誤字成語:犀王ガウマー[4コマ漫画つき]
故事成語、好きなのです。
※noteにも転載しております。
むかしむかし、あるところに犀の王様のガウマー様がいましたとさ。
ガウマー様ったらひねくれもので。
日本史の教科書を忘れても。
悪いけど、ちょっと見せてってお願いして。となりの席の女のコと、机をくっつけることができるから、かえってよかったって、にかにか笑うし。
好きなメタルバンドのシンガーが交替しても。
ライヴで、あの名曲たちが、ちがうシンガーの声でも聴くことができるぞって、てかてか笑ってた。
でっかいつのをはやした、鼻面で。それはもう、いつでも笑ってたんだ。
だけど、その。むかしむかしの、あるところには。
象の王様、マウガー様も、いましたとさ、だったわけ。
マウガー様ってば、やっぱりひねくれもので。
世界史の教科書を忘れたら。
悪いけど、ちょっと見せてってお願いすると。となりの席の女のコと、机をくっつけたせいで。ひょっとして、緊張して筆圧が強くなって、鉛筆ってば、ぺきって芯が折れちゃうかもしれない。あのコの、ほっぺにあたっちゃったらどうしよう。ぜんぜん、よくないぞって、机をくっつけるまえから、くよくよ悔むし。
好きなメタルバンドのシンガーが出戻りしても。
「なんで、後釜のやつの歌を、初代シンガーのおれが歌わなきゃなんないんだ」ってゴネだして。
二代めシンガーの時代にうまれた名曲たちは、ライヴじゃもう演奏してくれなくなるだろうからって。まだ、ツアーの日程も決まってないのに、うじうじ悔やんでた。
長い鼻と牙をはやした、でっかい図体で。まだ起きてもないことを、いつでも悔やんでたんだ、
そんなこんなで、学校に行っても、ぜんぜん楽しそうじゃない象王マウガー様に。犀王ガウマー様はこんなふうに言う。
「鉛筆の芯がぺきって折れたおかげで。となりの席の女のコの血を吸おうとした蚊を、偶然、撃ち墜とせるかもしれないし。
あのメタルバンドだって、歌うのをゴネた初代シンガーのかわりに。ギタリストが、二代めシンガーの時代の名曲を、ライヴで歌ってくれるかもしれない。
そのあいだ、初代シンガーは、舞台の袖で、ひとやすみしてくるだろうさ」
それを聞いて、象王マウガー様は。そんなつごうよく、ものごとがはこぶものかとは思いながらも。なんとなく前向きな気持ちになれたそう。
実際、世界史の教科書を忘れたとき。
象王マウガー様は、あんのじょう、鉛筆の芯を折りまくったけど。
となりの席の女のコは、空手が黒帯で。飛び交う芯をすべて、叩き墜としてくれたし。
あのメタルバンドも。二代めシンガー時代の名曲を、初代シンガーの歌い直すリレコーディングアルバムに、録音り直したおかげで。しぶしぶながらも、ライヴでも、初代シンガーさんがちゃん歌ってくれることとなった。
悪いことが、想定を超えて現実になることもあるけど。逆に、想定を超えて、いいことが現実になることだってある。
象王マウガー様の、リスク・マネージメント術のことは評価しながらも。そんなの気にしても、きりないじゃんって。
にかにか、てかてか笑いながら。
犀王ガウマーさまは、前向きな姿を見せてくれたんだ。
でも、犀王ガウマー様が、調子こいて、あとさき考えなくなったときは。
こんどは、象王マウガー様が。なにごとも、意外に悪いことにつながる可能性が、なきにしもあらずだって。まだ起きてもいないことを、くよくよ、うじうじ悔やみながら。
犀王ガウマー様を、諭してくれるはずだよね。
いいことが、想定を超えて現実になることもあるけど。逆に、想定を超えて、悪いことが現実になることだってあるんだから。
結局、未来はどうなるかわからない。
いい未来を想い描いて、これから起こることに、にかにか笑って生きるか。
悪い未来を想い描いて、まだ起きてないことに、くよくよ、うじうじ悔やんで生きるか。
それはあなたの、こころのおきかたひとつ。
ひとは、だれだって。
そのこころのおきかたひとつで。
犀王ガウマー様にだってなれるし。
象王マウガー様にだってなれる。
そんなおはなし。
【犀王ガウマー】
:サイコロの目が出ても、吉と出るか凶と出るかは、駒を進めてみなくちゃわからないって意味
キャラ化したい。