表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/256

第123話 交渉②


「これ、本当に今日一日着なければならないのですか!?」


不機嫌さ丸出しでアルスが言う。


長居してはいけないと帰ったブルボン家一行だが、着替えをしようとしたアルスを僕は止めた。


「ああ、面白そうだからな」


僕に対しても睨んでくる。


「これから大事な話し合いですよね」


ああ、そうだ。


閉幕式の前に第一皇子に呼び出しをされたんだ。


第一皇子派からの勧誘は受けたが本人からはまだだったからね。


「その格好で行くぞ」


それから数時間。


行くとこも無かった僕は適当に教室で時間を潰していた。


そして三日目最後のパンケーキを出し終えたところで閉店となった。


そこから全員で片付け・・・は明日以降にやるため、各々休憩に入った。


そして僕らは別の校舎にある小さな小部屋へと向かった。



部屋の前に着いた僕らを出迎えたのは、あの生徒会長だった。


「くれぐれも粗相の無いように」


何故か注意をしてくる。


部屋へ入るとそこには第二皇子と話したときのように二つのテーブルと椅子が向かい合うように置かれていた。


反対側に座っているでっぷりとした男が第一皇子だ。


ガタイの良さそうな体つきではあるが、それを無駄にするポッコリ出ている腹。


手指には豪華な指輪をいくつもはめ、首からは高そうなネックレスを垂らしている。


「お初にお目にかかります、第一皇子殿下。ルイ・デ・ブルボンでございます」


僕の挨拶に満足そうに頷く。


「うむ、我こそはフランシーダ帝国第一皇子、モハッド・ド・フランシーダだ」


僕は下げた頭を上げる。


「それで、どういったご要件でしょうか?」

「まあ、そう焦るでない。ここには生徒会長もいるのだから、閉会式ぐらいずらせるぞ」


僕はとりあえず席につく。


それにしても目の前の男の姿は何だか・・・小説内でのルイに似ている。


ぶくぶくと太った挿絵を思い出し、心の中で顔を振る。


絶対こうならないぞ!


「さて、本題に・・・・?その前に、その後ろに控えているメイド服を着ている茶髪の女子は誰だ?」


モハッドが好色の目でそちらを見る。


「よかったら教えてくれないか?」


僕はやれやれと言った感じで教えてあげる。


真実を。


「あれは女装をした僕の従者で弟のアルスと申す者です」

「・・・・・・弟っ!!!」


驚いたようにアルスをまじまじと見る。


モハッドの後ろに控えていた二人、特に生徒会長は目を見開く!


「あ、あれがあのアルスだと・・・」


僕は笑みを浮かべてしまう。


一杯食わせることができたな。


「まさか、第一皇子はそちらの方に趣味がお有りで?」


僕の質問にモハッドが首を振る。


「そんな根も葉もないことを言うな!」


チッ、噂程度にしか広められないか・・・


「オホンッ、そろそろ本題に入っていいか」


咳払いを一つしてモハッドは話し始める。


「話は単純だ、こちらの陣営に入ってくれ」

「お断りします」


もちろん即答だ。


「提示条件を聞かずにか?」


僕は一瞬口をつぐむ。


そう、今回の交渉に関しては条件があまり分からない。


おそらく前回の第二皇子との交渉内容は知られているはず。


つまり、条件も変えてくるだろう。


「では一応聞きます」

「そうだな、色々とあるが、貴様が一番欲しそうなものをあげよう」

「何ですか?」

「公爵家を継いだあかつきには、新たな位、王爵を上げようではないか」


王爵、だと?


基本的に、国家の王も一つの爵位として言われることがある。


皇帝だったら帝爵、そして王だったら王爵。


つまり、王になれるのだ。


だが、これは毒饅頭だ。


絶対に危ないやつだ。


手を出した瞬間、貴族たちから反感を持たれて、皇帝になった第一皇子に倒されるだけ。


「まあ、どのような条件でもお断りはしますよ」

「何故だ!!!」


僕は第一皇子の家柄も血筋も認めている。


第二皇子時のように見下してはいない。


ただ、


「モハッド殿下、あまり虎の尾は踏まないほうが良いですよ。いずれ痛い目にあいますから」


僕はそう言って立ち上がり一瞥もくれずにその場を後にした。


明日は一話投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ