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第144話 簡単!




「ちょっと、ルイ!これはどういうことよ!」

「ゴフッ!!」


久しぶりの家でのんびりしていると、突然部屋に母ヨーハナが侵入してきた。


紅茶を楽しんでいた僕はびっくりして思わずむせてしまう。


「は、母上!急にどうされたのですか!?」

「どうされたじゃないわよ!留学させられるって本当なの?!」


母の目が怖い。


「もし無理やりだったらちゃんと言ってね。私がしっかりその話は潰しておいてあげるから」


目が怖い。


そしてこの母ならやりかねないし、やるだろう。


「父上から事情を聞いたのではないのですか?」

「聞いたわ。でも本当にするとは思わなかったわ。しかも、あのアメルダ民主国に行かされるなんて!あの人、絶対許さないわ」


・・・父上、早くお逃げください。


しかし、母の説得を父に任せて正解だった。


お陰でこちらには矛先が向かなくて済んだ。


その後、何故か僕への説教も始まったがすぐ終わり、部屋から出ていった。


「おい、アルス。何故隠れている」


僕は部屋の隅の方に目線を向ける。


しばらくして、紅茶のカップを持ったアルスが姿を現す。


「お前、母上が入ってくると分かっていたな」

「まあ、奥方様が帰ってきたことは掴んでいたので」

「・・・何故教えなかった」


首をすくめるアルス。


「まあ、いい。それより買収は着々と進んでいるか?」

「ええ、まあ」


アメルダ民主国に行くうえで大事なことは、政府高官や経済界の重鎮を買収することだ。


「すでに、大物政治家と呼ばれている数人は買収し終えました。経済界の方もいくつかの大手商会トップを取り込みました」

「ご苦労」


こいつらを引き込むなんて簡単だ。


金で釣るか、弱みを握れば良い。


そして弱みも握る方法の方が引き込みやすい。


前世では多くの国の要人や大物たちとも会ってきた。


その経験が多く活かせている。


いつも何処ら辺で誰と飲んでいるか、不倫しているか、危ないことをやっていないか。


情報収集力を活かして全てお見通しだ。


世界が変わっても、こういう権力を握っている輩の行動パターンは変わらない。


「ルイ兄様は本当にすごいですね。別の国の人にもかかわらず行動を把握できるなんて」

「簡単だよ」


本当に簡単だ。


「ところでレーナは何をやっている?」

「ああ、学園での後処理とナータリへの指導です」


指導?ああ、ナータリがナーレに変身するためのか。


「さて、こちらも行く準備をしなくてはならないな」

「はい、そうですね」



留学に行くメンバーは四人。


僕、アルス、レーナ、セバス。


セバスは左遷という形だ。


アメルダへの道のりはまあまあある。


馬車で港まで約五日。


そこから船で十日かけて向かう。


アメルダ民主国の首都、ラウシルトンに着いた僕らは早速市街を馬車で進む。


帝都とはまた別の賑わいがあり、人がわんさかいる。


露店での商売は少なく、一店舗でそれぞれが行っている。


「どこか別の世界に来た感じがします」


アルスの呟きに、何故かドキッとする。


「活気がありますが・・・正直に申しますとどこも高級商店街な感じがします」


言われてみれば確かにそうだ。


帝国の普通の露店はどこか汚らしく、高い服を着て行きたいとは思えない品のなさがある。


だが、この商店街は店はそこまで豪華ではないにも関わらず、綺麗にされている品のある店ばかり。


ここら辺は前世とよく似ている。


前世で海外に行ったことはあるが、そのときに逆のようなことを感じたことがある。


「そうだ、これから入学するところは何処なんだ?」

「この国では最高峰のスタンフォルス高等というところです。本来は競争倍率の高い試験を受けなくてはいけないのですが、普通科という学科は金持ちが多くいると聞いてもしかしたらと思い調べてみたら、やはり賄賂で入った人が多かったです」

「そんなに倍率高いのか?」

「ええ、本来は普通科も進学科もそうです。大体普通科で学園の十倍、その更に十倍あります」


百倍かよ!


賄賂って偉大だな。


「新学期から二年生として入学か」

「ええ」


僕を殺した前世と似ている国。


そこで、家柄がどれだけ正しいか。


見せつけてやる!


次回、学園編最終話!

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