表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/256

第134話 扱いやすい?


「本当に成功するなんて」


詠唱を教えてもらって一週間。


何とか無詠唱で発動できるまでは出来た。


ラオスは目の前に展開されている魔法陣をまじまじと見る。


「ちゃんと行けるのか?」

「ええ、しっかり家の屋敷と繋がっています」


訝しむラオス。


「まあ、とりあえず入って」

「お、おい、急に!」


思いっきり図体のでかいラオスの背を押す。


ラオスはそのまま魔法陣の中に吸い込まれていく。


「明日、迎えに行くんで」


僕はそのまま魔法陣を閉じた。


向こうで家族と久しぶりの再会をするといい。



これから僕のすることはもう無くなった。


リリス対策も万全だし、後はナーレに扮したレーナがどれだけ情報を持って帰れるか。


僕自身もリリスがどれだけ強くなっているか分からない、想像がつかない。


使える精霊術にはいくつか段階があり、複数の精霊と契約可能。


小説内において、リリスはいくつかの精霊と契約をしていた。


時、水、雷・・・。


ただ一年生の段階では、まだ時の精霊クロノスとしか契約していなかったはず。


だとするとあの、時を止める術に気をつければいい。


それ以外はあまり脅威ではない。


まあ、でも窮鼠猫を噛むというし一応は気をつける。



「ちょっと、この大量の指示はどういうことよ」


ラオスを送り届けて一段落した僕は自室で紅茶を楽しんでいたが、そこにナータリが駆け込んでくる。


「何のことだ?」

「何のことじゃないよ。何よこの大量の指示!派閥の管理に魔法協会の監視、商会との交渉、リリスの監視などなどって。全部一人でやらないといけないの!」

「大丈夫だ。何人か信頼できる奴がいるから頼ると良い」

「そういう問題じゃないのよ!」


じゃあ、どういうことだ?


「何で私がここまでやらないといけないのよ!」

「当たり前だ。お前はうちの派閥の幹部だぞ」

「なりたくてなってないわよ!」

「ああ、そうだ。勝手に入ったんだ」

「うぐっ」


まさかこいつがここまで使えるやつだとは思っていもいなかった。


自業自得で入ってきた時は、ただおっちょこちょいで特に使える場所は無いと思っていた。


第一印象は高飛車(人のことは言えない)でうるさい少女程度にしか思ってもいなかったし。


まさか意外にも従順なやつで、伯爵家の長女だけあって有能だ。


人材としてはS級だな。


「貴方、今失礼なことを考えたでしょ!」


こういうところはアルスとレーナに似てきた。


これが三人、いやセバスを入れて四人になると最悪だよ。


「ていうか、この最後の指示が意味わからないわ!」


まだギャーギャー言っている。


「このナーレを演じるってどういう意味よ!」

「そのままだが?」

「それが意味わからないのよ!」


何が分からないんだ?


「レーナがリリスの友人として演じているナーレっていう人。リリスを監視する役割があるんだ。レーナは僕とともに留学するから、帰ってくるまで繋いどいて」

「どうやってよ。顔も髪も違うのよ!」


確かにそうだな。


レーナはストレートの銀髪だが、ナ―タリは縦髪ロールの茶髪。


だが問題はない。


「変身魔法を使えばいいんだ」

「それって、姿や顔を変えれる?」

「知っているのか?」

「ええ、一度騙されそうになったわ」


実体験済みか。


「あれをお前が使えばいい、声を変える魔法もあるし、喋り方も寄せればいい」

「・・・・あんな高度な魔法、使えるわけ無いでしょ!」

「高度なのか?」

「そうよ!貴方と一緒のレベルにしないでよ」


存在自体は前から知っているんだな。


「出来ないと?」

「ええ、そうよ」

「なるほど、分かった」


僕は納得する。


「魔法名門のフットナ家の長女が出来ないのか」


僕の言葉にピクリと反応するナータリ。


「フットナ家も地に落ちたものだ。たかだか変身魔法ぐらいを扱えない長女がいるなんて、過去の栄光だけしか無い伯爵だな」

「いい加減にしなさい!!!」


目を真っ赤にしてこちらを睨むナータリ。


「家を侮辱することは、いくら貴方でも許さないわよ!」

「ふん、だって出来ないのだろ」

「―るわよ」

「何て?」

「出来るわよ!フットナ家の長女である私が変身魔法ぐらい扱えるわよ!」


ちょろいな。


元高飛車な奴だけあって、侮辱されたら引き下がれない性格だ。


本当に扱いやすい!




アルスとレーナがこれを聞いたら、これを聞いたらこう思うだろう。


「それは貴方も同じだ」、と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ