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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【速報】メンヘラと付き合っている俺、正直、もう手遅れじゃね?〜諦めて、メンヘラと幸せを育んでいきたいと思います!〜

作者: かなえ

ここまで開けたあなた、最高です。

「ねぇ、私のどこが好きなの?最近、好きって言ってくれないよね?私、飽きられちゃった・・・?ねぇ!」


ピンクと黒で構成された、典型的な地雷系の部屋。

そして、ベッドはクッションやぬいぐるみなどが大量に置かれており、部屋にはゴミ袋が大量に置かれている。

【ゴミ屋敷】と言っても、なんら遜色ない。


「大好きだよ」


俺がそう呟くと、クッションを思いっきり投げつけてくる。


「嘘ばっかり!私なんて、どうせ要らないんだ!!!」


大声を張り上げ、キレたと思いきや、すぐに泣き出し始める。

そんな、情緒不安定で、キレ症で泣き虫な彼女の名は【早見(はやみ) 千里(ちさと)】。

大学のサークルで出会った彼女は、容姿も整っており、スタイルも抜群。


モテる要素がずは抜けている、ある意味完璧な女性だった。


しかし・・・。


【メンヘラ】と呼ばれる部類の人種であり、足や肌には【リストカット】と呼ばれる、自傷行為を何度も繰り返している跡が残っている。

はっきり言って、精神異常者だ。


精神病院に一度連れて行ったが「なんの心配もいらない」と言われ、突き返された。


別れたい、でも、別れることが出来ない。


彼女からの一方的な愛が強すぎる故、逃げ出すことができない環境が整っている。

現に、彼女の家に来てから3日が経過している。


トイレや風呂など以外はこの部屋から出てはいけない。

つまり、監禁されている状況にあるのであった。


時にゲームをして、時に無理やり性行為をさせられることも。

正直、もう限界だ。


一度、友人に相談したが、どうにもならなかった。




★☆★☆★☆★




異変に気づき始めたのは、今から約2ヶ月前と言ったところだろうか。

付き合っているのにも関わらず、部屋に色々な男を連れ込んでいることが発覚したのだ。


初めは軽い注意程度で終わったが、回数を重ねるごとに、俺の不満も積み重なっていった。

そして、俺が真剣に注意をすると「私のこと、嫌いになったのね・・・?」と言って、泣き始める。

めんどくさくて、仕方がなかった。


千里の親と会ったことはあるが、病院のベッドで寝たっきりの植物状態。

そんなこともあり、俺は余計に彼女のことが見放せなくなってしまった。


昔から「無駄に優しすぎる」と言われてきた俺が、ここでようやく、気づいた気がした。


「ねぇ、このバッグこの間、買ったんだ!」


そう自慢げに見せてきたバッグも、実は裏で別の男に買ってもらっている。


「ねぇ、この靴も見て!」


これも、別の男に買ってもらっている。


会ったら会った回数分、彼女のことが嫌いになる。

でも、見離せない。


メンヘラ化したのも、何か心の闇を抱えているからかもしれない。

母親のことや、俺の知らない父親のことか、はたまた何か借金を抱えているのか。


ーーーどうしても、あの母親だけは救いたい。


俺はあの母親から、借りがある。

それを返すためにも、俺がここで頑張らなければならない。


《代表取締役 岡本辰徳 殺人により、逮捕》




★☆★☆★☆★




初めは大学のサークルの飲み会で少し話す程度の仲だった。

特に関係はなく、知り合い程度であり、気にもかけていなかった。

俺は大学でも、友達が数少ない方だったので《そんな俺に話しかけてくれる優しい人》という印象だった。


去年の11月頃の飲み会時、よっている千里を家に送り届けたのが始まりだった。

その時から、俺の人生の歯車は大きく動き始めていた。


昔、用事で来たことのある《桜丘町》。

大きな坂があり、その近くには焼肉屋とホテルがある。

その近くには住宅街があり、その一角にある彼女の実家。


当時、植物状態ではなかった母親が意識が朦朧としている千里を抱え、家まで運んでくれた。


「ありがとうございます」


「いえいえ、それでは」


俺が家から立ち去ろうとすると、ドアが閉まる音が聞こえる直前だった。


「本当、大きくなりましたね」


振り返ると、ドアは閉まり、俺も飲みすぎていたこともあり、空耳か何かだと思い、そのまま家に帰宅した。

しかし、あの時聞こえた言葉は、後日振り返ると、何か深い意味があるのかもしれないと思い、それ以降ずっと引っかかりを感じている。


その言葉の正体は、未だつかめていない。


彼女を家に届けてから、関わりが深くなっていった。

大学で同じ講義をとっていたら、隣に座ってくるし、大学で見つけたら声をかけられる。

カラオケに誘ってきたり、ボウリングに行ったり、大学生活をかなりエンジョイしていた方だとは思っていた。


友達からも「ソシャゲしかしてない俺達とは、一味違うな」と言われた。


そして、年が明け、大学2年3月頃。


「付き合っていただけますか・・・?」


彼女に告白をされた。

場所は駅の改札、時間は23時あたり、今でも鮮明に覚えている。


特に断る理由は見当たらなかったし【彼女いない歴=年齢】からも、もうそろそろ卒業しないといけない年齢。

もちろん、童貞も卒業する気の、下心満載で交際を始めた。


この時は、我ながら最低だと思った。


それからというもの、毎日、連絡は3時間に一回はしてくるし、深夜でも家に押しかけてきた。

正直、迷惑だと思っていたが「これも愛なのかな」と、恋愛経験が薄い俺は感じていた。

この時に気づいていれば、俺の人生はこんなことにはならなかっただろう。


「大丈夫、大丈夫」


時々、精神状態が不安定になる時もあったが、それも個人の特徴だと思っていた。


ーーー俺がそばにいて、支えてあげよう。


この時から、過度な親切が働き、俺は上手いように使われていた。




★☆★☆★☆★




監禁生活も4日が経ち、俺は今、手足を拘束されていた。

痛い、苦しい、なんて感覚はどこへ行ったのやら、もはや何も感じない領域に達してしまった。

何を言われても、全て順従に動く。


ーーーあぁ、これが洗脳ってやつなのかな。


助けを求めたい、でも、呼べない。

声が出したい、もう、出す勇気すら無くなった。


涙が出したい、出しt・・・。


俺の顔からは涙が溢れていた。

大学には行けていない、幸い、講義は取っていない。

友達と遊びたい、でも、外へ出れない。


少しずつ、感情をとり戻り戻していくうちに、俺は声が出そうな気がしてきた。


「ねぇ、千里」


「ん?♡」


「もう、辛い。もう、しんどい・・・」


俺が涙を流しながら、そう言った。

すると、彼女は激変した。


突然、泣き出し、発狂し始めた。


「あの、クソ野郎さえ居なければ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


頭の髪を無理やり引きちぎり、俺に投げつけた。

家庭環境に問題があるそうだ。


鬼の形相と化す彼女の顔は、どこか不安そうで、本当の自分を押さえ込んでいるような顔でもあった。

涙が1粒、2粒と流れるごとに本心が出てくる。


次第に顔がいつもの顔とは違う、弱々しい顔へと変化していった。


ーーーあぁ、俺がなんとかしてやらないといけない。


強く、強く決心した。

読んで頂き、本当にありがとうございます!

八月の中旬に、連載版を投稿する予定です。


よければ、評価ポイント、ブックマークなどを押して頂けると、嬉しいです!

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