。


「店長、ホワイトキラーって売っていますか」


アルスがレジにいる男に質問する。


「ん?ああ、奥にいるぞ」


そう言って、店長が椅子から立ち上がり店の奥へと案内してくれる。


奥のこじんまりした部屋に通されると、そこは店内よりも少し冷えていた。


「こいつがホワイトキラーだ」


店長はそう言いながら部屋の隅の方にあった籠を持ちあげる。


その中にいたのは――――


「「「鳥?!?!」」」


まん丸とした体に生える白いふわふわな羽毛。黒いその羽はかすかに赤みがかっている。


何より目を奪われるようなクリッと目。


こちらをじーっと見つめてくるその目に、思わず引きずり込まれそうになる。


可愛い・・・


「これが、ホワイトキラー・・ですか」


レーナが不思議そうに首を傾げる。


「何と言うか、可愛らしい鳥にしか見えないのですが」

「そうだ、これがホワイトキラーと呼ばれている鳥だよ嬢ちゃん。本当はエナガという鳥なんだけど、あまりの可愛さから人を殺すほどだと言われたからキラーって呼ばれてるんだ」


なるほど、確かに可愛いと言わざるをえない。


不覚にも、僕もその可愛さに目を奪われてしまった。


そのもふもふをぜひ撫でてみたい。


「よし、買うぞ」


アンナは絶対喜んでくれるはず。


「高いが大丈夫か、坊主?」


坊主って無礼なやつだ。


ていうか、僕からしたらはした金に過ぎないからな。


僕はアルスに目配せをして金を出させる。


「毎度あり。基本的な飼い方の説明書の本も買っておけよ。あと、重要なのは室内の温度というのを忘れるな」


僕は飼い方の本や諸々のセット買い、その場を後にした。



きっとアンナは喜んでくれるな!


・・・そのまま屋敷に戻ったため、ハンバーガーを食べるのを忘れた。


まあ、いいでしょう。


エナガ=シマエナガのことです。

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